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ICTで製造業はどのように変わるのか(第10回)

製造業における情報セキュリティリスクの高まりとその対策方法

 従来の工場では外部との接点がなかったため、システムを導入してもサイバー攻撃を受ける危険はほとんどありませんでした。しかし、近年では工場にネットワーク設備を構築し、インターネットを介して作業工程を自動化する仕組みが定着しつつあります。今回は、そうした中で懸念されているの製造業におけるセキュリティリスクの高まりと、対策方法について解説していきます。

製造業におけるセキュリティリスクの高まりとその背景

 長年にわたって日本の経済成長を支えてきた製造業に変革の波が訪れています。昔の工場では、製造ラインに配置された従業員が、手作業によって組み立てを行っていました。しかし産業用ロボットの登場によって、人の手を使わない作業工程が多くなりました。近年ではさらなるテクノロジーの発展に伴い、工場でもIoTが活用されるようになりました。IoTとはモノのインターネットを意味する言葉で、さまざまな機械やデバイスとインターネットをつなぐ役割をはたします。

 このIoTを活用し、工場全体を自動化することで最適化を図る「スマートファクトリー」という考え方が、製造業で注目されています。スマートファクトリー化を図ることで工場全体の状況をリアルタイムで一元的に管理し、AIを使用して集約したデータを分析することで生産効率を向上させるのです。

 一方で、サイバー攻撃などの情報セキュリティリスクは高まっています。従来の製造業で使われるシステムは、「外部との接続を行わないこと」が情報セキュリティ対策でした。しかし、IoT機器を使うためにはインターネットへの接続が必要となります。このため、IoT機器へのサイバー攻撃による重要なデータへの不正アクセスやマルウエア感染などのリスクが懸念されています。工場内の機械を遠隔操作されたりデータの改ざんなどが起きてしまえば、事業に深刻な影響を及ぼします。

製造業におけるサイバー攻撃の事例

ノルウェーのアルミニウム生産工場

 ノルウェーに本社を置く世界有数のアルミニウム生産企業が、ランサムウェア「LockerGoga」の被害を受けた事例です。

 40カ国・160の拠点の2万3,000台のパソコンのうち、およそ半数の1万1,000台がこのランサムウェアに感染しました。被害を受けたのは発注や顧客情報管理のコンピューターなどと言われていますが、製造用のコンピューターも被害を受けたと推定されています。これにより同社は長期間にわたり手作業による製品の製造を強いられ、数カ月にわたって生産量が低下しました。

ドイツの自動車工場

 2005年にドイツの自動車工場で、外部から持ち込まれたノートパソコンが原因でマルウエアによるウイルス感染が発生、生産が50分間停止しました。工場内の機器だけではなく、取引先にもウイルス感染が発生し、復旧費用など含め総額約17億円の損害が発生しました。

製造業における今後のセキュリティ対策

 製造業でネットワークを活用する際は、制御システムやIoTから収集したデータを蓄積するサーバーなどのすべてに強固な情報セキュリティシステムを導入する必要があります。また、セキュリティ対策を行わなければいけないのは、工場内だけではありません。複数の企業間で統合的な物流システムを構築するサプライチェーンや、本社と結ぶネットワークを構築していれば、ネットワークを介して本社や別の工場に対してサイバー攻撃が行われる可能性があります。

 そのためにも、まずは自社の工場内で、どのような機器がどのような設定で稼働しているかどうかを十分に確認し、情報セキュリティ上の課題をリストアップしなくてはなりません。流れとしては、まず情報セキュリティ対策の全体設計を行ってから、具体的な情報セキュリティ対策の方法を選定する必要があります。IoT機器や制御システム、ネットワーク、クラウド、サーバーなど領域によって防御方法は異なるため、それぞれに適した情報セキュリティ対策を導入しましょう。

まとめ

 IoTなどの技術を活用したスマートファクトリー化を進めることは、生産効率の向上や人手不足の改善、人為的なミスの削減など企業にとっては多くのメリットがあります。しかし、同時にセキュリティリスクが高まることにも注意しなければなりません。サプライチェーン上の他社とも協力し、強固かつ多層的なセキュリティ対策を行うことが重要となってきます。

ネットワークインフラの強化で実現する製造業の「スマートファクトリー化」ガイド

これからの製造業には、IoT機器の導入をはじめ。ネットワーク環境を適切に整えることの重要性が高くなると思われています。本資料では、デバイス数の増加やアップロードするデータ量の増加に対応できるネットワーク環境を構築するための検討のポイントと、実際の導入事例について紹介いたします。



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