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最初に覚えておくべきBCP(事業継続計画)のノウハウ(第14回)

BCPの概要と作成手順や注意点について解説

 BCPとは「事業継続計画」のことであり、大災害やサイバーテロなど緊急事態に直面した場合を想定して、事業資産の損害を最小限にとどめ、事業継続のための方法や手段を計画することです。BCPを作成にするにあたり、作成手順や注意点についてあらかじめ把握しておくことが大切で、独自のフォーマットで作成してしまうとBCPを使用する人が誤って作業してしまい、大きな損害を被る可能性があります。本記事ではBCPの概要と作成手順や盛り込むべき要件、作成時の注意点について解説します。

BCPの概要

 まずBCPの概要とメリット、効果を発揮する場面について解説します。

BCPとは事業継続計画のこと

 「BCP」とは「Business Continuity Plan」の略で、「事業継続計画」のことを指します。BCPは企業がテロや災害などの危機的状況下に置かれた場合でも、重要な業務が継続し、生き延びることができるように計画することです。

 BCPの作成を怠ると、緊急事態が発生した際に大きな損害を被る可能性があります。地震や台風など、日本で発生しやすい災害に対してしっかりBCPを作成することも大切ですが、近年の新型コロナウイルス感染症のように、想像もしていなかった災害が発生した場合にも備えてBCPを作成する必要があります。

BCPを作成することのメリット

 BCPの作成は「企業」と「国や地域」それぞれにメリットがあります。

 企業へのメリットとしては、「災害時の被害を最小に抑えることができる」のはもちろんのこと、「社会から信頼を得られる」ことが挙げられます。BCPは災害時の備えとなるため、顧客や消費者にモノ、サービスを安定供給できることから、社会から信頼を得ることができ、企業価値の向上につながります。

 国や地域へのメリットとしては、「連鎖的損害の拡大を防げる」ことが挙げられます。ある企業がBCPを作成しなかった場合に、取引先への供給が停止してしまい、取引先がBCPを作成していたとしても、業務に影響が発生します。それが連鎖的に発生すると国や地域全体としての損害も拡大することに。BCPの作成は損害拡大を防ぐこともできるのです。

BCPが効果を発揮する場面

 BCPが効果を発揮する場面としては、地震や台風などの自然災害がイメージしやすいですが、そのほかのさまざまな緊急事態に対しても有用です。

 BCPが効果を発揮する例としては、テロや内戦などの「政治、経済リスク」、従業員の不正や粉飾決算などの「不正リスク」、ストライキやセクハラなどの「人事、労務リスク」などが挙げられます。

 さらに近年蔓延した新型コロナウイルスなどの「感染症のパンデミックリスク」も挙げられます。

BCPの作成手順と盛り込むべき要件

 BCPをやみくもに作成すると時間がかかることや、必要な要件の記載漏れが生じる可能性もあるため、作成手順に沿って作成することが大切です。以下ではBCPの作成手順について解説し、その中で盛り込む要件についても説明いたします。

基本方針を作成する

 計画を行うときは、最初に基本方針を立てることが大切です。方針を立てずに解決策から検討してしまうのは避けましょう。

 基本方針として検討すべき内容としては「想定する緊急事態の絞り込み」と「BCPの推進体制の決定」が挙げられます。

 すべての緊急事態に対してBCPを作成できることが最善ですが、時間と労力には限りがあるため、限られた中で最大限効果が発揮させるBCPを作成することが重要となります。例としては、自社として発生しやすいリスクに絞ることや、発生した際の損害が大きいリスクの内容を厚くするなどが挙げられます。

 推進体制については、全従業員がBCPについて検討できることが最善ですが、効果的なBCPを作成するには人材が必要となるため、推進体制をあらかじめ決定することが重要となります。

中核事業、復旧優先事業を選定する

 緊急事態の中ではすべての事業を完全に復旧することは難しいため、復旧事業の優先度を決める必要があります。優先度の判断基準としては、「会社の売上に寄与している事業」、「作業遅延により、損害が大きくなる事業」「市場シェアや会社の評判を維持するために重要な事業」が挙げられます。

重要な業務を特定する

 事業の優先順位を決定したら、事業ごとに業務を洗い出し、それぞれの業務が停止した場合の影響から復旧させる業務の優先度を決定します。この分析を「ビジネス影響度分析」と呼びます。ビジネス影響度分析で分析する軸としては、「事業継続のために必要な業務やリソース」、「各業務の目標復旧時間」が挙げられます

事前対策の検討

 緊急事態に直面してから対応する内容だけでなく、あらかじめ対策を打つことで被害を最小限に抑えることもできます。例としては、設備投資をして設備の耐久性を高めることなどです。

 事前対策することでコストはかかりますが、被害を最小限に抑えることで、結果としてコスト削減も可能となるため、事前に対策ができるものについてはできるだけ実施しておきましょう。

 すべての事業、業務に対して事前対策を講じることが最善ですが、本観点についても限りある時間とお金、労力の中で最大限効果を発揮させるために、優先度の高いものから事前対策を講じることをおすすめします。

文書化

 最後にこれまで決定してきた方針や要件を文書化します。文書化する際には1から手作りするのではなく、フォーマットを使用することで、効率的に作成することができます

 文書化する上で大切なことは「誰が読んでも理解できる」ことです。BCPは作成した従業員だけでなく、全従業員に関わる内容であることに加え、BCPの作成メンバーが被災した場合は代理のメンバーがリーダーとなって指揮する必要があるため、誰が読んでも理解できる文章を作成することが重要となります。

BCPを作成する際の注意点

 BCPを作成する際に、上記の手順で作成すること以外にも注意するポイントがあります。以下では「BCPの発動基準を明確にする」ことと「BCP発動時の体制と要員を明確にする」ことについて解説します。

BCP発動基準を明確にする

 BCP作成時のポイントとして「発動基準を明確にする」ことが挙げられます。発動基準があいまいな場合、発動が必要であるにもかかわらず、発動に尻込みすることで損害が大きくなる可能性が生じます。発動基準を検討する判断ポイントとしては「中核事業のボトルネックが影響を受けるか」、「目標復旧時間内の復旧のため、ただちにBCPを発動する必要があるか」ということが挙げられます。

BCP発動時の体制と要員を明確にする

 BCP発動時の体制と役割を明確にすることは、BCP発動時のスムーズな活動につながります。緊急事態の場合、全員が冷静な判断をすることは難しいため、リーダーのもとに機能ごとにチームを形成し、トップダウンで活動することが重要となります。

 チーム形成を検討する際にはどの業務復旧にどのようなスキルを持つメンバーが必要かを明確にすることと、そのメンバーのうち、緊急時に出社できるメンバーでチームを構成することが大切です。

BCP作成の手順や注意点を把握した上で作成しましょう

 BCPはあらゆる状況を想定して作成する必要があることから、方針がブレないように基本方針を固めるなど、手順に沿って作成することが大切です。BCPは自社と従業員を守るだけでなく、社会全体を守ることにもつながります。BCP作成時の手順や注意点をしっかり把握した上でBCPを作成しましょう。

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