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2022.03.31 (Thu)

建設業はICTで変わるのか(第1回)

建設業界の課題と、ネットワーク整備によるDX推進の重要性

 近年、建設業界は人手不足や従業員の高齢化といった問題に悩まされています。問題解決を図るべく、建設業界ではさまざまなテクノロジーを導入する動きが見えるようになりました。ここでは、建設業界が抱える課題の解決に対して、どのようなテクノロジーが有効なのかについて解説します。

建設業界が抱えている課題

 建設業界が抱えている課題の中でも深刻なのが人材不足です。国土交通省の資料「建設業を取り巻く情勢・変化」によると、2015年平均の建設業就業者数は約500万人で、ピーク時から27%減少していることがわかります。ではなぜ、就業者数が減少しているのでしょうか。要因として挙げられるのは、少子高齢化の影響です。国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、2016年時点での建設業就業者の年齢は55歳以上が約34%を占めており、高齢の従業員が多いことがわかります。定年により建設業界を去る人数が新規就業者数より多いため、この減少傾向はしばらく続くと考えられます。

 労働環境も課題として挙げられます。先ほどの「建設技能労働力の確保に関する調査報告書」によると、建設業で働き続けるために企業に求めることは「週休2日制の推進」「仕事が年間を通じてあること」「仕事の内容に対応した賃金」などが挙げられています。ただし、近年は国土交通省が「建設業の新3K(給与・休暇・希望)」を掲げ、建設業界で働く人に高い給料と長い休日を提供し、若者の希望が持てるような業界にしていこうという動きが見られます。

建設DXに必要な技術

 建設業のこうした課題を解決できるテクノロジーとは何でしょうか。まず挙げられるのが、AI(Artificial Intelligence、人工知能)です。たとえば過去の工期データベースをAIに学習させて適切な工期を自動設定するシステムや、熟練従業員の建設機械の操作技術をAIに学習させて自動運転させるなど、さまざまな用途での活用が考えられます。

 また、ローカル5Gなどを使ったネットワークの構築も挙げられます。ローカル5Gとは携帯電話事業者以外の企業や団体が利用可能な第5世代移動通信システムのことで、みずからの建物や敷地内で柔軟にシステムを構築できます。建設現場の各種機器と本社・支社・営業所などを結びつけるネットワークを構築することで、たとえば本社にいる熟練従業員がネットワークカメラを通じて現場の若手従業員を指導するなど、DXに関するさまざまなことが実現できます。

建設業界のネットワーク活用例

 ネットワークを構築することで、建設業の現場には具体的にはどのような変化が訪れるのでしょうか。まず考えられるのが、情報の一元管理です。受注元や顧客情報、工期、進捗などが一元管理できるようになります。一元管理により正確かつスムーズな情報共有が行え、作業効率の改善も期待できます。

 次に考えられるのが、無人化施工です。近年、国土交通省は無線LANや5Gなどを活用した無人化施工を推進しています。建設機械の遠隔操作や建設ロボットに指示を与える際、ネットワークは必要不可欠です。

建設業界でのネットワーク活用の事例

ローカル5G通信を用いたホイールローダー遠隔操作システム

 西松建設は、山岳トンネル工事の掘削ずり運搬作業に使われるホイールローダーに、ローカル5Gと遠隔操作システムを活用しました。ローカル5Gによる超遅延性・超高速性を活用し、暗くて狭いトンネル坑内での走行やホイールローダーの操作を、高精細映像を見ながら安全に操作できたといいます。1現場のみに導入した場合は有人運転の75%程度の労働生産性となるものの、2カ所の現場で活用することで運転要員を2名から1名に削減でき、その場合の労働生産性は有人運転の約1.5倍になりました。

まとめ

 人材不足が深刻化する建設業界でも、ネットワークを整備してDXを推進すれば、省力化・省人化が期待できます。省力化・省人化の実現は、休暇や休暇の増加につながるかもしれません。自社や現場のネットワーク環境を見直し、DXを検討してみてはいかがでしょうか。

建設業 デジタル技術導入・活用ガイド

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建設業の過剰な労働時間は長年にわたって問題視されてきましたが、いよいよ2024年4月1日に「残業時間の上限規制」が適用されます。規制に違反すると懲役・罰金刑に処され、悪質なケースでは企業名公表もあるため、労働時間の見直しは建設事業者にとって喫緊の課題です。国土交通省や厚生労働省はICT活用に向けた支援を実施しているものの、十分に普及していないのが現状です。本資料では、建設業のデジタル化に詳しい大阪大学 矢吹信喜教授の見解を踏まえ、2024年問題対策のポイントや進め方を解説します。有効なデジタル技術に言及しながら、事業者がこれから検討するべき対処法を紹介します。

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