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2022.03.25 (Fri)

小売業で広がるICT活用(第13回)

小売業界の業務効率化が期待できる技術「RFID」とは

 近年、「RFID(Radio Frequency Identification)」と呼ばれる技術が小売店をはじめ、さまざまな業界に導入されています。RFIDは、スキャンする必要がないため、多くの業務で効率化が図ることができると注目を集めています。ここでは、RFIDの概要のほか、導入によるメリットなどを紹介します。

RFIDとは何か

離れていても複数タグを一括読み取り可能

 RFIDとは、電磁波を用いて、商品名や値段といった情報が書き込まれたRFタグを非接触で読み書きする技術です。距離が離れていても複数のタグを一括で読み取れるのが特徴で、レーザーなどを使ってひとつずつ読み取るバーコードと比べて、素早い処理が期待できます。

RFタグとは

 RFタグは非接触で情報を読み書きできる記録媒体で、電子タグや無線タグなどと呼ばれています。カード型やシール型など複数の種類が存在しており、商品や場面によって適切な種類を使います。一般的なバーコードと異なり、情報を書き換えることができるのが大きな特長です。

RFIDの仕組み

 RFIDは以下の流れで情報の読み書きを行っています。

1. 専用のリーダー(読み取るための機械)からRFタグへ、電波で情報を送信します。
2. RFタグに内蔵アンテナで電波を受信すると、アンテナが微弱な電力を発生させ、情報を取得します。
3. タグ内で情報の読み書きに必要な処理が行われます。
4. タグ内の情報がリーダーに送信されます。
5. リーダーがRFタグの情報を受信します。

RFIDの種類

 RFIDは周波数帯によって、以下の4種類に分けられています。

LF帯

 LF(Low Frequency)帯は135KHz以下の周波数帯で、車のキーレスエントリーなどに利用されています。通信距離が短く、小型化が難しいというデメリットもあります。

HF帯

 HF(High Frequency)帯は13.56MHzの周波数帯で、交通系ICカードなどに利用されています。通信距離は短いものの、小型化が容易であり、水の影響を受けにくいといった特徴があります。

UHF帯

 UHF(Ultra High Frequency)は極超短波とも呼ばれ、300MHz~3GHzの周波数帯となります。日本国内のRFIDは、おもに900MHz前後が使われています。通信距離が比較的長いため、在庫管理や自動検品などに利用されています。

マイクロ波帯

 マイクロ波(Microwave)帯は、2.45GHzの周波数帯です。通信距離はおおよそ2~3メートル。電子レンジや無線LAN(Wi-Fi)でも利用されているため、電波干渉を受けやすいという特徴があります。

RFIDの特徴

 RFIDはバーコード読み取りと比較されることが多い技術です。では、バーコード読み取りと比べてどのような特徴があるのでしょうか。

複数タグの同時読み取り

 バーコード読み取りの場合、バーコードをリーダーでひとつずつ読み取る必要があります。しかしRFIDであれば、複数のRFタグを同時に読み取ることができます。商品などにRFタグを採用することで、棚卸などの作業時間短縮が期待できます。

長距離からの読み取り

 バーコード読み取りと比較して、読み取り距離が長いのもRFIDの特徴です。たとえば仕入検品などの倉庫作業などで、高所にある商品も脚立などを使うことなく読み取れるため、従業員の安全性向上が期待できます。

箱を開けずに中身を読み取り

 商品などが箱の中に入っていた場合、バーコード読み取りの場合は箱を開けて商品を取り出し、読み取る必要があります。しかしRFIDは、箱の外から読み取ることができます。RFID数をカウントすることもできるため、箱の中の商品数を把握したいときにも便利です。

読み取り部分の汚れも問題なし

 バーコード読み取りはバーコードをレーザーで読み取る仕組みとなっているため、バーコードが汚れていると読み取れないことがあります。しかし、RFIDは読み取りに電波電磁波を使っているため、タグ表面の汚れは関係ありません。

情報の書き換えが可能

 従来のバーコードは一度印刷されると、情報を書き換えることができませんでした。RFIDは情報の書き換えが可能なので、再利用することができます。

RFIDの導入事例

株式会社シップス

 紳士服や婦人服、雑貨を販売するセレクトショップ「SHIPS」を運営する同社では、人材不足および接客以外の付帯業務軽減を課題としていました。2014年にSHIPS Daysという新たな業態を開始するタイミングで、棚卸や売上登録、入荷検品などの業務をRFIDに置き換える実証実験をスタート。結果、棚卸に関してはバーコード読み取りに比べて約10分の1の時間短縮につながったほか、棚卸に関わるのべ人数も約10分の1に抑えることに成功しました。また、売上登録業務もバーコードと比べて約4割の時間短縮を実現しています。

まとめ

 RFIDは小売業をはじめ、さまざまな分野で導入が進んでいます。棚卸や売上登録などさまざまな場面での業務をRFIDに置き換えることで、業務の効率化が大いに期待できる技術となっています。今後さらに低価格化、高機能化、小型化が進むことで、より多くの分野で採用が進むと思われます。人材不足などが課題となっている小売業の方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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