製造業の課題をAI、ネットワークで解決(第6回)

工場の安定運用のために、ネットワークをどう変えるべきか?

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 製造業の現場において、最新のデジタルの力を活かすためには、基本的なインフラとなるネットワーク環境を整備する必要があります。何をどう変えれば良いのか、いくつかのアプローチを紹介します。

 

ネットワークは「動けばそれでよし」ではいけない

 製造業がデジタル化を推進し、業務を効率化するためには、ネットワーク環境の整備に力を入れていくべきでしょう。ネットワークを軽視することで、これからの時代はさまざまな不利益が生まれる可能性があります。

 たとえば、安定性の確保です。ネットワークにトラブルが生じた際、その影響は決して小さいものではありません。生産活動が少し止まるだけで大きな損失につながることもあります。

 さらに、情報セキュリティも懸念事項です。IoTによってネットワークに接続するデバイスが増えることで、これまで予想していなかった情報セキュリティ事故が起きる可能性もあります。最近では大手自動車メーカーの取引先である、部品メーカーがサイバー攻撃を受けるという事案が発生。自動車メーカーは国内工場の稼働を停止せざるを得なくなり、サプライチェーン上のリスクが改めて浮き彫りになりました。

 企業によっては、工場内のネットワークを整備するにあたり、“デバイスが動けばそれでよし”という考えのもと、全体的な設計を意識せずに「継ぎ足し」の形でネットワーク拡張を繰り返しているケースもあるかもしれません。しかし、安定性や情報セキュリティレベルの高いネットワーク環境を構築するためには、より戦略的にネットワーク構成を考える必要があるでしょう。

工場の安定運用のために、ネットワークをどう変えるべきか?

 さまざまな機器や通信プロトコルが存在する工場内のネットワーク環境を最適な形に整備するには、以下の4点から考える必要があります。

1.堅牢なネットワーク機器の導入

 複数の機器にLANケーブルを接続する際、市販のスイッチングハブやネットワークスイッチを利用している現場もあるでしょう。

 こうしたネットワークのハブとなる機器について、今後工場でのネットワーク通信のパフォーマンスと安定性を考慮するのであれば、産業用ネットワークスイッチを導入すべきです。産業用ネットワークスイッチは、温度/湿度、電磁波、振動などにも耐えられる堅牢な造りとなっており、故障によるネットワーク障害のリスクを低減できます。

2.産業用イーサネットの集約

 工場では、生産設備間の通信には「産業用イーサネット」という通信プロトコルが使用されます。代表的なものはEthernet/IP(CIP)やPROFINET、Modbus、CC-Link IEなどがあります。産業用イーサネットに対応した産業用ネットワークスイッチを導入すれば、単一のスイッチだけでITシステムと現場の製造システムのネットワークが結べるため、ネットワーク構成がシンプルになります。

3.ネットワークやトラフィックの監視・可視化

 工場内の安定したネットワーク通信を維持するには、異常があった際にすぐに対処できる仕組みが必要です。具体的には、ネットワークの可視化とトラフィックの可視化です。

ネットワーク可視化では、いま工場内にどのような機器がどのように結線されているのかをトポロジーマップ(ネットワーク内に配置されている装置がどのように接続されているかを示すマップ)で表示するツールもあります。配線が複雑化して全体の構成が把握しづらい際には、このような可視化機能は工場内の設備の配置換えやネットワークトラブルシューティングにも大きく役立ちます。

 トラフィック可視化では、ネットワークにどのくらいの通信量が発生しているのか、ネットワークトラフィックで高い割合を占めているのはどの機器・どのアプリケーションなのか、といった情報がわかります。ネットワーク帯域が逼迫しているときの原因を特定し、トラブルを対処するのに役立ちます。

4.SDN技術の採用

 ネットワークが大規模になりネットワークスイッチが増えた場合は、それぞれのスイッチで個別に行っていた設定を、ハードに依存せずソフトウェアベースで柔軟に行えるSDく(Software Defined Networking)技術が役立ちます。ネットワーク機器に複数のベンダー製品を導入している場合、製品ごとに設定管理を行うため業務が煩雑になるケースがありますが、SDNはそうした作業が不要になります。

有線よりも無線のネットワークの方が良い

 ここまで挙げたようなテクノロジーをネットワークに導入するのであれば、同時にネットワークの無線化にも取り組むべきでしょう。

 ネットワークがケーブルを用いた有線のままの場合、設備のレイアウトに制約が生じたり、ケーブルが断線することがあるといったデメリットがあります。無線にすることで、このような問題が解消するだけではなく、施設内でハンディターミナルやタブレット、IoTや無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)といった端末や機器をワイヤレスでネットワークに繋ぎ、使用できます。

 工場内に導入する無線ネットワーク環境は、無線LAN(いわゆるWi-Fi)が一般的ですが、携帯電話回線(4G/LTEや5G)を利用するという選択肢もあります。最近では、自社で個別の5Gネットワークを運営する「ローカル5G」という技術も登場しています。ローカル5Gが導入できれば、ビルや敷地内全体で5Gの通信が利用できるため、敷地内に大量にW-Fiアクセスポイントを用意する必要もありません。

 「ウチにはまだ必要はない」「IT化を推進する気はない」という企業もまだまだ多いかもしれませんが、世の中にはすでにIT化が進んでいる製造業の事例が多くあります。

 多種多様な機械を使用する製造業の現場こそ、ネットワークを導入し、各機器を繋げることで、業務の効率化が可能になります。この機会に、本記事で取り上げたような取り組みを推進してみてはいかがでしょうか。

事例掲載、製造業の「スマートファクトリー化」ガイド

無料ホワイトペーパーのダウンロードはこちら

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

「ビジネスの最適解」をお届けします 無料ダウンロード資料


メルマガ登録


経営力向上セミナー


「人材不足」を働き方改革で乗り越える


教育機関向け特集


自治体向け特集


イベント・セミナー情報


ICTコンサルティングセンタ

ページトップへ