2022.3.25 (Fri)

小売業で広がるICT活用(第8回)

ダイナミックプライシング(価格変動制)とは? 覚えておきたい基本情報や事例を紹介

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 インターネット上で航空券やホテルを予約したことがある人は、少なくないでしょう。その際、予約するタイミングによって同じ日時の、同じ場所(ホテルの部屋や座席など)でも値段が変動して驚いた経験はありませんか。このような事象が発生するのは、各ホテルや航空会社が、ダイナミックプライシング(価格変動制)という販売手法を取り入れているからです。なぜダイナミックプライシングが採用されるようになったのでしょうか。今回はダイナミックプライシングの概要や事例などを紹介します。

ダイナミックプライシングとは?

 ダイナミックプライシングとは、商品・サービスごとにさまざまなデータで需要と供給のバランスを見極め、価格設定を変動させる手法で、小売業などで注目を集めています。人気がある商品・サービスやオンシーズンの場合は値段を上げることで売上高を増やします。人気がない商品・サービスやオフシーズンの場合は、価格を下げて売上数を増やし、一定の売上高を確保します。

 たとえば航空券の場合、ゴールデンウィークやお盆、年末年始など繫忙期になると需要が高くなるので価格設定が高くなります。ホテルなどの宿泊施設でも同様です。そして閑散期には、値段を下げて需要を促します。

ダイナミックプライシングを採用しやすい商品・サービス

 前述の飛行機予約やホテル宿泊のほかにも、どのような商品・サービスがダイナミックプライシングを採用しやすいのでしょうか。

 ダイナミックプライシングを採用しやすい商品・サービスとしては「消費期限があるもの」が挙げられます。身近なものとしては、飲食料品です。スーパーやコンビニエンスストアで、消費期限が近い飲食料品に値下げシールが貼られることがありますが、これもダイナミックプライシングの一種です。

 一定期間後にリニューアルする商品・サービスも、ダイナミックプライシングに適しています。たとえば洋服の場合、春夏物は秋が近づくと在庫一掃セールが行われる場合がありますが、これもダイナミックプライシングといえます。

ダイナミックプライシングの導入事例

CaSy

 料理・掃除の家事代行サービス「CaSy」を運営する株式会社CaSyは、家事代行スタッフと利用者間のマッチング予測値によってキャストの報酬を変動させるダイナミックプライシングを採用しました。履歴データをもとに案件ごとのマッチング予想値をAIで判定し、マッチングが難しいと予測されたら家事代行スタッフへの報酬を増額します。これにより家事代行スタッフと利用者間の需要と供給バランスに対応するとともに、マッチング率向上をはかっています。また、家事代行スタッフからは「普段より高報酬の案件が選択できるのはうれしい」などの声があがっているなど、モチベーション向上にもつながっています。

SRS

 京王電鉄バス株式会社は、同社が運営する運行事業者向け高速バス座席予約システム「SRS」に、ダイナミックプライシングを導入。コロナ禍で乗車人数が減少しているにも関わらず、2021年1~4月間は数%の収益向上効果が出ました。また、従業員のレベニューマネジメント(収益最大化のために行う販売管理)に対する意識向上にもつながったといいます。

akippa

 駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippa株式会社は、ダイナミックプライシングをリアルタイムに自動で行うシステムを導入しました。同社が所有する駐車場予約データをAIが解析し、駐車場ごとに最適な価格を算出。これまでは料金設定に大きな労力と手間がかかっていましたが、ダイナミックプライシングの導入により駐車場オーナーに手間をかけることなく料金設定できるようになりました。

ayumi hamasaki COUNTDOWN LIVE 2019-2020
~Promised Land~ A

 エイベックス・エンタテインメント株式会社は、ライブ「ayumi hamasaki COUNTDOWN LIVE 2019-2020 ~Promised Land~ A」のチケット販売にダイナミックプライシングを採用しました。独自のアルゴリズムにより、需要と供給のバランスに応じた適正価格でチケットを販売することで、納得感のあるチケット購入体験を演出するとともに、不当な高額転売の抑止効果も期待できるとしています。

まとめ

 食料品の値下げシールや洋服の在庫一掃セールなど、ダイナミックプライシングの仕組み自体は昔からありましたが、AIの進化などにより活躍の場が広がりつつあります。ダイナミックプライシングを導入するためのツールを販売する企業も存在します。さらなる売り上げ向上を狙う小売業の方は、導入を検討してはいかがでしょうか。

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