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ICTで製造業はどのように変わるのか(第13回)

インダストリー4.0とは?概要や課題、事例などを紹介

 近年、製造業界では「インダストリー4.0(Industry 4.0)」という言葉に注目が集まっています。インダストリー4.0とは、第4次産業革命という意味を持ちます。水力・蒸気機関を利用した工場設備が導入された第1次産業革命、石油・電力によって大量生産できるようになった第2次産業革命、ICTを活用した第3次産業革命に続く、歴史における大きな分岐点ととらえられています。ここでは、インダストリー4.0の概要や課題、事例などについて紹介します。

インダストリー4.0とは

 インダストリー4.0は、ドイツで2011年に公開された構想が由来となっています。従来のプロセスにIoTやAIなどの技術を取り入れることで、開発・製造・流通プロセスを最適化することを目的としています。たとえば工場内の製造ラインを流れる部品を監視し、規格外の部品を自動的に製造ラインから外す、といったようなことも行えるわけです。

 インダストリー4.0の恩恵にあずかれるのは、製造現場だけではありません。取得したデータをインターネット経由で収集・分析することにより、テレワークによる遠隔監視や、本社で分析データをもとに新商品を検討するなど、さまざまな場面での活躍が期待されます。

インダストリー4.0を理解する上で知っておくべきキーワード

 インダストリー4.0を実現するうえで、理解しておきたいキーワードは3つあります。ひとつはIoTです。IoTはInternet of Thingsの略称で、直訳するとモノのインターネットになります。工場内の製造設備とIoTをつなげることで、さまざまなデータを送信することができます。

 2つめはAIです。AIはArtificial Intelligenceの略称で、人工知能のことを意味します。AIを活用することで、人が製造設備に指示を出さなくても、コンピュータが自動で最適な指示を出してくれます。

 3つめは、ビッグデータです。総務省が公開している平成24年版情報通信白書によると、ビッグデータは「典型的なデータベースソフトウエアが把握し、蓄積し、運用し、分析できる能力を超えたサイズのデータ」と定義されています。前述のIoTを活用して工場内のさまざまなデータを取得し、集計・分析するうえでは欠かせません。

インダストリー4.0でもたらされること

 IoTやAI、ビッグデータにより工場内の製造設備が最適化されると、マスカスタマイゼーション実現の可能性が高まります。マスカスタマイゼーションとは日本語に訳すと「多品種大量生産」という意味になり、大量生産の仕組みを使ってオーダーメイド製品を製造する取り組みを示します。これまでオーダーメイド製品は人の手により製造されているケースが多かったのですが、マスカスタマイゼーションが実現することで、大量生産と同様の効率性でオーダーメイド製品が製造できるようになります。

インダストリー4.0の課題

 インダストリー4.0を実現する際に課題となるテーマは2つあります。ひとつはセキュリティです。これまでオフラインで動いていた製造機器をインターネットに接続することにより、マルウエアなどのサイバー攻撃に遭う可能性が高まります。総務省が公開した「サイバー攻撃に関する最近の動向」によると、2019年に発生したサイバー攻撃のうち、約半数がIoT機器を狙った攻撃でした。IoTを活用したインダストリー4.0を実現するには、十分な情報セキュリティ対策が必要といえるでしょう。

 もうひとつの課題は、通信環境です。IoTで結ぶ製造機器の数に比例して、インターネットのトラフィックは増加します。そのため工場内の通信環境も、必要に応じて見直す必要があります。最近はローカル5Gなど、工場内で利用できる高速な通信環境が注目を集めています。

インダストリー4.0の事例

 アメリカのバイクメーカーであるHarley Davidson社は、2009~2011年にかけて、工場を刷新しました。すべての製造機器や移動機器の稼働状況をモニタリングし、顧客からカスタム発注を受けた際は、必要となる部品のリストを即座に読み込み生産計画に反映。必要となる部品の在庫確認および手配を行います。結果、作業員の数を半分に、納品リードタイムを2~3週間短縮できました。

まとめ

 インダストリー4.0により、工場の生産性は劇的に向上する可能性を秘めています。導入に向けてセキュリティやネットワーク、およびそれらを導入するコストなど数々の課題はありますが、実現すれば生産性の大幅な向上が期待できます。前向きな検討を進めていきましょう。

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