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2021.03.30 (Tue)

テレワーク・リモートワークとは何か?(第21回)

規模・業種別に見るリモートワーク導入企業

 オフィスに出社することなく業務を行えるリモートワークを導入する企業は、大企業に限らず中小やベンチャー企業でも増えてきています。この記事では、会社規模だけでなく、業種別で見てどのような企業がリモートワークを導入しているか、その一例を紹介します。加えて、リモートワーク導入時に課題となりうる電話対応、OJT対応、郵便物受取、保育園送迎にも触れます。どうすればその課題を解消できるのかその方法に答え、導入に向けた疑問を解決します。

オフィスのいらないリモートワーク

 リモートワークとは、オフィス外で業務を行う働き方です。例えば自宅やカフェなどから、各自のパソコンを使用して社内システムを利用します。ほぼ同じ意味の言葉に「テレワーク」があります。

 現在は働き方の多様化や世情により、多くの企業でリモートワークの導入が進んでいます。本記事では、実際にリモートワークを導入している企業の事例や、テレワーク導入にあたっての課題について解説します。

会社規模でみるリモートワーク導入事例

 実際にリモートワークを導入している企業の事例を企業の規模別に紹介します。企業の規模は「大企業」「中小企業」「ベンチャー企業」の3種で分類しています。

大企業

 株式会社資生堂の事例を参照します。同社では1990年代から子供を持つ従業員が働きやすい環境整備に取り組んでいます。もともと育児や介護を抱える従業員向けに在宅勤務制度はあったものの、2016年には制限をなくして対象を全社員に広げました。これにより、性別・理由によることなく、多くの従業員がリモートワークを行うことができます。

 化粧品メーカーである同社は、オンライン会議用のアプリケーションとして、「自動メークアプリ」を導入し、在宅勤務にありがちな女性のメイク問題の解決に役立てています。以上のように、同社では自社の強みを活かしたユニークなシステムの導入により、従業員が快適にリモートワークをおこなえるように取り組んでいます。

中小企業

 精密部品の製造業である荏原精密は、26名の従業員が在籍しており、2019年からリモートワークの導入に取り組んでいます。リモートワークの普及に取り組んだきっかけは、多くの従業員が育児や介護といった家庭での仕事を抱えており、職場での仕事を続けやすい働き方を模索する必要があったことです。

 具体的な取り組みとして、遠隔地に住む従業員の直行直帰の許可や、時差出勤や時間年休の導入により、テレワークを行いやすい業務体制の構築があります。さらに今後は、IoT技術を活用した遠隔地での製造業にも力を入れる予定です。同社のように規模の小さい中小企業であっても、リモートワークによって事業を継続させることが可能です。

ベンチャー企業

 株式会社ガイアックスはソーシャルメディアサービス事業を中心としたICT企業で、本社は東京にあります。同社ではリモートワークの普及にあたって、まず個を尊重した取り組みを多数実施しました。具体的には、直属の上司への給与の交渉を行う面談を四半期に一度実践したり、社内の全会議の内容をオープンにする取り組みがあります。

 同社では、2019年の新卒の社員が入社直後から広島でフルリモートワークをおこなっています。さらに、事業部長はオランダに永住していますが、フルリモートを活用して同社での勤務を続けています。以上のように、ベンチャー企業ならではの柔軟な働き方に対して、リモートワークは非常に相性がよいといえます。

業種別のリモートワーク導入事例

 続いて、リモートワークの導入事例を、金融、小売、製造、教育の4業種別に紹介します。

金融系

 三菱UFJ銀行は2016年7月に、メガバンクとして初めてリモートワークを導入しました。これにより、育児・介護を抱えた行員の約4000人が、週に1回程度の在宅勤務が可能となりました。

 同行は、さらなるリモートワークの促進の取り組みとして、2021年をメドに社内の固定電話を75%削減することを決めています。行員にはセキュリティ対策を万全にしたスマートフォンを支給し、情報漏えいや個人情報の紛失のリスクに備えています。以上のように、銀行であっても、情報漏えい対策やセキュリティ体制を確保すれば、リモートワークは可能です。

小売系

 イオンは2015年から、店舗管理者に対し、1カ月あたり最大5日の在宅勤務を可能とする制度を導入しました。このことにより、仕事とプライベートの融通が行いやすくなり、結果として女性管理職の比率が60%に上昇しています。

 小売業は休業日を設けず営業することが利益につながりやすい業種であるため、家庭の仕事の負担が大きい女性の管理職登用の比率は低いのが現状です。しかし、リモートワークの実施によって仕事と家庭の両立が可能になれば、同社のように女性の躍進を促すことにもつながり、通常のリモートワーク導入以上の効果を期待することもできます。

