2022.3.4 (Fri)

ICTで製造業はどのように変わるのか(第1回)

製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性とは?事例も合わせて紹介

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 近年、インターネットやスマートフォンの普及などの影響で、世の中が急速に変化しつつあります。製造業における現場でも、デジタル技術の発展や今後のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進などに注目して、今後の方針などを決めていくことが大切です。

 今回は、DXと製造業との関連性、製造業におけるDX成功のポイント・戦略、DXを成功させるためのステップなどについて詳しく紹介していきます。

DXとは? なぜ製造業とDX?

 DXとは、簡単に説明すると進化し続けているデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革することを指します。

 製造業におけるDXは、これまで企業や個人で培ってきた技術や知識などをデジタル化して共有することにより、リードタイムの短縮や生産性の向上、品質向上などが期待できると言われています。

 新型コロナウイルスにより、製造業も今後のビジネス展開が不確実性にさらされており、最近は多くの事業所で影響が出ています。このような社会情勢の影響もあり、製造業におけるDXの重要性は高まりつつあります。

 しかし、製造業のDXはただ業務をデジタル化すればよいという単純なものではありません。本質的な目的は、あくまで技術や知識をデジタル化して共有し、先が見えない中でも価値を提供し続けていかなければいけないことです。

 「2020年版ものづくり白書」にも記載されている通り、製造業は「ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)の強化」が重要とされており、企業は世界状況や変革に柔軟な対応をしていく力が必要なのです。

 そのためにはDXによって、危険な作業や大変な作業が多い製造業における就業環境の改善や、従業員のリモート促進などを進め、優れた技術を提供するためのデータ収集や、AIを活用した適切な分析などを行うことが重要です。

製造業の現場実態・DX推進における課題

 ここからは、製造業の現場実態・DX推進における課題について紹介します。

 製造業の現場実態・DX推進における課題は以下のようなものが考えられます。

・ICTの活用不足
・ビジネスモデルの変革
・人材不足

 それぞれ詳しく解説していきます。

ICTの活用不足

 製造業だけではなく、日本の多くの企業では、ほかの先進国と比べてもICTの利活用が遅れていると言われています。

 これは、「ICT化を進めたいけれど、予算がない」「不確実な要素にかけられるコストがない」「そもそもICTに関する知識をもつ人がいない」など、ICT化を進めたくても進められない企業も多いのが要因として挙げられます。

 また日本の製造業では、現場の職人たちの経験と勘を頼りに製品開発などを行うため、設備投資が見送られる傾向もあります。

ビジネスモデルの変革

 製造業では、「良いモノを作って売る」という考え方が促進されていますが、現代では世界中でICT化や技術革新などが起き、モノを所有しなくても良いビジネスモデルが流行しています。

 例えば、カーシェアリングやシェアサイクルなどは日本でも多く普及しており、自動車や自転車を購入するよりも、必要な時に必要な分だけレンタルすることができるビジネスモデルが浸透しつつあります。

 このような影響もあり、製造業では今までとは異なる考え方でビジネスモデルを構築していくことが課題とされています。

人材不足

 日本では少子高齢化の進行は誰もが知っていることだとは思いますが、日本の少子高齢化も製造業には大きな影響を与えています。

 なかでも中小規模の事業社は製造業における専門知識や技術を有した職人の不足や継承不足が課題になっています。

 人材不足に陥っている業種は製造業だけではありませんが、特に専門的知識や経験が鍵となる製造業では大きな影響があるため、早急にビジネスモデルの変革を検討する必要があると言えるでしょう。

製造業におけるDX成功のポイント・戦略

 続いて、製造業におけるDX成功のポイント・戦略について紹介します。製造業におけるDX成功のポイント・戦略は以下になります。

・企業全体での共有
・DX人材の育成
・組織力の向上

 それぞれ詳しく解説していきます。

企業全体での共有

 DXを企業で導入する場合、一部の部門や部署だけで導入してもあまり意味がありません。

 とはいえ、一度に企業全体でDXを導入しても、部門ごとに連携がうまく取れなかったりなど、業務に影響が出てしまうことも考えられます。

 そのため、企業でDXを導入する場合は、まずは企業の状況を分析したうえで、小規模なDX施策から始めて、少しずつ対象の範囲や部署を広げていくことがDX成功のポイントといえるでしょう。

DX人材の育成

 製造業におけるDXを成功させるためには、DX人材を確保・育成することが大切です。

 製造業ではエンジニアやマネジメント人材が必要となりますが、少子高齢化の影響で働き手が少なくなっている影響により、人材の確保は難しいです。

 そのため、まずはDXに関する知識を従業員全体で深めていくことが重要なポイントとなるでしょう。

組織力の向上

 「2020年版ものづくり白書」では、ダイナミック・ケイパビリティを以下の3つの能力に細分化して紹介しています。

・感知:脅威や危機を感知する能力
・捕捉:機会をとらえて、既存の資産・知識・技術を再構築して競争力を獲得する能力
・変容:競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力

