2021.3.19 (Fri)

最初に覚えておくべきBCP(事業継続計画)のノウハウ(第16回)

BCP対策におけるツール・アプリの活用を解説

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 地震や台風による自然災害が毎年のように発生し、同時に、新型コロナウイルスなど感染症対策のためのテレワーク推進など、あらためて自社のBCP対策の見直しを検討する企業が急増しています。BCP(事業継続計画書)を策定する際は十分なシミュレーションを行い、自社にあったツールやアプリを選定し導入しておくことが重要です。BCPにおいて、特に重要な従業員の安否確認ツールを中心に、アプリの種類や選定基準について解説します。

BCP(事業継続計画)推進において利用できるツール

 BCP策定の際に便利なツールとして、代表的なのがパワーポイントです。パワーポイントの利用方法や利用する意義について解説します。

はじめに事業継続計画書を作成する

 BCPにおいて重要なのは、自社にとってのリスクの洗い出しと、それぞれのリスクに対する事前の対策です。さらに、BCPは策定したら終わりではなく、従業員に日ごろから意識づけを行い、万が一の事態には1人ひとりがスピード感を持って、策定したBCP通りに行動できるようにしなければなりません。

 そのためにも、事業継続計画書の作成と共有が必要です。事業継続計画書が存在しない場合は、作成し、社内全体で認識を共有することからはじめる必要があります。このときに便利なのがパワーポイントです。

パワーポイントを使って事業継続計画書を作成

 事業継続計画書は従業員への公開だけでなく、必要な予算を確保するために経営層へプレゼンを行う場合もあります。パワーポイントは誰でも作成しやすく、PDF化やプレゼンに利用しやすいという点から、事業継続計画書の作成や公開に向いているツールです。

 各地方自治体のウェブサイトなどで無料公開されているパワーポイントのテンプレートファイルを利用する方法も手です。なお、パワーポイントを使って事業継続計画書を作成する際は、自社に起こりうるリスクに対し、どのようなシステムやツールを利用して解決を図っていくのか、ということを明確にする必要があります。

 このとき、BCPの根幹となるのは、「従業員の安全確保」と「業務遂行による事業の継続」の2点であることを意識する必要があります。

BCPに有効なシステム

 策定したBCP通りに事業継続を達成するために、有効なシステムについて解説します。従業員の安否確認やリモートワークを遂行する際には、以下のシステムの利用を検討するのも手です。

災害発生時には従業員の安否確認システムが重要

 企業の経営活動を支えるのは、「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの経営資源です。中でもとくに重要なのが「ヒト」すなわち「従業員」です。従業員がいなければ業務の遂行はおろか、事業の復旧は不可能だからです。

 そのため、災害などの緊急事態発生時には、まず従業員の安否確認が必要です。企業は、スムーズな安否確認ができるようなシステムをあらかじめ構築しておかねばなりません。安否確認システムの構築は、BCPの中でも重要な課題の1つです。

 さらに、いざという時に安否確認システムを機能させるためには、事前に自社にあったシステムを選定しておくことや、定期的な運用テストの実施が欠かせません。

安否確認システムを選ぶ基準

 安否確認システムは、警備会社、グループウェア運営会社、SNS運営会社など、さまざまな企業から提供されています。これらのシステムを導入するにあたり、企業は、自社に適合したシステムを絞り込まねばなりません

 自社に最適な安否確認システムを選ぶときには、対象人数や業務、勤務形態などにあわせて必要な機能をリストアップし、優先順位をつけます。そのうえで、複数のシステムについて価格やオプションを比較していきます。なお、比較すべき項目には以下の3つがあります。

機能

 実装されている機能はシステムごとに異なります。実装機能にはたとえば、「安否確認メールの自動配信サービス」や「掲示板機能」のほか、「安否確認の返信集計機能」や、「従業員家族の安否確認機能」などがあります。

 さまざまな機能を持つシステムの中から1つを選択するためには、従業員の安否確認において自社が求めるレベルや内容はなんであるのかを明確にすることが大切です。そのうえで、機能やシステムの取捨選択を行いましょう。効率的に取捨選択を行うには、必要な項目をリストアップし、比較表を作成して優先順位をつけていく方法がおすすめです。

価格

 システム導入の際の大きなハードルとなるのが「費用」です。システムによってコストの差は大きいため、機能や内容と折り合いのついたものを選択する必要があります。一般的に、安否確認システムにかかるコストには「初期費用」「維持費用・月額費用」があります。

 価格を比較する際に最も大切な基準は「自社が安否確認システムに求める目的」です。いくら安価でも、自社が優先したい機能が充実していなければ意味がありません。自社の目的を明確にし、価格とサービス内容の均衡について、じっくり検討する必要があります。

その他オプション

 システム導入の際には、機能の充実度や価格だけでなく、「操作しやすいか」「実績があるか」「連絡や確認手段が自社に適合しているか」といったポイントもチェックすべきです。安否確認システムはさまざまな企業から提供されていますが、基本的なサービス内容に大きな差はなく、いずれも充実しています。

 そのため、その他オプションが充実しているかどうかは、大切な選考基準となります。価格とあわせて比較するのがよいでしょう。

テレワーク支援ツールの導入

 テレワーク支援ツールは、感染症や自然災害が発生した際に、出社することなく業務を遂行できるツールです。いかなる状況下でも安定して事業を継続させるために、企業はテレワークによる事業継続体制を確立することが大切です。

