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クラウド導入はじめの一歩(第21回)

クラウドの歴史とこれからの未来について徹底解説

 クラウドは場所を問わず利用できる点や、保守運用コストを削減できる点など、さまざまなメリットを持ち合わせており、2000年台から急速に普及しました。その市場規模は年々増加しており、今後も増加し続けることが予想されます。クラウドが登場した背景には、インターネットの普及やそれにより露見した課題があり、クラウドの歴史を学ぶことでクラウドを利用する意義を再確認できます。本記事ではクラウドの歴史とこれからの未来について解説します。

クラウドが登場した背景

 ICT技術者ではない人にとって、クラウドはいつの間にか社会に浸透していたように感じるかもしれません。しかしクラウドは、インターネットの普及に伴い新しいビジネスモデルが登場したこと、扱うデータ量が増大したことなどが背景となって登場した概念です。以下はクラウドがどのようにして登場したのか、その背景を当時の状況から説明します。

クラウドの前史

 クラウドが登場した背景には、クラウド登場以前の状況が大きく影響しています。

インターネットの普及

 クラウドはインターネットを活用する技術であることから、インターネットの爆発的普及がクラウドの登場に大きく関わっています。一般の人がインターネットを気軽に利用できるようになったきっかけは、1995年にMicrosoftが「Windows 95」を発売したことがきっかけとなります。

 Windows 95には「ダイヤルアップ接続機能」や「ウェブブラウザ」が搭載されていることから、一般の人も気軽にインターネットが利用できる環境となりました。しかし、ダイヤルアップ接続は通信速度が十分でないことや従量課金制での利用が中心であったことから、画像など大容量コンテンツのやりとりは敬遠され、文字情報のやりとりが主流でした。

 その後「ADSL」というインターネット接続方式の登場や郵政省(現総務省)によるルールの整備により、高速・定額料金・常時接続という「ブロードバンドサービス」が登場し、インターネットは急速に普及しました。

ウェブアプリケーションサービスの登場

 インターネットの普及により、企業システムにも大きな変化が生じました。それまでの企業システムは「クライアント・サーバー・モデル」が主流でした。しかしインターネットの普及がきっかけとなり、企業システムは「ウェブアプリケーション」や「ウェブサービス」に変わっていきました。

インターネットビジネスの拡大

 ウェブアプリケーションサービスの登場により、企業は新しいビジネスモデルを創出することが可能となりました。企業がインターネットを通じて顧客とやりとりすることが可能となったため、AmazonのEコマースを中心に-「インターネットビジネス」が次々と登場し、大成功を収めました。

 企業システムのインターネット活用や、インターネットを活用した新しいビジネスモデルの創出は、後に登場するクラウドの土台となりました。

ウェブスケールという概念

 クラウドが登場する背景にはインターネット普及の他に、「ウェブスケール」という概念があります。ウェブスケールはインターネットで扱うデータが膨大な量かつ継続的に増加することを意味します。

 システムが扱うデータ量がウェブスケールである時、従来のシステムでは問題が生じます。第一に、扱うデータ量の継続的増大に伴い、システムを拡大する必要が頻繁に生じます。第二の問題としては、その膨大なデータを計算する処理能力がシステムに必要となることです。

 つまりウェブスケールを意識してビジネスを行うために、ウェブスケールに対応しうるシステムが必要となりました。この問題はクラウドの必要性という意味で、クラウドの登場に大きな影響を与えました。

クラウドの登場と注目

 上記のような背景からクラウドの概念が必要とされ、登場することとなりました。以下ではクラウドの登場とそれが注目されたきっかけについて説明します。

ラムナト・チェラッパによる提唱

 クラウドコンピューティングという概念は、1997年に南カリフォルニア大学のラムナト・チェラッパ(Ramnath Chellappa)により提唱されました。しかし、この時点ではクラウドが一般社会に浸透することはありませんでした。

