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クラウド導入はじめの一歩(第5回)

クラウドのセキュリティリスクと安全性を保つ方法

 クラウドサービスとは、インターネット上のサーバーを用いて、アプリケーションの利用やデータの管理・運用などが行えるサービスです。近年クラウドサービスを展開する企業は情報セキュリティ対策に力をいれているため、データ流出や消失の可能性は極めて低く、安全性が担保されたサービスであるといわれています。しかし、インターネット上で利用するサービスのため、リスクが高いと考える人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、クラウドサービスのセキュリティリスクと安全性を保つ方法について解説します。

クラウドサービスの基礎知識

 近年、クラウドサービスを利用する企業・組織が増えてきています。従来、利用するアプリケーションやデータは、企業・組織が個別に管理・運用することが一般的でした。これに対し、インターネット上のサーバー上で管理・運用できるクラウドサービスが登場し、その利便性から、急速に浸透が進んでいます。

クラウドサービスとは

 クラウドサービスとは、アプリケーションやデータを利用する形態のことを指します。ユーザーは自身のパソコンなどにアプリケーションなどをインストールして利用するのではなく、インターネットを通じて必要なときに必要な分だけ利用できるのが特徴です。

 クラウドサービスのほとんどは、専用のハードウェアやソフトウェアの準備が不要であるため、導入が容易です。また、クラウドサーバー上で情報を管理するため、離れた拠点や個々の従業員間で情報共有がしやすく、利便性の高いシステムであることから、多くの企業が導入しています。

オンプレミスとの違い

 類似した特性を持つシステムに「オンプレミス」があります。これは、自社内で独自のサーバーを運用し、そこでアプリケーションやデータを利用する形態です。自社がサーバーやアプリケーションを保有する点が、クラウドサービスとは異なります。

 自社でサーバーを保有するオンプレミスは、自社専用であることから高いカスタマイズ性を有していますが、初期投資がかかり、導入までの期間が長くなる傾向があります。一方、クラウドサービスは、サービス提供企業のサーバーやアプリケーションを利用するため、初期投資が抑えられ、導入も短期間で可能となります。

クラウドのセキュリティリスクとは

 近年、管理・運用の簡便さから、多くの企業・組織がクラウドを活用して、アプリケーション利用やデータ管理を行っています。一方、インターネット上のクラウドに顧客情報などの機密情報を保管することになるため、さまざまなセキュリティリスクへの対策が必要です。

情報漏えいリスク

 インターネット上に機密情報を保管する際の最も重要なリスクは、情報漏えいリスクです。情報漏えいリスクとは、顧客情報など内部にとどめておくべき機密情報が外部に流出するリスクを指します。企業の信頼問題に関わる重要なリスクであり、情報漏えいが発生した場合、企業は多大なダメージを受けることになります。

データ消失リスク

 クラウド上のデータが消失する「データ消失リスク」も注意すべきポイントです。サーバー側の管理ミス、ユーザー側の誤操作、外部からの攻撃などさまざまな原因が考えられます。リスク回避対策としては、データのバックアップを取ることが有効です。

 データ消失リスクは、サーバー側のシステム障害などによっても生じる可能性があります。クラウドサービスに機密情報を保管する場合は、できるだけ堅牢性の高いサービスを提供している企業を選定するとよいでしょう。

システム障害リスク

 クラウドサービスで使われているサーバーが物理的に故障したり、システムに障害が発生することを「システム障害リスク」と呼びます。システム障害が発生すると、アプリケーションやデータにアクセスできなくなり、最悪の場合、一部の業務が停止してしまう可能性があります。

 クラウドサービスは、複数の企業・組織が同一のサーバーを介してサービスを利用します。そのため、システム障害が発生した場合の影響は広範囲に及ぶこともあります。万が一システム障害が発生しても業務が継続できるように、二重三重の対策を講じておくことが有効です。

安全性を保つためのセキュリティ対策

 多数の企業・組織からデータを預かり、業務の根幹を支えるさまざまなサービスを提供するクラウドサービスでは、比較的堅牢性の高いセキュリティ機能を備えていることがほとんどです。しかしながら、悪意のある第三者が、僅かなセキュリティの穴を狙って攻撃を仕掛けてくる可能性があります。

 より安全にクラウドサービスを利用するためには、ユーザー側においても情報セキュリティ対策を含む、リスクへの対応策を講じておくことが重要です。

ID・パスワードの定期更新

 クラウドサービスに限らず、オンライン環境でサービスを利用する際は、ID・パスワードの定期更新を行うことが重要です。ID・パスワードは、外部に漏れたり解析されるリスクがあり、同一のものを長期間使うことは不正アクセスなどの原因となります。

