2022.3.31 (Thu)

自治体が抱える課題とは(第1回)

自治体・行政が民間企業に業務をアウトソーシングする理由は? 事例を交えて解説

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 自治体は、民間企業にさまざまな業務をアウトソーシングしています。とくに建設や土木工事などの公共事業を想像する人が多いかもしれませんが、それらの業務はほんの一部です。ここでは、私たちが住みやすい地域社会をつくるために自治体がアウトソーシングしている業務の事例や背景、課題について紹介します。

自治体・行政のアウトソーシングが進む背景

 近年、自治体や行政機関が民間企業にアウトソーシングする業務内容が多様化しています。一体なぜでしょうか。

 これまでの日本は、住みやすい環境づくりと経済的発展のために、水道や電気といった生活インフラの整備や、学校や病院などの公共施設の建設などが自治体に求められていました。

 しかし最近は自治体に求められる役割が、インフラの整備から地域の産業振興などに変わりつつあります。こういった役割を果たすため、自治体に新たにアウトソーシングする民間企業を探す必要が生じているのです。

 また日本は、少子高齢化および人口減少による税収の減少にも直面しています。限られた財源でより質の高いサービスを提供するため、業務の一部をアウトソーシングすることにより、コストの削減および見直しを図るという背景もあります。

自治体・行政のアウトソーシング事例

 日本には「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という政府の方針があります。この方針に基づいた制度には、公共施設などの設計・建設・維持管理・運営に、民間の資金とノウハウを活用するPFI(Private Finance Initiative)制度や指定管理者制度などがあります。

 ここでは、いくつか具体的事例を紹介していきます。

上天草市(熊本県)

 上天草市役所は、臨時職員の増加により労務管理が複雑化したことなどを受け、窓口業務の民間委託を検討しました。その後、市役所および支所の4か所で行っている窓口業務の一部を民間委託し、住民票の写しや各種証明書などの対応や国民健康保険、児童手当などの受け付けなど、さまざまな業務のアウトソーシングを実現しました。結果、前年と比べて19人の窓口職員数の削減、年間約7700万円のコスト削減に成功。職員の配置転換や労務管理の効率化などの効果も得られました。

市川市(千葉県)

 市川市は経費削減を目的に、業務のアウトソーシングについて検討を重ねていました。その中で、設置予定の行政サービスセンターに配置する正規職員の採用や割り当てが、コスト面などの関係で難しいという状況が発生しました。そこで民間企業へのアウトソーシングを実施。結果、長時間の開所ができたため市民の利便性が高まっただけでなく、本庁や支所の窓口業務処理件数が減少しました。また、アウトソーシングをしなかった場合と比べて、約2割のコスト削減になりました。

船橋市(千葉県)

 船橋市では、国民健康保険課の業務量が多く、非定型業務を勤務時間外に行っていました。さらにこども手当・児童手当の制度改正や子ども医療費助成制度の県補助制度の拡大などにより、児童家庭課での業務量の増加も予想されていました。そこで各種業務を民間企業へアウトソーシングしたところ、国民健康保険課では職員の超過勤務が削減され、ワークライフバランスが改善。児童家庭課も予想された業務量の増加に対し、職員を増加することなく安定的に業務が行えるようになりました。

箕面市(大阪府)

 箕面市では、職員の年齢が特定の世代に集中していた結果、大量退職により職員数が減少することが想定されていました。この状況に、財政状況が芳しくないことにも配慮して、職員を増員せずアウトソーシングによって対応。職員の増員を伴わずに土曜日開庁に対応が可能になったほか、窓口業務の業務量削減、外国語対応が可能な人材の配置など、市民の利便性向上を実現しました。

自治体・行政のアウトソーシングの課題

 自治体がアウトソーシングを行う際の課題はさまざまです。おもな課題としては、アウトソーシングの検討に時間がかかる点や、民間企業と自治体に認識のズレが発生し、トラブルが起きるリスクなどがあります。たとえばICT関連業務をアウトソーシングする際、職員のICT知識が不足していると、民間企業の提案や業務内容の判断が難しくなる可能性が考えられます。特に個人情報が関連するICT関連業務をアウトソーシングする場合、リスク分析を行い適切な情報セキュリティマネジメントを施す必要があります。

まとめ

 アウトソーシングするにあたって配慮すべき点はあるものの、コスト削減や業務効率化など、自治体・行政がさまざまなメリットの享受が期待できます。総合窓口業務などでは、すでに多くの自治体・行政がアウトソーシングしています。職員の確保やコスト削減などに課題を感じている場合は、民間企業へのアウトソーシングを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

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