2022.3.25 (Fri)

小売業で広がるICT活用(第15回)

メーカーが顧客に直接販売、D2Cが注目を集める理由

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 近年のICT技術の発展は、新しいビジネスモデルやマーケティング手法を生み出しました。とくに、オンラインショッピングをはじめとする、インターネットを活用したビジネスモデルは、顧客の購買行動に大きな変化を与えたと言っても過言ではありません。ここでは、なかでも最近注目を集めている「D2C」と呼ばれるビジネスモデルを取り上げ、どういった要因がD2Cを成功に導いたのか、その背景について解説します。

D2Cとは

 D2C(DtoC)は、「Direct to Consumer」の略語です。ビジネスモデルを「顧客は個人か企業か」という観点で分類すると大きく「BtoC(Business to Customer、B2Cとも)」と「BtoB(Business to Business、B2Bとも)」に分けることができますが、D2Cは「BtoC」に当たります。D2CがほかのBtoCと異なるのは、卸売企業や小売企業を介さず、製造から販売まですべてを自社で行う点です。

 D2Cの主流は、インターネットを通じて販売を行うD2Cです。売れるネット広告社の調査によると、D2Cの市場規模は2025年には3兆円になると予測されています。似た意味のビジネスモデルを示す言葉で、「SPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)」というものがありますが、SPAは、ユニクロやH&Mのようなアパレル企業を対象に使われるのに対して、D2Cはアパレルだけではなくどの分野においても使われる言葉です。

D2Cの事例

Mr.CHEESECAKE

 Mr.CHEESECAKEは「世界一じゃなく、あなたの人生最高に。」の理念のもと、2018年にオープンしたチーズケーキ専門店です。インターネット販売のみ、かつ日曜日と月曜日の午前10時からの数量限定販売という、一風変わった販売方法が注目を集めています。オリジナルプレゼント用ラッピングや期間限定ギフトカードなどのサービスにも力を入れているほか、Instagramでオリジナルスタンプを配信したり、Twitterで期間限定フレーバーのアンケートを実施するなど、SNSを中心に大きな話題を呼んでいます。

バルクオム

 バルクオムは2013年にオープンした、男性向けのベーシックスキンケアに特化したスキンケアブランドです。2015年にサブスクリプションによる直販を開始し、InstagramやTwitterなどで注目を集めました。2020年7月にはシリーズ累計出荷本数が500万本を突破。現在ではアジアやヨーロッパを中心に海外進出を達成するなど、20〜30歳の男性をメインターゲットにしたグローバルブランドに成長しています。

COHINA

 COHINAは2018年1月にオープンした、女性をターゲットとしたアパレルブランドです。身長155cm以下の女性を対象とした洋服を展開し、商品ページに担当モデルの身長を詳細に記載することで、着用時の具体的なイメージを顧客に喚起することに成功しています。Instagramのライブ配信が話題となり、オープン後1年で月商5000万円を達成しています。2021年5月にはスタッフによる接客を重視し、在庫を店内に置かない「試着特化型店舗」を東京・表参道に期間限定オープンしたことでも注目を集めました。

D2C成功事例の共通点

 これまで紹介した成功事例の共通点として、以下のことが挙げられます。

SNSを活用した広報活動

 SNSでの発信力を強化することによって、顧客が日常で広告を目にし、認知するきっかけを演出しています。近年のSNSは、AIによって顧客の検索履歴から趣味・嗜好を判断し、それに合った広告を表示させるレコメンドシステムが採用されています。これにより、想定ターゲットに近い顧客に情報を届けやすくなりました。また、顧客とメーカーのSNSを通じたコミュニケーションが、メーカーへの信頼情勢につながり、コアなファン層の形成にも貢献しているようです。

顧客ニーズへの迅速な対応

 従来のビジネスモデルでは卸売企業や小売企業などがメーカーと顧客の間に介入しているため、顧客の声がメーカーに届くまでに時間がかかっていました。しかし、SNSを通して顧客と密接に関わることで、より早く顧客のニーズを把握できるようになり、すぐに商品に反映できるため、高い顧客満足度を得ることができます。

まとめ

 コロナ禍での外出自粛ムードは、私たちの購買行動を変化させました。食品や衣類のオンラインショッピングの普及が拡大するだけでなく、SNSの発展によって商品やブランドを認知するプロセスも変わりつつあります。これまでも「メーカー直販店」など、D2Cのようにメーカーが顧客に直接販売を行う例はありましたが、オンラインショッピングのハードルが低くなることで、メーカーと顧客の距離は近くなっています。オンラインショッピングの活用と、SNSでの情報拡散をうまく組み合わせたD2Cの成功例は、これからメーカーが事業を拡大する上で参考になるのではないでしょうか。

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