 具体的な対策として、一定期間ごとにID・パスワードを設定し直すルールを設定する方法や、ワンタイムパスワードの導入、連続入力回数制限の設定などが挙げられます。

データのバックアップ

 前述のとおり、サーバー側あるいはユーザー側の誤操作や、システム障害などのさまざまな原因で、クラウド上のデータが消失してしまうリスクへの対策が必要です。人が介在している以上、ヒューマンエラーのリスクを完全に無くすことは不可能であり、効果的に機能する対策を準備しておく方が現実的かつ確実です。

 最も簡単な方法として、データのバックアップを取っておく方法が有効です。とくに、消失した場合のダメージが大きいデータに関しては、重点的にバックアップすることが大切です。仮にシステムがダウンした場合などを想定し、どのような行動を取るべきか。といったルールを策定しておくことも重要です。

システム管理と運用

 オンプレミスのようにクローズド環境で利用する場合は、基本的に企業・組織内でしかデータにアクセスできません。一方、クラウドサービスは、ID・パスワードが分かれば、第三者であってもデータにアクセスすることが可能です。

 このようなクラウドサービスの特性を把握し、情報セキュリティや情報管理リスクに関する理解を従業員全体で共有しておく必要があります。クラウド上のデータの管理・運用には細心の注意を払うよう、訓練・教育していくことが重要です。

通信データの暗号化

 インターネット上で管理するデータは、常に情報漏えいや改ざんのリスクを抱えています。これらのリスクを回避するためには、通信データを暗号化することが重要です。暗号化することで第三者がデータを窃取するリスクを軽減し、通信の安全性を高めることができます。

 具体的対策として、SSL暗号化通信を用いてインターネット上の通信を暗号化する方法があります。一般的にクラウドサービスを提供する企業は、SSL暗号化通信を利用し、通信データの安全性を担保しています。導入を検討しているクラウドサービス提供企業がSSLに対応しているかを確認しておくとよいでしょう。

脆弱性診断の実施

 脆弱性診断とは、利用しているサービスなどに対し、脆弱性の有無を診断するサービスの総称です。情報漏えいリスクや内部統制強化の観点から実施され、利用しているサービスの弱点・改善点を抽出することができます。

 システムの脆弱性は、露見しているもののほか、潜在的な部分にも存在する可能性があります。脆弱性診断を実施することで、これまで見えていなかった脆弱性を発見し、重大なリスクが発生する前に対策を講じることが可能となります。

クラウドサービスを比較する際のポイント

 クラウドサービスを比較する際には、適切なものを選択する必要があります。ここでは、クラウドサービスを導入する際にチェックすべきポイントについて解説します。

データ容量とユーザー数

 クラウドサービスを利用する際にまず確認すべきポイントは、利用するクラウドの容量です。パソコンなどのデバイスと同様に、クラウドにもストレージと呼ばれる最大容量を表す性能があります。ビッグデータなどの膨大なデータを保管する必要がある場合は、ストレージ容量が十分かどうか、とくに念入りに確認する必要があります。

 クラウドサービスの多くは、利用できる最大ユーザー数が決まっています。利用を想定しているユーザー数がカバーできるサービスを選ぶ必要があります。将来的に増員の可能性がある場合は、成長計画とも照らし合わせながら選ぶことが重要です。

料金体制を確認

 各種クラウドサービスは、当然ながらサービスごとに利用料金が異なります。一般的には、高価なサービスほど多機能であったり、セキュリティ性が高い傾向があります。クラウドサービスに求める性能を考慮した上で、適切な料金設定のものを選択する必要があります。

 比較的安価なサービスの導入を検討する場合は、セキュリティ面での不足がないか入念に調査しましょう。小規模の企業や利用ユーザー数が少人数である場合は、無料プランなどが利用できる場合もあるため、自社にあったサービスを検討することが重要です。

サポート体制

 クラウドサービスを提供する企業ごとに、対応するサービス体制は異なります。保証やトラブル対応を備えているかなどのサポートが備わっているかどうかもチェックすることが重要です。とくに、事業基盤システムをクラウドサービスに委ねる場合は、障害発生時の復旧などが急務となります。具体的なサポート体制についてしっかりと確認しておくことが大切です。

クラウドの脆弱性を考慮した上で導入を検討しましょう

 クラウドサービスは、業務の効率化に役立つ非常に便利なツールである一方、前述のような脆弱性と呼ばれるセキュリティ面での弱点があります。クラウドサービス導入の際には、必要な機能が備わっていることのみならず、業務を遂行する上でのリスク対策や、サポート体制などにも注目し、自社にあったサービスを選定することが重要です。

※この記事は2021年3月時点の情報を元に作成しています

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