 これらの能力は、企業がDX導入をする際に重要なものとなります。

製造業におけるDX成功のステップ(手順)

 続いて、製造業におけるDX成功のステップについて紹介します。

 製造業におけるDX成功のステップは、以下の5つのステップに分けられます。

・実現したい目標やイメージの共有
・データ収集
・業務のデジタル化
・ニーズへの反映

 それでは、ステップに沿って解説していきます。

実現したい目標やイメージの共有

 企業でDXを導入するにあたり、まずは実現したい目標やイメージを社内全体で共有することが大切です。

 実現したい目標やイメージを考える場合、現場が抱える課題や解決策など、自社で取り組むべき課題を分析するとよいでしょう。

 また、製造業の現場だけではなく、自社が抱える顧客やユーザーなどに対しても、潜在的に何が必要なのかを分析して理解しましょう。

 経営層を中心に、製造部門・部署とコミュニケーションを取ったり、アンケートなどを実施するのもひとつの手です。

データ収集

 DXで実現したい目標やイメージを明確化できたら、次にその目標やイメージを達成するためのデータ収集を行います。

業務のデジタル化

 続いて、収集したデータをもとに業務をデジタル化していきます。今までアナログで行っていた作業をデジタル化し、業務効率化をめざしましょう。

 この時、社内全体でいきなりデジタル化を進めると、逆に失敗してしまう可能性があるため、業務や部署ごとなど小さい単位で業務効率化を進めていくことがポイントです。

ニーズへの反映

 次に、デジタル化により蓄積したデータを活用し、ニーズや顧客情報などを分析し、自社で提供する商品やサービスに活かしていきます。

 顧客に求められている商品やサービスはなんなのか、顧客のニーズに合わせてビジネスモデルを変革していき、それぞれに価値を生み出すプロセスを構築していくことが大切です。

 あくまで顧客目線でしっかり分析したうえで、進めていきましょう。

製造業におけるDXの事例

 それでは、製造業におけるDXを推進した成功例をいくつか紹介します。

トヨタ自動車株式会社

 トヨタ自動車は、若者の車離れなどが影響し、これまで通りの自動車製造・販売だけではなかなか企業成長が難しくなっていました。

 そこで、トヨタ自動車が導入したのは「月額定額制で乗り放題」のサブスクリプションサービスです。自動車を所有せずに、いつでもどこでも月額定額制で乗ることができるという、今までにない新しいビジネスモデルを構築したのです。

 また、車両データを常に管理できる体制を構築し、顧客のニーズに対して緊急時の対応やアフターケアなどを行うコネクティッドサービス「eケア」も提供しています。

 さらに、最近では電気自動車やEVの普及により、電気自動車の製造に注力するビジネスモデル構築も進めています。

三菱電機株式会社

 三菱電機は製造業向けにソリューションを提供していますが、製品製造工場のDX化により、業務効率・生産性の向上などを進めています。

 例えば、製造工場の機械を人が操作するのではなく遠隔操作できる仕組みをつくったり、機械の稼動状況を事務所など別の場所から操作・管理できる仕組みを構築しています。

ダイキン工業株式会社

 ダイキン工業は、工場全ての設備をネットワーク上でひとつに繋ぎ、データの収集と統合やデータの見える化と分析を行える「工場IoTプラットフォーム」を整備しました。

 また、日本と海外拠点でのデータ共有や、プラットフォーム上のアプリケーション開発・追加が行える環境も用意しています。

富士通株式会社

 富士通はこれまで製品開発における製品の多様化、カスタマイズ化への対応、納期の短縮、製品の複雑化・高度化への対応のほか、ノウハウの伝承、人材不足などが課題となっていました。そこでDX実現のため、設計のデジタル化プラットフォーム「FTCP」を構築。製品開発プロセスの手戻り減少や品質向上、納期短縮などを実現しました。

株式会社今野製作所

 今野製作所は事業スタイルをオーダーメイド型に移行したところ、対応力不足、負荷集中、納期遅れなどが発生しました。業務プロセスの複雑化が課題であることが判明した同社は、DX実現のために業務プロセス分析ツールを導入し、業務を整理することで、既存事業の見直しや新規ビジネスへの取り組みを行うことに成功しています。

まとめ

 今回はDXと製造業との関連性、製造業におけるDX成功のポイント・戦略、DX成功のステップなどについて紹介しました。

 今回紹介したDXの成功事例やDXを進める手順などを参考に、業務効率化・生産性向上をめざしてください。

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