2022.3.31 (Thu)

建設業はICTで変わるのか(第4回)

建設業におけるAI活用の現状と課題

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 最近はさまざまな業界で、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence、人工知能)といった新しい技術の活用が進みつつあります。ただし業界ごとに活用度合いはばらつきがあります。総務省が公開している「令和2年 通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、全業種の企業に対してIoTやAIなどのシステムやサービスの導入についてアンケート調査したところ、「導入している」と回答したのは全体の12.4%、「導入していないが導入予定がある」と回答したのは全体の9.7%でした。しかし建設業では「導入している」と回答したのは全体の8.1%、「導入していないが導入予定がある」と回答したのは全体の9.7%と、全業種と比べて低い傾向にあることがわかります。

 一方で、建設業が抱えるいくつかの課題はAIで解決できる可能性が指摘されていて、今後のAIの活用の余地は大きい業界ともいえます。

建設業界が抱える課題

人手不足

 少子高齢化の影響による労働力不足は社会問題となっていますが、特に建設業は深刻です。総務省の「労働力調査」によると、産業別で見た建設業の労働力人口は、前年と比較して約10万人の減少と、ほかの業界より減少率が高い傾向にあります。また、国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、2016年時点での建設業就業者は55歳以上が約34%を占め、高齢化が進んでいるのも大きな課題といえます。

労働環境

 厚生労働省の「建設技能労働力の確保に関する調査報告書」によると、今後従業員が建設業で働き続けるために企業に求めることは「週休2日制の推進」が最も高く28.8%。以下「仕事が年間を通じてあること」が24.7%、「仕事の内容に対応した賃金」が20.9%と続き、休日休暇や雇用の安定性、給与面などが課題となっています。

建設業のAI活用

 これらの課題解決に向けて、建設業界全体のデジタル化を進める動きが活性化しています。最も注目を集めているのが、国土交通省による「i-Construction」プロジェクトです。同プロジェクトは建築現場にさまざまな技術を導入することで生産性向上を図り、建設現場の魅力向上に取り組むものとなっています。

 同プロジェクトでは優秀な取り組みを表彰する「i-Construction 大賞」を創設するなど建設業界のICT化を後押ししている影響もあり、実際に大手企業を中心に、単純作業や高負荷作業のAI化や、画像認識AIの活用、ベテラン従業員の作業のAI学習、といった施策を実施しています。

建設業界のAI活用の課題

 建設業ではAI活用のメリットは以前より注目されており、実際に一定規模の企業では導入も進みつつみあるものの、まだまだ建設業界全体で浸透しているとはいえません。国土交通省の「AIを活用した建設生産システムの高度化に関する研究」によると、以下の2点を課題としています。

業務プロセスの把握が進んでいない

 自社業務の中で、AIへの代替が可能な業務は何なのか、業務プロセスを把握できていない点が挙げられます。解決するには、AIの知識を有する人材が俯瞰的に業務プロセスを把握する体制が必要です。

データ収集・活用の仕組みが整っていない

 AIの導入と活用には、事前に十分な量のデータを読み込ませ、学習させる必要があります。しかし読み込ませるデータの収集方法や活用方法が整備できておらず、AIを活用できない点が挙げられます。AIの導入検討と並行してデータ収集のルール設定と、データ収集の仕組みを構築する必要があります。

建設業界のAI活用事例

大林組

 大手ゼネコンの大林組は、建設機械の自律化を進めており、その一環として土砂の積み込みを自動化する「バックホウ自動化システム」を導入しています。バックホウ(油圧ショベルの一種)は精密な操作が要求されるため、従来はベテラン従業員の技能が必要とされており、自動化が困難でした。

 しかし同システムは、ベテラン重要員の作業の様子をAIに学習させ再現を可能にしました。さらに盛土の状況を確認する3Dスキャナーと併用することで、自動化に成功。作業現場に従業員が入る必要性が減り、安全性の向上と同時に大幅な省人化を達成しました。

今後の展望・まとめ

 国土交通省のi-Constructionプロジェクトに代表されるように、建設業では業務のICT化が推進されています。中でもAIの活用が建設業で普及していけば、人手不足の解消だけでなく、生産性向上による休日出勤や残業の低減、給与の向上など、建設業界が抱えている他の課題を解決できるような、新たなメリットが生じるかもしれません。

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