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2022.03.31 (Thu)

建設業はICTで変わるのか(第7回)

建設業界で話題を集めるスマートビルディングとは

 「スマートビルディング」という言葉をご存知でしょうか。スマートビルディングとは、ICTを活用してビルの運用・管理をより効率的に行える建造物を示します。おもにHVAC(Heating, Ventilation, Air Conditioning、冷暖房空調設備)によるエネルギー管理や、エレベーター・エスカレーターなどのインフラ管理、アクセス制御などのセキュリティ管理などで利用されています。

 本記事では、スマートビルディングの特徴や仕組み、導入事例について紹介します。

スマートビルディングが注目を集める理由

 建設業界ではこれまで、BAS(Building Automation System)やBEMS(Building and Energy Management System)など、ICTを活用したビルの運用管理はさまざまな形で行われていました。さらに最近では、国土交通省が推進する、建設現場へのICTの導入を行う取り組みである「i-Construction」もスタートしています。

 それに加えて、ビルメンテナンス企業の人材不足という課題も指摘されています。公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が公開している「ビルメンテナンス情報年鑑2021」によると、ビルメンテナンス事業を営む企業にアンケートした結果、本社に勤務する常勤従業員の過不足状況は「不足」「やや不足」合わせて65.1%という結果でした。さらに、募集環境も「著しく募集しにくい」「やや募集しにくい」と合わせて66.0%でした。人手不足が大きな課題であることがわかります。

 業界におけるこうした状況の中で、省力化や効率化が期待できるスマートビルディングの需要が高まっている、ということがいえるでしょう。

スマートビルディングのメリット

 スマートビルディングのメリットとして挙げられるのが、建物内のエネルギー管理の最適化が期待できる点です。BEMSの活用により、各所で発生しているエネルギーの見える化や照明・空調の管理などを一括管理し、調整することが可能になり、無人フロアの照明を落とすなど調整し、エネルギーの最適化を行うことで、CO2排出の削減や光熱費のコスト削減が期待できます。

 従業員の業務効率化も、スマートビルディングのメリットとして挙げられます。一例として、AIカメラの画像認識技術を使った入退館の管理自動化、フロア内の警備などがあります。ビル内の企業に勤務する従業員であれば、専用ゲートから特別な手続きを行わずに入退館できたり、ビル内に従業員以外の人物を検知したら警告をする、といったことが自動で行えるため、警備員などの人件費削減につながる可能性があります。

スマートビルディングの企業事例

ラゾーナ川崎東芝ビル

 株式会社東芝が拠点を構える15階建てのオフィスビル、ラゾーナ川崎東芝ビルでは、2013年にスマートビルディング化を実施しました。

 画像センサーの活用による人の動きや、人数に応じて照明・空調を自動制御する仕組み、利用者数に応じたエレベーターの制御、打ち合わせスペースの空席状況の可視化などを行うことで、延床面積10万平方メートル以上の大規模なビルにも関わらず、年間一次エネルギー消費量の実績値を、従来よりも58%削減することができました。

まとめ

 スマートビルディングは業務効率化という面はもちろん、CO2の排出削減など環境面での恩恵も得られることが大きな特徴といえるでしょう。日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルをめざすと宣言しています。これらの動きに伴い、今後スマートビルディングの採用が進む可能性も多いに考えられます。

先進企業の事例に学ぶ建設現場DXの最新動向

人手不足や高齢化が進む建設業界ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれて数年が経過したものの、思うように取り組みが進んでいない企業もあるのではないでしょうか。そこには、「どのような方法で行えばよいかわからない」、「現場で具体的なイメージをもつことができない」、「デジタルになじみにくい社風である」といった要因も関係しているでしょう。そこで本資料では、日本建設業連合会が公開している「建設DX事例集」を中心に、建設業のデジタル化の取り組みを多彩な業務・技術の観点から解説します。数多くの事例に触れることで、これから始める自社の改革へのヒントを得られるでしょう。

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