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2022.03.25 (Fri)

小売業で広がるICT活用(第28回)

実店舗での顧客の行動を見える化する「導線分析」とは

 テクノロジーの発展に伴い、小売業界のあり方も変化し続けています。現在、そんなテクノロジーの発展により注目されているのが、「店舗の導線分析」です。導線分析とは、どのような内容なのでしょうか。

 

導線分析とは何か

 店舗の導線分析とは、顧客の動きを計測・分析することです。分析することで、需要の有無や心理状態などを導き出します。計測する情報は、入店人数や顧客の動き、購入商品のほか、顧客の年齢・性別、店内の回遊状況なども含まれます。

 導線を分析し、売り場ごとの最適な商品配置や、従業員の効率的な配置を導き出すことで、店舗を顧客に合わせて最適化していくことが可能になり、売上機会の損失防止が期待できます。

 導線分析の技術は進化を続けており、最近は顧客が棚の前で興味を抱いて眺めた商品、実際に手に取った商品、手に取ってから棚に戻した商品、購入に至った商品など、行動を細かく把握することができます。

 また、デジタルサイネージ(電子ディスプレイを利用した広告表示)と組み合わせることで、顧客ごとに最適化された広告を表示し、顧客単価の向上につなげる試みも行われています。

顧客導線分析・導線管理に用いられるツールやソリューション

 カメラやセンサーで取得した情報を分析するために、さまざまなツール・ソリューションが活用されています。ここでは実際の店舗で使われているツール・ソリューションをいくつか紹介します。

Moptar

 顧客一人ひとりを長時間、精密に追跡するだけでなく、特定の顧客の導線をマップで表示させることも可能です。その結果をもとに、商品陳列や品揃えの改善につなげることができます。リアルタイムすることで、立ち寄りが少ないエリアへ誘導を促すことも可能になっています。

ABEJA Platform for Retail

 店舗入口から前面の通路にかけてカメラやセンサーを設置し、時間、日、月ごとに店前通行量を把握します。店舗入り口のカメラを使って来店人数を測定することも可能で、POSと連携させることで、購買率も把握できます。

 カメラで来店した顧客の顔を捉えることで、年齢、性別の属性を推定するだけでなく、新規顧客か再来顧客かを判断する機能も搭載されています。「店舗に陳列している商品が想定顧客に購入されているどうか」など、仮説の検証に使うことも可能です。また顧客の滞在時間や、立ち寄る回数の多い場所を把握することで、店舗内の陳列や接客の改善が期待できます。

AIBeacon

 AIBeaconは、Wi-FiとBluetoothを介して顧客のスマートフォンと連動する導線分析ツールです。AIBeaconの端末を店舗に設置し、スマートフォンとAIBeaconと電波接触があったことをサーバーに送ることで、データを収集します。専用のスマートフォンアプリをインストールしている顧客には、商品への誘導や購買喚起などを、スマートフォンアプリを通じてリアルタイムに行うことも可能です。

RICOH - 360Analysis

 会場や店舗の様子を1台のカメラで撮影してクラウド上に蓄積し、分析することができます。エリアや日時別の人数の推移も可視化でき、ヒートマップで人が長く滞在しているエリアを可視化できます。1台のカメラで広範囲を撮影可能で、導入コストが低い点も特長です。

SkyREC

 天井に設置したカメラから来店人数を把握します。ディープラーニングの技術を活用して顧客の年齢、性別を推定することができ、導線も把握できます。顧客の導線や接触した商品などの分析し結果はダッシュボードに表示されます。

まとめ

 導線分析ツールを導入すれば、顧客の店舗内の行動が把握できます。商品配置の最適化や店員の配置の最適化だけでなく、店内に設置したデジタルサイネージとの連携などで関連する商品をレコメンドするなど、購買単価の向上も期待できます。導入コストとメリットを慎重に検討する必要はありますが、これからの小売店経営に欠かせないツールになっていく可能性は高いでしょう。

顧客分析で業務を変革するスマートストア実践例

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