2022.3.31 (Thu)

建設業はICTで変わるのか(第3回)

建設業でウェアラブルカメラはどのように活用されているか

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 一般社団法人日本建設業連合会の「建設業ハンドブック2021」によると、2020年の建設業就業者数は約492万人と、1997年の約685万人をピークに減少が続いており、建設業界は慢性的な人手不足に悩まされています。また、2020年時点の建設業界就業者数のうち55%は55歳以上と、ほかの業界と比べて高齢化が著しく進んでいることも課題となっています。このような背景から、建設業界ではさまざまな技術を導入することで、人材不足を解決しようとする動きがあります。その技術の一例として、ウェアラブルカメラが挙げられます。そこで今回は、建設業でウェアラブルカメラがどのようなメリットをもたらすのかを、事例を交えつつ解説していきます。

ウェアラブルカメラとは

 ウェアラブルカメラとは、頭部や作業服、ヘルメットなどに装着して、両手での作業を妨げることなく撮影できるカメラのことです。ウェアラブルカメラで撮影することにより、現場の従業員視点の映像を撮影できるだけでなく、リアルタイムでほかの場所にいる人へ共有できます。マイクが内蔵されているウェアラブルカメラであれば、映像だけでなく音声も共有できます。

遠隔臨場とは

 ウェアラブルカメラなどを利用することで、建設現場を遠隔から管理することを遠隔臨場といいます。国土交通省の「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領」では、遠隔臨場は「動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラなど)により撮影した映像と音声を、Web会議システムなどを利用して「段階確認」、「材料確認」と「立会」を行うものである」と説明されています。

なぜ建設業界でウェアラブルカメラが注目されるのか

生産性の向上

 建設現場では、時に命に関わる危険な業務も行うことがあるため、作業現場を目視確認しなければならないケースもありました。非効率だとしても、管理責任者は実際に現場に赴き、資材の残量や進捗などを確認していたのです。

 しかしウェアラブルカメラを使った遠隔臨場を取り入れれば、現場へ赴かずに状態を管理できるようになります。その結果、移動時間を他の業務に使えるようになるなど、生産性の向上が期待できます。また複数の現場を一人で確認可能になるため、人手不足の解消にも貢献します。

技術の継承

 高齢化が進む建設業界にとって、技術継承は喫緊の課題です。たとえばウェアラブルカメラを装着した若手従業員の映像をベテラン従業員が確認し、必要に応じて音声などでフォローするという従業員教育に活用できます。また、ベテラン従業員の作業の様子をウェアラブルカメラで録画し、ノウハウを学習するといった使い方も考えられます。

建設業界×ウェアラブルカメラの事例

 株式会社IHIインフラシステムは、静岡県にある須走1号高架橋の工事を行う際、ウェアラブルカメラを従業員に装着させました。主な目的は、現場従業員が装着したウェアラブルカメラの映像を出張所でモニターして、現場に臨場することなく立ち会いや段階確認を可能にすることです。移動や支度の時間が削減できたほか、撮影した映像記録が残るため、問題発生時に対応がしやすくなるなどのメリットが得られました。

建設業界×ウェアラブルカメラの課題

 建設業界の人材不足・高齢化といった課題解決のほかにもさまざまなメリットが生まれるウェアラブルカメラですが、いくつかの課題があることも事実です。

ウェアラブルカメラの導入コスト

 ウェアラブルカメラを導入して遠隔臨場を実施する場合、まずはウェアラブルカメラを購入する必要があります。安価なものであれば1台数千円で購入できるものもありますが、建設現場によっては防水機能が必要だったり、手ぶれ補正機能や一定以上の画像解像度が必要になることもあるでしょう。遠隔臨場を導入することによって得られるメリットと導入コストのバランスを考え、導入を検討することが重要です。

通信環境の整備

 作業履歴を残すだけなら通信機能は不要ですが、遠隔臨場を行いたい場合、現場と事務所間をつなぐ通信環境が必要となります。通信環境が悪ければ、映像や音声が途切れるなどの問題が発生するかもしれません。通信環境の事前確認を行い、必要であればローカル5G(みずからの敷地や建物内に自前で構築できる第5世代移動通信システム)の導入なども検討しましょう。

まとめ

 国土交通省は、ICTを建設現場へ導入して建設生産システム全体の生産性向上を図る取り組みとしてi-Constructionを進めています。その中でもウェアラブルカメラは業務効率化が期待できる技術として紹介されています。人手不足や従業員の高齢化に悩む建設業就業者の方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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