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2021.10.29 (Fri)

新しい働き方のヒント(第3回)

ABWとは? フリーアドレスとの違いやメリットなどを説明!

 近年、オフィスの固定席をなくして自由席にするフリーアドレスの導入を進めている企業が増えています。しかし実はフリーアドレスよりも自由度の高いABWという働き方も登場しているのです。

 今回の記事では、ABWについてフリーアドレスとの違いやメリット・デメリット・実現のためのポイントを説明していきます。

◆目次
ABWとはそもそも何か
フリーアドレスとの違いは?
ABWのメリット
ABWのデメリット・課題
ABWを実現するためのポイント
まとめ

ABWとはそもそも何か

 ABWとは、アクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working)の略です。オランダで生まれた概念で、従業員が時間・場所を問わずに生産性を向上させられる環境を選択して働くことです。

 これまでのオフィス勤務では、決まったタイムスケジュールに従って出社し、働く場所はオフィスの自席でした、ABWは、勤務時間を自由に決められるフレックスタイムや自由な席に座れるフリーアドレス、またオフィス以外での勤務を行うテレワークなどを組み合わせ働きやすさをより向上させる効果があります。

 日本でも、働き方改革や新型コロナウイルスの感染防止対策として普及が進み始めています。  

フリーアドレスとの違いは?

 オフィスの席を固定ではなく自由にしているフリーアドレスと近いものがありますが、違いとしてはフリーアドレスがオフィス勤務を前提としているのに対して、ABWではオフィス以外の場所も選択できる点です。自宅を始め、カフェやコワーキングスペースなどの自宅・オフィス以外のサードプレイスと呼ばれる場所も候補となります。フリーアドレスよりも自由度が高いため、仕事内容に応じて集中できる環境を選べます。

フリーアドレスの事例をご紹介! メリットや導入方法なども

ABWのメリット

 ABWには企業にとって導入するメリットがたくさんあります。

生産性の向上

 ABWでは作業内容に応じて働く環境を選択できるため、生産性の向上につながります。一人で集中して作業を行う仕事が多い人は、オフィスで話し声が頻繁に聞こえる環境では集中しにくくても、在宅勤務やオフィスに設けられた集中スペースなどであれば集中しやすいでしょう。

 アイデアを生み出す必要がある業務であればカフェやオープンスペースなどの開けた環境を利用するなども可能です。働く時間帯にも柔軟性があることで、朝が苦手な人は自分が集中できる夜の時間帯を中心にするなど成果を上げやすくなります。

モチベーションの向上

 一人ひとりが働きやすい仕事環境を選べることで、従業員の満足度向上やモチベーション向上が期待できます。会社としての取り組みへの好意的な評価や、働きやすさの向上、柔軟なライフスタイルの実現などが期待できます。通勤時間が減少することでストレスが軽減されるなどの効果も。

コミュニケーションの活発化

 これまでの固定席では、コミュニケーションも近くの席の人などに限定されがちでしたが、ABWやフリーアドレスでは普段関わりが少ないような人とも近くの席になる可能性が増えます。また、会議室ではなく気軽に会話ができるオープンスペースなどがあれば、カジュアルな打ち合わせなども発生しやすく、従業員同士のコミュニケーションの活発化が期待できます。

多用な人材の採用

従業員が働きやすい会社であれば、採用できる人材の幅が広がります。育児や介護などで在宅勤務を中心したい人や、勤務時間を柔軟に調整したい人でもフルタイムの採用ができ、遠隔地に住んでいる人もテレワーク勤務での採用が可能です。

 また、従業員の働きやすさを重視しているというパブリックイメージの醸成による企業ブランドの向上や、採用力強化なども期待できます。

オフィスのコスト削減

 オフィスで従業員全員分の席を用意する必要がないため、省スペース化ができます。オフィス自体を縮小することによる賃料の抑制や、電気代などの経費削減につながります。

ペーパーレス化の推進

 固定席での業務の中止や、出社の必要性を減らすことで、これまで扱っていた紙の資料でのやり取りが行いにくくなるため、必然的にペーパーレス化を進めるきっかけになります。ペーパーレス化ができれば諸経費の削減にもつながります。

ABWのデメリット・課題

 ABWは生産性を上げる可能性がある一方で、導入におけるデメリットや課題もあります。

マネジメントの難しさ

 テレワークやフリーアドレスでは部下や従業員の働く姿が直接見えなくなるためマネジメントが難しくなる傾向にありますが、ABWはそれに加えて働く時間帯もバラバラになるケースもあります。勤怠管理・進捗把握・勤務態度などがわかりにくくなるため、「本当に働いているのか?」という疑念を持つ上司や、逆に上司にそう思われているのではないかという不安を持つ部下が生まれやすいです。

 評価制度を成果物やアウトプット重視にしたり、遠隔でも進捗や勤怠が把握できる労務ツールを導入したりすることも有効な手だてといえます。

コミュニケーション量の低下の可能性

 メリットで挙げたコミュニケーションの活発化とは反対に、働く場所や時間がバラバラになるためコミュニケーション量が低下する可能性もあります。

 とくに完全テレワークに移行し、直接顔を合わせる機会が少ない職場では、決まった会議時間以外での会話が生まれにくいため、信頼関係の低下や孤独感の増加、また業務上必要な確認事項の漏れなど、チームの連携力の低下などの可能性があります。

