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2022.03.31 (Thu)

建設業界の課題とその対処法(第1回)

建設業のIT化を進めるなら、まずは「図面」から変えよう

 建設業界にはアナログな業務が多く、IT化が進んでいないケースも多く見られます。ITによる業務改革のポイントはいくつかありますが、アプローチの1つには、「コミュニケーションのIT化」も有効な選択肢となります。今回は、モバイル通信デバイスを駆使したコミュニケーションの可能性を紹介します。

建設業のコミュニケーションはアナログで成り立っている

 建設産業の就業人口は、全産業の約1割を占めています。日本の基幹産業といっても過言ではないでしょう。しかし、業界ではIT化の遅れが課題となっています。

 そもそも建設業界は、構造的にIT化がしにくいのが実情です。一般的に建設会社は、総合工事業者と専門工事業者に分けられます。前者は建設主から直接建設工事一式、あるいは土木工事一式を請け負う業者であり、後者は主に総合工事業者の下請けとなり、建設工事のうちの一部を専門に請け負います。

 総合工事業者には、大工や左官、電気、配管など多岐にわたる業務・業種があり、建設計画に沿ってそれぞれの専門工事業者が作業を行います。

 建設工事は、こういった複数の協力会社によって、多岐にわたる業務・業種が行われます。進捗状況の確認や工程の引き継ぎ、作業図面や工程の受け渡しなど、さまざまなシーンでコミュニケーションが必要となりますが、その多くは電話や写真、紙でのアナログなやりとりがされています。

「図面」がIT化を阻む理由

 もちろん、大手の建設業者の中にはIT化に積極的に取り組み、さらに一歩進んでDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、経済産業省の「DX銘柄」に選定された建設業者もいます。しかし、工事の現場においては、それが業者全体に行き届かなければ、結果として、業界全体でのITは進みません。

 たとえば、「図面」によるコミュニケーションの課題です。建設会社では図面を非常に多く使用します。ベースとなるのは、設計事務所が作成する基本設計図書で、これには設計図や設計関係の書類も含まれます。これらの書類を元に、総合建設業者が複数種の施工図を作成し、さらに専門工事業者に各工程の加工図や組立図を作成します。

 これらの図面はサイズが大きいため、雨に濡れたり、風に飛ばされることがないよう、仮設事務所の中で確認します。図面を参照したいときには、自分の持ち場を離れて事務所まで行かなければなりません。

建設業のIT化を加速させる「スマートグラス」とは

 こうした建設会社のアナログな業務を効率化するためには、たとえば自分の視野に別の映像を重ね合わせる「スマートグラス」を使うという手法があります。

 スマートグラスを使えば、建設資材に貼られたQRコードを読み込み、資材の設置場所や固定方法などの映像を視野内に表示するといったことも可能になります。さらには、スマートグラスに図面を映すことで、事務所に図面を確認しに行く手間も省けます。熟練工の作業風景をスマートグラスで録画することで、技術継承にも役立てられます。

 もし、スマートグラスを使わなくても、タブレットやスマートフォンを業務に用いれば、事務所に帰ることなく、図面をはじめとする紙の情報が画面で表示できます。進捗管理表を表示することで、その場でチェック項目の確認やメモなども行えるでしょう。業務の引き継ぎについても、複数人で同じ画面を見ながらできるので、効率が良くなります。

 こうしたスマートグラスやタブレットを始めとする無線通信デバイスは、情報を持ち運べるという観点だけでなく、遠隔地とのやり取りにも最適です。遠隔地からでも現場の状況が確認でき、これらを装着・携帯した作業員に指示すれば、目的の場所を詳しく見ることもできます。発注元の管理者による「段階確認」「材料確認」「立ち会い」といった業務にも対応できるでしょう。

 IT化を進めていけば、作業の効率化や人の省力化も期待でき、会社や事務所に常駐する社員のテレワークも可能になります。より柔軟性のある働き方を実現していくことは従業員満足だけでなく、人材獲得につながり、企業競争力の強化につなげる上でも重要な要素です。コロナ禍の今だからこそ、ITをうまく活用したコミュニケーション手法が求められているといえるでしょう。

導入事例掲載「建設現場のウェアラブルカメラ活用」

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