2021.3.19 (Fri)

最初に覚えておくべきBCP(事業継続計画)のノウハウ(第18回)

BCP導入の必要性と検証・認証について徹底解説

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 自然災害などの緊急事態でも事業を継続させるためのBCP(事業継続計画)の考え方は、さまざまな分野・業種の企業に広がっています。また、2020年に発生した新型コロナウイルスによる経済活動への打撃を受け、一層BCP導入の必要性を訴える声が強くなっています。しかし、BCPという言葉の意味や導入方法などについては、まだ浸透しきっているとは言えません。本記事では、BCPとは何かについて説明したあと、導入のステップや研修、認証の流れなどに関して詳しく解説します。

BCPとは

 BCP(Business Continuity Planning)とは事業継続計画を意味し、自然災害やテロなどの緊急事態発生時において、事業への損害を最小限に抑え、早期復旧が可能となる対策を計画することを指します。BCPを導入しておくことで、緊急事態発生時の対策をスムーズに実施できるようになるため、政府も各企業への導入を推進しています。

BCPの導入方法

 BCPを導入するまでには、「基本方針の設定」「BCP策定」「定着と更新」のステップが必要です。ここでは、それぞれのステップで実施することについて解説します。

基本方針の設定

 BCP導入に向けた最初のステップは基本方針を設定することです。基本方針とは、何に対してBCPを策定するのか、BCPを導入する目的などを明確にします。目的に応じて何を重視すべきかを判断できるようにすることが大切です。

 このステップでは事業内容を明確に整理しておくことが重要です。活動の根幹となる事業は何かを判断し、複数ある場合は業務に優先順位を設定します。緊急事態発生時に、全ての業務を同時に復旧することが不可能な場合、企業の継続において優先すべき業務から復旧させます。

BCPの策定

 BCPの策定においては、どのような事態が発生した場合に発動するのか、あるいは発動時に誰が何をするのかという詳細な部分を明確化します。抽象的な対応策ではなく、対策を具体化し、それぞれの実施担当や手順を細部にまで構築することが大切です。

 リスクの洗い出しは、発生しうるリスクを網羅的にリストアップする必要があります。影響が軽微であると予想されるものや、発生する可能性が極めて低いと予想されるリスクに関しても、最初はリストに含めることが重要です。

 最終的には、事業の優先度と対策するリスクの優先度を統合したものに対し、具体的なBCPの発動条件と社内体制、ならびに実施手順を詳細にまとめます。

BCPの定着と更新

 BCPは策定すれば完了というわけではなく、社内文化に浸透させ各従業員の行動に定着させる必要があります。具体的には、定期的な訓練や教育を実施し、有事に滞りなくBCPに定めた内容を実践できる体制を維持する必要があります。

 策定から時間がたち、社内体制などが変更された場合には、BCPを更新することが重要です。策定時の社内体制から変更があった場合、各リスクに対する対策担当があいまいになったり、優先するべき事業が変わっていたりするケースがあります。会社の体制変更に合わせて、BCPの内容についても更新していく必要性があります。

BCP策定・運用のサイクル

 BCPを策定し、運用する中において、「事業の理解」「BCPの事前対策検討」「策定」「定着」「更新」のサイクルを回していく必要があります。

 前述のとおり、BCPは策定すれば機能するというものではなく、社内への定着や、定期的な更新が必要です。緊急事態が発生しない期間においても、仮に発生した場合に本当に機能するのかどうかテストしたり、その結果を踏まえて改善・更新を行う必要があります。 

BCPの必要性

 BCPは事業を継続する上で非常に重要なポイントであり、政府も各企業に対してBCPを策定するように推進しています。東日本大震災や近年の新型コロナウイルスによる経済への影響から、企業側もBCP策定を行う流れが増えてきています。

 自社の事業を存続させるという観点では、直接的に被害を受けていなくても、サプライチェーンに関連する企業へのダメージが大きく影響する場合があります。したがって近年では、取引先や顧客からBCP策定を求められるケースが増加しています。

BCP研修

 BCP策定の重要性を理解し、導入したいと考えた場合でも、リスクマネジメントに関する基本的な知識を含むBCP策定に必要な能力が、必ずしも自社にあるとは限りません。これに対し、コンサルティング企業をはじめとし、BCP策定に向けた研修を開催している場合があります。

研修目的

 BCP研修の目的は、第一により強固なBCPを策定することです。これ以外にも、近年急激に変化している働き方などに対してどのようにアップデートしたらよいか理解する、というような観点もあり、すでにBCPを策定している企業にも有益な研修も開催されています。

 自社がBCP策定を目指す上で足りないことを明確にし、受ける研修を選ぶ必要があります。BCPの適切なアップデートを目指す際も同様に、どのような変革に対し、何を課題と捉えているかを事前に考えておくことが大切です。

研修内容

 研修の種類はさまざまあり、それぞれで内容は異なりますが、ここでは策定に向けた研修内容の一例をご紹介します。

 BCP策定を目指す企業向けの研修は、「BCP策定手順」「運用のポイント」「ケーススタディによる実践力向上」をカリキュラムとするものが一般的です。策定手順と運用のポイントに関しては前述のとおりですが、「ケーススタディによる実践力向上」は、研修という場で専門家に見てもらいながら行うと効果的です。

BCPの認証

 BCPに関連する認証として、事業継続マネジメントシステムの認証規格「ISO22301」があります。ここでは、ISO22301を取得する目的やメリットについて解説します。

目的

 ISO22301を取得する目的・狙いは、大きく3つあります。「緊急事態への組織的な対策の構築・運用」「事業継続マネジメントシステムの有効性監視」「継続的な改善」です。

 業態・業種を問わず取得することができ、それぞれに適した対策を構築することが目的です。

認証のメリット

 認証を取得する大きなメリットとして、対外的なアピールが可能となる点が挙げられます。ISO22301を取得することで、企業ホームページなどに掲載することができます。これにより、「緊急事態発生時も簡単には事業を停止することはありません」ということをアピールすることができます。

 顧客はもちろん、取引先にとっても安心できる企業として認知してもらえます。BCP本来の目的である事業継続性の向上だけでなく、対外的な印象のメリットがあることを知っておく必要があります。

認証までの流れ

 認証までの流れとしては、「BCPの構築・運用」「認証取得」「認証維持」の3つのステップがあります。

 BCPの構築・運用においては、Plan(計画)・Do(実行)・Check(点検)・Act(処置)にて構成されるPDCAサイクルを回し、精度の高いBCPを作りあげ、運用していきます。その過程で、審査登録申し込みなどの契約関連を行います。

 認証取得では、申請したBCPの登録審査が行われます。登録審査はファーストステージとセカンドステージの2段階に分けられ、その間は1〜6カ月です。登録が完了すると、登録証が発行されます。

 登録証発行が済んだあとにも、1年おきに定期検査が必要です。前述のPDCAサイクルを回しながら、常にBCPが機能する状態を維持する必要があります。2回の定期審査完了後、更新可能と判断されれば、新たに3年間の有効期限とした登録証が発行されます。

予期せぬ事態に備えてBCPを整えよう

 BCPは緊急事態にその影響を最低限に抑え、早期復旧を可能とするための計画です。近年では、取引先や顧客からBCP策定を求められるケースも多く、事業維持には必要不可欠なものとなってきています。事業にあったBCPを導入し、常に機能するように維持していくことで、自然災害などの予期せぬ事態にも備えていくことが大切です。

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