2022.3.31 (Thu)

建設業はICTで変わるのか(第8回)

建設DXで実現する建設業界の現場支援

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 近年、建設業界の現場支援に関連したさまざまな対策が行われています。国土交通省が建設業界の新3Kを実現するための取り組みや、ICTの導入により建設生産システム全体の生産性向上を図るi-Constructionの推進も、その一例です。

 なぜ、建設業界の現場支援が活発に行われているのでしょうか。ここではその背景および現場支援の具体的な内容、今後の展望などを紹介します。

なぜ建設業の現場支援が行われるのか

 建設業界で活発な現場支援が行われる背景には、建設業界が抱える課題が大きく影響しています。

 そのひとつが、人手不足問題です。国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、2016年平均の建設業就業者数は約500万人。ピーク時である1997年の685万人と比べて、大きく減少していることがわかります。さらに、2016年時点の建設業就業者のうち約3割が55歳以上、29歳以下は約1割など、将来的には高齢者の退職によるさらなる人手不足も懸念材料となっています。

 もうひとつの課題は、労働環境です。国土交通省の「建設業を取り巻く現状と課題」によると、年間総労働時間は全産業平均と比較して約360時間多く、休日取得も週休2日制を取得している人は2割以下と、長時間労働が常態化していることがうかがえます。

 これらの課題を解決するために、国土交通省は長時間労働の解消に向けた業務の効率化を推奨し、その手段のひとつとして、DXによる現場支援が行われています。

建設DXによる現場支援

 そもそもDXとは、経済産業省の「DX推進ガイドライン」にて「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。

 建設業に関連したDXは「建設DX」と呼ばれています。つまり国土交通省は、建設DXにより人手不足や労働環境といった課題の解決を推進しているといえます。

現場支援に用いられている建設DX

 建設DXとは、具体的にどのようなICT技術が活用されるのでしょうか。ここでは、国土交通省の「インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)施策一覧」より、国土交通省が考える建設業界の現場支援例を紹介します。

5Gを活用した無人化施工

 労働環境の改善や建設作業の省人化による人手不足の解消をめざし、5G(大容量、低遅延、多数同時接続などの特性をもつ第5世代移動通信システム)を活用し、複数の建設機械を遠隔で操作する仕組みを、2025年度に現場で実装予定としています。建設現場を遠隔・非接触の働き方へ転換する自動化・自動化技術導入を促進し、生産性向上を図るとしています。

人間拡張の導入促進

 人間拡張(Human Augmentation、HA)とは、人に寄り添い人の能力を高めるシステムのことです。身体への負荷が大きい作業は危険作業を伴う場合があります。建設業界への人材定着には、これらの作業の低減が必要と考えられます。そこでパワーアシストスーツなどを活用し、身体負荷の軽減や視覚・判断の補助を実現することで、生産性の向上を図るとしています。現場への実装時期は未定ですが、産学官協議会により導入までのロードマップが検討されています。

地域建設産業の生産性向上および持続性の確保

 中小建設企業のDX実現に関する課題として「ICT導入率が低い」「投資に消極的」「ノウハウがない」などを想定。そこでデジタル化に向けた普及や啓発を行い、生産性向上の底上げと建設DXを促進します。具体的にはEDIを通じた契約・請求など事務作業の軽減、BIM/CIMによる3次元モデルでの確認・シミュレーション、現場情報の一元管理ソフトウエアの導入などを挙げています。2022年度に相談支援を実施する予定となっています。

今後の展望

 建設DX化が進み、前述のような現場支援に関する取り組みの効果が実を結べば、建設業界で課題となっていた人手不足や長時間労働などが解消され、建設業界での就業者増加も期待できるでしょう。

まとめ

 建設業界が抱える課題解決に向けた取り組みとしては、新3Kや各種助成金、人材育成など、さまざまな支援が行われていますが、今回紹介した建設DXは、建設業界の現場を大きく変えるものとなります。今後、DXの導入が進むにつれ、業界も改善されていくことでしょう。

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