 実際にクラウドという概念を社会に注目させたのは、Googleの登場とそのCEOの発言によるものだといわれています。

Google登場とクラウドの注目

 Googleはネットワーク上の情報爆発に注目し、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」が時代の大きな課題であるとし、検索エンジンを主軸のサービスとして2004年に上場しました。

 そして2006年に当時のCEOであったエリック・シュミット(Eric Emerson Schmidt)が「サーチエンジン戦略会議」の中で、クラウドについて「データサービスやアーキテクチャは雲のような存在であるサーバー上に存在し、ブラウザやアクセス手段、デバイスによらず雲にアクセスすることができる」と発言しました。

 エリック・シュミットのこの発言によってクラウドは広く認知され、注目されることとなりました。

クラウドの発展と普及

 Google CEOの発言により注目されたクラウドは、以降さまざまな企業によってサービスが提供され始め、広く普及しました。以下ではクラウドの発展と普及について説明します。

主要クラウドサービスの登場

 Amazonは、2006年に企業向けのクラウドサービスとして「Amazon EC2/S3」の提供を開始し、クラウドの普及と発展に大きく貢献しました。

 本サービスはAmazonが展開するEコマースの運用実績と日々生じていた課題の解消から生み出されたもので、世界的な成功を収めたEコマースサービスの基盤を、クラウドを利用することでサービス提供を実現したいユーザーが誰でも利用できるものでした。

 このサービスの画期的なところは、開発者が本来集中すべき仕事に集中できることです。それまで開発者はシステムの保守運用など、ビジネスに直接結びつかない仕事に大きな労力をかける必要がありましたが、本サービスを使用することでその仕事から解放され、ビジネスに集中することができるようになりました。

 EC2/S3は、ネットワーク上に分散している物理的なディスクやサーバーを分散していないように見せるために仮想化し、論理的に管理しました。そしてそこから利用者ごとに必要な分だけリソースを割り当てるスケーラブルなサービスの提供を実現しました。本サービスはそのようなクラウドサービスにおける重要な技術を世間に浸透させるきっかけをつくりました。

 その後、Amazonに追随するようにGoogleとMicrosoftがクラウドサービスの提供を始めました。Googleは2008年に「Google Cloud Platform」を、Microsoftは2010年に「Microsoft Azure」を提供開始し、2010年頃から国内でのクラウドサービスの活用が盛んになりました。

クラウドが当たり前の時代に

 インフラ環境をクラウドで提供するサービスは、IaaS(Infrastructure as a Service)と呼ばれます。

 今ではIaaSだけでなく、アプリケーションが稼動するためのプラットフォームをクラウドで提供するPaaS(Platform as a Servic))やソフトウェアをクラウドで提供するSaaS(Software as a Service)についてもさまざまなサービスが提供されるようになり、クラウドの利用は当たり前の時代となりました。

 総務省の調査によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は約6割であることからも、世の中に広く浸透していることがわかります。

クラウドの未来

 クラウドを利用することが当たり前の時代となりましたが、今後のクラウドの動向はどうなるのか、社会はどのように変わっていくのか、以下ではクラウドの未来について解説します。

Google Cloudの見解

 Googleは「クラウド コンピューティングの未来」と題してクラウドの未来について語っており、ビジネスの未来はクラウドにかかっていると語っています。

 2024年までにほとんどの企業はオンプレミス、オフプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウドを組み合わせたマルチクラウド環境を利用するようになると予想しており、それによってビジネスの世界ではより多くのイノベーションがより早いペースで行われるようになると予想しています。

 さらにその中で企業のリーダーは未来に向けてどのように備えるべきか、ということも語っています。備えるべき内容としては、「自社に適したクラウドモデルを見つけること」、「オープンプラットフォーム上に構築を行うこと」、「ICTのセキュリティについて今一度考え直すこと」、「変革をリードすること」の4点です。

クラウドのこれまでについて理解し、未来に向けて備えましょう

 クラウドの歴史について学ぶことで、クラウドという概念が何故必要となったかを理解することができます。そしてその必要性と将来を理解し、これから訪れる未来に向けて備えましょう。

※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています

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