 直接顔を合わせて働かない場合は、気軽にコミュニケーションをとれる機会を意図的に増加させる工夫が必要です。働く時間がバラバラだとしても、週に何回かの顔合わせの朝礼・夕礼などの設定、作業は別々で行っていてもビデオ会議をつなげておく「もくもく会」の実施、雑談をする時間を設けるなども有効です。

セキュリティ対策

 これまではオフィスのパソコン・ネットワークを利用して仕事を行っていたため高いセキュリティ性が保たれた状態でしたが、従業員それぞれで環境が変わるためセキュリティリスクが上昇します。

 公共Wi-Fiなど安全性の低いネットワーク利用による外部攻撃のリスクや、パソコンの盗難・紛失・覗き見などによる情報漏えい、また従業員の悪意に関わらずうっかり外部に情報を伝えてしまうことなどもあります。会社に許諾を取らずに個人でシステムを利用する「シャドーIT」などの可能性も近年問題になるケースが増えました。

 ABWやテレワークを実施するにはVPNなどの安全性の高いネットワークの導入やソフトウェアの認証設定、パソコンなどのデバイス利用に関するセキュリティポリシーの設定・啓蒙活動などが重要です。

達成したい効果が発揮できない

 ABWを仕組みとして整えても、実施後に想定した生産性の向上や従業員の満足度向上などにつながらないケースがあります。前提として「裁量さえ与えられれば人は最善の仕事をする」という考え方のもとに成り立っているため、仕組みを導入するだけではなく、考え方を取り入れることが重要です。

 仕事内容に応じて最適な働き方を選択するためには、自分が行っている仕事の特性を把握して、自主的に働き方を選ぶこと求められます。セルフマネジメントが不得意な従業員はABWを導入しても逆に生産性が低下し、仕事とプライベートのオンオフがしにくくなり、結果として長時間労働などの逆効果になることもあります。オフィスで決まった場所・時間で働くことが一定のルーティーンとなっている人もいます。

 このような事態にならないように、外部の専門家の研修や、ABWを導入しやすい職種の選定、業務の割り振りやプロセスの見直し、それぞれが達成するべき目標の設定などを会社としてサポートしていく姿勢が必要です。

ABWを実現するためのポイント

 ABWはこれまでの働き方と大きく異なるため、導入のためのしっかりとした準備が必要です。

現状把握をしっかりと行う

 ABWを成功させるためには、会社の現状を把握する必要があります。オフィスの着席率がどのくらいなのか、各部署の業務の特性上どのくらいオフィス出勤や固定席で働く必要性があるのか、などを調査します。就業規則・勤怠管理制度・人事評価制度など、ABWを導入する際に改善を加える必要があるルールも確認しましょう。

 テレワークやフリーアドレス化する際のシステム面への配慮として、ネットワーク環境やビジネスフォン、セキュリティ環境やセキュリティポリシーなどの見直しも必要です。また、従業員の意向などもアンケートやヒアリングを通じて調査しておきましょう。

導入検討・方針決定は慎重に

 ABWを導入する目的・どのような効果を得たいのかを明確化しましょう。上記であげたメリットのどの部分を重視するのか、またどのくらいの期間を実施するのか、どの部署や従業員を対象にするのかなどです。

 営業などの着席率が低い職種は一般的にABWが向いていますが、経理や事務などのデスクワークや専門的な機器を使用する研究部門などは実施しにくいケースが多いです。場合によっては部分的な導入なども検討しましょう。

 プロジェクトチームなどABWを推進するチームを作り、目的意識を向上させたり、不公平感をなくすような共通認識を社内で浸透させることも重要です。

試験運用期間を設ける

 いきなり全社的に展開するのではなく、部署や頻度を限定的にしてテレワークやフリーアドレスを実施する試験運用期間を設けるのが好ましいです。

 本格的にABWを実施するには設備やルールの整備が必要であり、さしあたって実施してみたものの効果が薄い場合や、実施前に想定できていなかった課題などが出るケースが想定されます。かける工数が大きい分、まずはミニマムスタートすることで課題に気づけるケースもあり、本格導入を行う前に課題に対処できます。

必要な環境整備を多方面から行う

 ABWの本格的な導入に踏み切る場合、多くの環境整備が必要になります。フリーアドレスやテレワークを実現するためのネットワーク環境・ビジネスフォン・パソコンなどの整備、またそれらのセキュリティ対策が必要です。

 オフィス内のレイアウトの変更や備品の購入、ペーパーレス化を進めるためのクラウドサービスの導入・ルールの整備、また従業員のITデバイスやツールへのサポート体制やメンタル面でのケア、勤怠制度や評価制度の改善なども行いましょう。

 単に従業員が自由な環境で働けるようになることが目的ではなく、生産性の向上やワークライフバランスの実現などの効果が得られることが重要であるため、物理的な環境だけでなく制度やルールなどにかける比重も多くすることで成功につながりやすくなります。

関連記事:テレワークを活用した働き方改革

まとめ

 今回の記事ではABWについて紹介していきました。ABWはフリーアドレスとテレワークを組み合わせた新しい自由な働き方です。

 オフィス内でもオフィス外でも、円滑に業務を進めていくための環境整備やセキュリティ環境の構築が必要になります。

 NTT東日本の「ギガらくWi-Fi」では、導入から運用まで手厚いサポートがあるため、情報システム担当の負担を減らしながら快適なインターネット環境が整備できます。

 フリーアドレスやテレワーク、またABWを導入検討中の企業の方はぜひ一度パンフレットや活用事例集をご覧ください。

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