製造系

 日産自動車では、2014年から製造部門以外の全従業員が月40時間まで在宅勤務制度を利用できる体制を整えています。さらに、育児・介護の両立者は、所定労働時間の50%が上限です。このような取り組みが評価され、同社は2016年に総務省によって「テレワーク先駆者百選」に認定されています。

教育系

 ベネッセホールディングスでは2017年から在宅勤務を導入しており、「テレワーク@Home」という名称で、社内での普及活動に取り組んでいます。2020年には出社率を5割以下にするという新たな勤務形態を導入し、リモートワークを加速させるための社内変革に積極的に取り組んでいます。

リモートワーク導入の課題

 リモートワークには生産性の向上や従業員の通勤の負担軽減など、さまざまなメリットがある一方で、課題も存在します。リモートワークにおける課題について、「電話対応」「OJT対応」「郵便物の受け取り」「保育園の利用」の4点を挙げ、それぞれの内容と解決策のヒントを紹介します。

電話対応

 リモートワークでは、社外からの電話に対応するスタッフがいなくなります。対策として、「転送電話サービス」の利用があります。たとえば社員に専用の携帯電話を支給し、転送電話サービス経由で社外からの電話を転送すれば、スタッフが社外にいても、オフィスにかかってきた重要な電話に対応できます。

 電話転送サービスの中でも、近年導入が増えているのが「クラウドPBX」です。クラウドPBXでは、オンライン上のクラウドサーバーを使って、社内外の電話環境を整えることが可能です。自社でのハードウェアの設置や管理が不要であるため、導入コストを抑えられる点や、自社での運用・管理の負担が少ない点がメリットです。

OJT対応

 リモートワークでのOJTは対面のOJTと比べ、顔色の観察やこまめな声かけといったきめの細かいサポートが難しくなります。対策としては「定期的に対話の場を用意する」「オンライン日報を活用する」などの方法があります。オンライン日報を参考にしながら、定期的な面談を行うことで、新入社員が今現在抱えている課題や悩みを細やかに把握しやすくなります。

 さらに、「育成ビジョンを明確に共有する」ことも重要です。リモートワークによるOJTでは、その場の空気を感じながら研鑽を積むことができないため、「何を目指し」「そのためにどうするのか」という最終目的や手段を明確にし、研修を施す側と受ける側同士が共有することで、OJTに対する目的意識を高めることができます。

郵便物の受け取り

 リモートワーク時の郵便物の受け取り方法には、「自社で受け取る方法」と「他社で受け取る方法」の2つがあります。自社で受け取る場合は、従業員が当番制で出社して受け取ります。他社で受け取る場合には、たとえば私設私書箱やクラウドサービスの利用が選択肢になります。

 反対に、郵便物を発送する場合は、同じく自社にて当番制で発送する方法と、他社のサービスを利用する方法の2つがあります。他社を利用して発送を行うサービスでは、日本郵便の「Webレター」が代表的です。

 日本郵便の「Webレター」は、データ化した郵便物について、日本郵便が印刷から発送までを代行するサービスです。具体的には、まず郵送物をPDFやWordファイルとしてデータ化し、日本郵便専用サイトにアップロードします。アップロードされたデータは、日本郵便が印刷・封筒詰めをおこない、指定の宛先に発送します。

保育園の利用

 リモートワークにおいて、子どもを保育園に預けることができるのかどうかは、多くのワーカーが気になる点です。保育園の利用の是非は、預け先の自治体や、保育園のルールによって異なります。リモートワーク従事者の子どもを受け入れているところも多く、必ずしも不可能というわけではありません。

 すなわち、リモートワークの従事者が子どもを保育園に預けられるかどうかは、ケース・バイ・ケースです。そのため、リモートワークで保育園を利用したい場合は、各人で、自治体に確認をとったり、利用可能な保育園を探す必要があります。

リモートワーク支援サービスを提供する企業

 リモートワークの導入には、社内のルール作りやシステムの構築が必要です。なにから手をつければいいかわからないという場合には、リモートワークの導入を支援するサービスを利用するのも1つの方法です。

日本マイクロソフト

 日本マイクロソフトが提供するのは「リモートワーク診断」です。具体的には、企業や部署がリモートワーク導入に適しているかを診断するサービスです。

 事業者は32種類の質問に回答することで、組織のタイプや、該当組織がリモートワークにどの程度適合できているのかを判別することができます。このサービスにより、テレワーク導入のための課題が明確になり、より実践的な計画や戦略を立てることが可能となります。

リモートワーク導入でビジネスチャンスを

 リモートワークは現在、企業の規模や業種を問わずに広がりを見せています。リモートワークには郵便物や電話の対応といった物理的な課題がありますが、各種サービスを活用することで克服可能です。

※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています

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