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2022.03.25 (Fri)

小売業で広がるICT活用(第12回)

O2Oとは何なのか?その特徴や事例を紹介

 近年オンラインで物を購入することが増えています。インターネットでは検索性が高いうえに、自宅にいながら購入できるため、実店舗で購入するより早くほしいものを手に入れることができます。この流れは、コロナ禍における外出自粛によって加速しています。しかし、実店舗の役割が完全になくなったわけではありません。インターネット上の店舗とリアル店舗は共存可能で、ときには両方あるからこそのシナジー(相乗効果)が生まれることもあります。そんな両方の販売チャネルを生かしたマーケティング手法のひとつとして「O2O」が挙げられます。

O2Oとは

O2Oの意味

 O2Oとは「Online to Offline」を略した表現です。Webサイトなどのオンラインから顧客の実店舗での購買活動を促す、という意味になります。代表的なものとしては、店頭で使える割引クーポンやサービスクーポンをオンラインで提供することが挙げられます。もともとO2Oは、「ショールーミング対策」として広まったといわれています。ショールーミングとは、実店舗で商品を確認して、ネットで安く購入すること。実店舗が、商品を確認するだけのショールームとして利用されているため、こう呼ばれています。

 ショールーミングはオフライン(実際の店舗)からオンライン(ECサイト)という流れですが、O2Oはその逆で、オンラインからオフラインへ顧客を誘導する取り組みです。今ではショールーミング対策だけでなく、新規顧客を獲得するための施策としても活用されるようになっています。

スマートフォンの普及

 O2Oを実践するためには、まずオンラインで顧客に情報を発信する必要があります。この部部分で、スマートフォンの普及が大きな役割を果たしています。総務省の「令和2年通信利用動向調査」によると、「スマートフォンを保有している世帯の割合が86.8%と堅調に伸びており、個人の保有割合も増加傾向にある」とされています。

 インターネット利用者の割合は、13~59歳の各年齢層で9割を超えています。このうち、個人のインターネット利用機器に関しては、スマートフォンがパソコンを上回り、13~59歳の各年齢階層で8割以上が利用しています。O2Oが注目されている背景には、スマートフォンの普及によって、インターネットを通じた顧客への情報発信が容易になったことがあります。

SNSによる情報共有の拡大

 総務省の「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、全年代でモバイルメッセンジャーアプリ「LINE」の利用率は増加し続けており、10~60代までで90%を超え、動画共有サイト「YouTube」は85%、SNSであるTwitter、Instagramの利用率は10~60代では42%となっております。特に10代、20代では約7割が利用しています。

 SNSの大きな特徴として、情報拡散能力が高いことが挙げられます。SNSアカウントを作成し、宣伝に力を入れている企業も増加しています。

リアル店舗への再評価

インターネットが普及したことで、ECサイトの利用者が増加しました。しかし現代の技術では、顧客がオンラインで実店舗と同じような体験をすることは困難です。例えば衣服を購入する場合、オンラインでは細かいサイズ感や生地の質感などわかりません。こういった点は、実店舗でしか確認することができません。

O2Oの特徴

 オンラインからオフラインという流れで顧客を誘導するO2Oは、次のような特徴を持っています。

管理のしやすさ

 これまで、割引クーポンなどは紙で発行していたため、管理には多くのコストがかかっていました。これに対してO2Oではオンラインでクーポンを発行するため、管理コストを削減できます。しかも、クーポンがどれだけ利用されたかというデータや、クーポンを利用した人のデータも取得することができます。

新規顧客の獲得が期待できる

 実店舗における新規顧客獲得の施策では、チラシや看板広告など、地域性の強い広告媒体が主に選ばれていました。ただしチラシや看板広告は、特定の地域に絞ってアプローチできる反面、届く範囲が限定的となってしまいます。かといってテレビなどのマス広告を使うと、ターゲットが広くなりすぎるうえに、コストも膨大になります。

 その点Web広告であれば、マス広告よりもユーザーの属性に合わせて露出を限定できるためコストを抑えつつ、プロモーションの範囲をコントロールすることが可能です。オンライン上で多くの人に認知される可能性を増やせるので、新規顧客が獲得しやすいといえます。

修正を加えやすい

 看板広告などの場合は内容の変更が簡単ではありませんが、オンラインの場合、状況に合わせてテキストや画像などを臨機応変に修正することができます。

効果測定ができる

 O2Oは、顧客の反応をすぐに数字で確認することが可能です。例えば、デジタルクーポンの利用率、SNSの投稿の反応、メールマガジンのクリック率などで、施策の効果を把握することができます。前述の「修正を加えやすい」という点と合わせることで、蓄積されたデータをもとに、ターゲット別の最適な販促アプローチをすることも可能になります。

O2O施策紹介

 ここからは、実際にどのようなO2Oの施策が行われているのか紹介していきます。

クーポン配布

 従来のクーポン割引は、紙に印刷するものが主流でした。来店した顧客に対してチケットやチラシを直接渡し、再来店の効果を期待するというものでした。O2Oにおけるクーポンとは、これをインターネット上で実施したものです。紙のクーポンとは違い、紛失する恐れがありません。また、Web上のクーポンはSNSと連動させることで、拡散することもできます。ネット広告と同時にクーポンを発行するとより大きな効果を出すことができます。

位置情報システムとの連動

 スマートフォンの位置情報を活用し、ユーザーの近くの店舗の割引クーポンやセールの情報を発信することができます。位置情報と紐づけたクーポンの発行や商品紹介の仕組みをシステムに組み込むことができれば、余分な広告費をかけることなく、効率的に顧客の来店を促進することが可能です。

QRコード

 実店舗で、QRコードと一緒にアプリやSNSの登録を勧めているチラシがありますが、実はそれもO2Oの施策のひとつになっています。顧客にQRコードを読みこんでもらうことで、さまざまな情報を送ることができ、さらなる店舗の利用につながります。

O2Oの事例一覧

 O2Oの特徴について説明してきましたが、ここからは実際にどのように使われているのか、いくつかの使用例を紹介していきます。

Ponta Friends

 Ponta Friendsは、パズル&位置情報系まちづくりのスマートフォン向けゲームで、ゲーム内で、実生活で使うことができるPontaポイントを手に入れることができます。ゲーム内では、現実世界の位置情報を使って、実際に街を歩き、距離に応じてアイテムを入手することができます。Twitter上のハッシュタグを付けた投稿に関連して、Pontaポイントをプレゼントする企画もあります。ゲーム(オンライン)を通して、オフラインでのポイント利用を促している一例です。

ビックカメラ

 公式アプリの新規ダウンロードで、実店舗で利用できるクーポンを配信。さらにほしい商品を登録しておくことで、該当商品が店舗に入荷された際に通知を受け取ることが可能。店舗のどこに配置されているかなど、詳しい情報も得ることができます。アプリでは、商品の在庫状況や細かい情報、口コミを見ることができます。

まとめ

 今回O2Oの基本的な情報から、実際にどのように活用されているかを解説しました。オンラインショッピングが普及した今、消費者の購買行動も大きく変化しています。オンライン、実店舗と分けて考えるのではなく、O2Oを活用してそれぞれの良さを引き出すことが、売上の向上につながるのではないでしょうか。顧客のニーズに合わせた、適切なO2O施策を利用しましょう。

顧客分析で業務を変革するスマートストア実践例

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