 テレワークを導入するには、遠隔地からの業務遂行の方法や、従業員の業務状況の把握と勤怠管理方法について、検討しておく必要があります。

社内パソコンへのリモートアクセスを実施するツール

 クラウドサービスである「TeamViewer」「RemoteView」、そしてGoogleが提供する「Chromeリモートデスクトップ」は、自社サーバーなしにすぐに利用開始できるツールです。遠隔地から社内のパソコンにリモートアクセスできるため、端末の持ち出しを行う必要がありません。

TeamViewer

 TeamViewer は世界的に評価が高く、とくに欧州でのシェアが大きいツールです。無料版と有料版の2種類があり、それぞれ個人利用向けと法人利用向けです。TeamViewer は接続が容易でインターネット回線の安定性が高く、さらにセキュリティ対策や管理機能が充実しているというメリットがあります。

 一方、法人の場合は利用料がかかるというデメリットがあります。さらに、あくまでパソコン向けのツールであるため、スマートフォンやタブレットでの編集や作業には向きません

RemoteView

 RemoteViewでは月額料金が2パターンあり、それぞれ個人・小規模企業向けと一般規模企業向けになっています。

 RemoteViewの特徴は、さまざまなOSだけでなく、タブレットやスマートフォン操作にも対応している点です。さらに、遠隔地から対象のパソコンの電源を入れる機能があります。簡単に接続でき、セキュリティ対策が万全である点も人気の理由です。

Chromeリモートデスクトップ

 ChromeリモートデスクトップはGoogleが提供するツールです。さまざまなOSや端末に対応しており、接続や設定が簡単であるというメリットがあります。一方で、管理者による一元管理ができないため、トラブルの場合は個々が対応しなければならないというデメリットがあります。

TeamsやZoomを使ったオンラインでの情報共有

 リモートワークは、従業員間の連携が難しくなるという課題を抱えています。そのため、情報共有ツールを利用し、個人間での連携方法を充実させておく必要があります。TeamsやZoomはさまざまな端末を用い、どこにいてもオンライン対面通話やチャットが可能であるため、情報の共有に向いています。

勤怠管理ツールによる従業員の勤怠管理

 テレワークでは各従業員が社外で業務にあたるため、個々の労働状況の把握が難しくなります。そのため、評価や勤務時間の正確な管理が難しくなるというデメリットがあります。

 デメリットを回避するためには、あらかじめ勤怠における規程・ルールを決めておくことが必要です。さらに勤怠管理ツールを導入することで、従業員の労働状況を把握しやすくなります。ツールによってはGPS機能や作業画面の自動撮影機能がついたものもあり、従業員の実働状況を正確に管理するのに役立ちます。

非常時にはスマートフォンアプリが役に立つ

 いつ発生するか分からない災害に供え、災害時に使えるアプリを常に携帯しておくとことが大切です。なお、スマートフォンアプリには、前項で解説した安否確認システムが別途提供しているものもあります。

 とくに安否確認に特化したアプリならば、運用手順の事前作成やルールの徹底がしやすくなります。さらにGPS機能で、通勤中や出張中の従業員が、被災時の現在地を会社や家族に通知できるほか、現在地の状況を調べて安全を確保することにも役立ちます。

 なお、安否確認は災害時用アプリだけでなく、各キャリアの災害用伝言版やグループチャットツール、SNSサービスでも可能です。ただしこれらのサービスは、災害時に通信が遮断されることで利用できなくなる可能性があります。

Yahoo!防災速報

 Yahoo!防災速報は無料で利用できるアプリです。1000以上の自治体と連携し、自治体からの緊急情報を受け取ることができます。安否状況の返信などの機能はありませんが、無料ですぐに利用開始できるため、BCPツール導入の入門編としておすすめです。

トヨクモ安否確認サービス2

 トヨクモ安否確認サービス2は、BCPにおける事業復旧を目的として開発された安否確認システムです。安否確認の自動送信機能やリアルタイムの集計機能、限定グループのメッセージ機能が充実しています。スマートフォンで利用でき、操作しやすい点も魅力です。

NI Collabo NOW!

 無料で利用できるアプリです。スマートフォンのGPS・カメラ機能と、グループウェア「NI Collabo 360」内の「行先伝言共有」機能を連携させておけば、社員の現在地確認・勤務状況報告・安否確認が簡単に行えます。

LINE

 普段から利用しているSNSサービスやグループチャットツールも、社内でルールを徹底しておけば安否確認ツールとして役立ちます。たとえばLINEは無料で利用でき、複数人と一度に会話や画像の共有ができるため、安否確認にも便利です。GPS機能を利用して位置情報を送信すれば、被災時の現在地を正確に伝えることができます。

 さらに「LINE災害サービス」では、個別の連絡がなくとも、自動的に登録ユーザーのもとに自分の状況を知らせることができます。

セコム安否確認サービス

 大手警備会社のセコムが提供している安否確認サービスです。24時間365日体制のオペレーションがある点が大きな特徴です。LINEとも連携でき、利用方法によっては心強いサービスとなります。

BCPにおける自社の問題点や課題点を理解し、最適な対策を

 BCPではリスクを洗い出し、各リスクに応じた対策を講じることが重要です。リスクは企業によって異なるため、まずはリスクについて正確に把握することからスタートしましょう。このとき、それぞれの課題解決に役立つツールやアプリを上手に活用すると、より実行性の高いBCP策定が可能になります。

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