2022.3.25 (Fri)

小売業で広がるICT活用(第26回)

通り過ぎるだけで決済完了! 「ウォークスルー決済」とは

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 セルフレジを導入する小売店が日本でも増えており、この流れは今後も加速すると思われます。一部で実用化されはじめているのが、セルフレジをさらに進化させた「ウォークスルー決済」です。今回は、小売業界の常識を変えるかもしれないと注目される「ウォークスルー決済」について紹介します。

ウォークスルー決済とは

 ウォークスルー決済とは、レジを通り過ぎるだけで決済を行う仕組みのことで、コンビニエンスストアや小型スーパーといった小売業界を中心に実用化が進んでいます。ウォークスルー決済を利用するのに必要なのは、事前にアプリケーションをインストールし、登録を済ませたスマートフォンで、QRコードを表示してゲートにかざし、入店します。あとは通常の買い物と同じように商品を選ぶのですが、店内に設置されたカメラや陳列棚の重量センサーなどが、どの商品を持ち出したかを解析。退店用ゲートを通過する際に、自動的に会計と決済が行われます。ゲートを通り過ぎる(ウォークスルー)だけで決済が完了することからウォークスルー決済と呼ばれており、退店後にはスマートフォン上に領収書が表示されます。

 顧客にとってウォークスルー決済の最大の魅力は、レジを通り過ぎるだけで商品を購入できる手軽さでしょう。たとえば、オフィスビルに入っているコンビニエンスストアがウォークスルー決済を導入したとします。就業前やランチタイムなど利用が集中する時間帯の場合、通常の店舗はレジに行列ができ、商品を買うだけで数分はかかってしまいます。ウォークスルー決済の場合はレジ待ちの時間が不要になるだけでなく、財布を持つ必要すらありません。時間を節約したいビジネスパーソンにとって、ウォークスルー決済は歓迎したいシステムではないでしょうか。

 店員と言葉を交わしたり金銭を受け渡す必要がない点も、コロナ禍における時代のニーズにマッチしています。感染対策という観点からすると、非対面、非接触で会計できることや、店内にいる時間がなるべく短いことが好まれます。セルフレジでは店員との金銭のやりとりは発生しませんが、タッチパネルでの選択など専用端末の操作を必要とする場合が多いため、ウォークスルー決済は感染対策の面でもリスクが低いといえます。

 ウォークスルー決済とはさまざまな技術によって実現された、自動化を突き詰めた新たな買い物の手段なのです。

店舗側のメリット

 では、店舗側から見たウォークスルー決済の利点とは何でしょう。

 まず挙げられるのが、人件費を抑えながら営業できる点です。ウォークスルー決済を導入した店舗は基本的に無人であり、レジ係が常駐する必要はありません。商品補充や清掃などを担当する店員は必要かもしれませんが、通常の店舗と比較すると人件費の大きな削減が期待できます。

 店内に設置されたカメラやセンサーで店内や棚前での顧客の行動を収集し、そのデータを詳細な顧客分析に利用することもできます。一般的なキャッシュレス決済で抽出できるのは購入履歴を中心としたデータになりますが、ウォークスルー決済では顧客の行動パターンといった、より詳細な情報が集められるため、店内の商品陳列方法や品揃えの改善につなげられる可能性があります。

 スマートフォンでの利用が前提となるため、たとえば生鮮食品で売れ残りがある場合はプッシュ通知機能を活用して顧客に値引きを知らせ、購入を促すこともできます。こうした仕組みはフードロスの削減にもつながるでしょう。

ウォークスルー決済の事例

 現在では、おもにコンビニエンスストアやスーパーといった小売業界がウォークスルー決済を導入しています。

CATCH&GO

 株式会社ダイエーと株式会社NTTデータは2021年9月、レジを通すことなくキャッシュレス決済が可能なウォークスルー店舗「CATCH&GO」を、NTTデータ社内にオープンしたと発表しました。

 顧客は専用のスマートフォンアプリがインストール済みのスマートフォンを入店ゲートにかざして入店します。欲しい商品を手に取って退店するだけで設定したクレジットカードを使い決済されるため、レジ精算やバーコードのセルフスキャンといった作業が一切不要です。

 同店は国内のウォークスルー店舗の中で最大規模の面積(約37平方メートル)であり、弁当や飲料、菓子、冷凍食品など約600品目を扱っています。

KINOKUNIYA Sutto 目白駅店

 株式会社紀ノ國屋は2020年10月、無人決済店舗の開発を進める株式会TOUCH TO GOと共業し、JR目白駅改札外の店舗を「KINOKUNIYA Sutto 目白駅店」としてリニューアルオープンしました。同店舗は紀ノ国屋初の無人決済小型スーパーマーケットです。

ローソン

 株式会社ローソンは、2020年2~5月までの間、デジタル技術を活用し、レジを通らずに買い物ができる“レジなし店”の実証実験を行ったと発表しています。

 こちらは株式会社富士通研究所が開発した、手のひら静脈と顔情報のみで本人を特定し、非接触で認証できる生体認証を融合したデジタル技術(マルチ生体認証)を世界初導入した店舗です。 同社はこの実験を応用し、「年齢制限のある商品についてもレジなし店舗で販売できるように推進していく」と述べています。

まとめ

 ウォークスルー決済ははじまったばかりの技術ですが、顧客にとって利点が大きいため、普及が進む可能性が大きいといえるでしょう。導入にはカメラやセンサーの設置など、初期投資が必要である点が課題であるものの、レジでの会計、決済作業が不要となる購入体験は、待ち時間などのロスを少なくしたいニーズに合致します。小売業界でウォークスルー決済に興味を抱いた人は、今後の動きを注視しつつ導入の検討を進めましょう。

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