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2021.03.12 (Fri)

最初に覚えておくべきBCP(事業継続計画)のノウハウ(第2回)

災害に備えた経営を実現するBCP関連本・書籍

 近年、多くの企業に導入が進んでいるBCP(事業継続計画)ですが、効果的に機能するBCPを策定し、適切に運用していくためには、BCPやリスクマネジメントに関する知識が必要不可欠です。BCP策定にあたり、コンサルティング会社に助言を依頼することができますが、費用がかかります。したがって、まずは本・書籍から情報を仕入れ、BCP策定を検討する基礎を構築しておくことが重要です。本記事では、BCP策定・運用に役立つ知識が得られるおすすめの本・書籍をご紹介します。

BCP関連の本・書籍から学べること

 BCP(Business Continuity Plan)の略で「事業継続計画」を意味しています。意味だけをみると汎用的な印象ですが実際は自然災害やテロ、大規模なシステム障害といった緊急事態に素早く対応するためのルールとして企業に策定されているものです。

 BCP関連の本・書籍を読むことで、コストをかけずに緊急事態に対して企業を適切に運用していく知識を得ることができます。

 しかしBCP関連本にはどのような内容が書かれているか、明確にイメージできていない方も多いのではないでしょうか。まずBCP関連の本・書籍から学べることを解説します。

BCPの基本的な考え方を学べる

 BCP関連の本・書籍の中には、BCP入門として役立つBCPや事業継続マネジメントの基本的な考え方を学ぶことができるものが多数出版されています。基本的な考え方を知っておくことは、以降の項目で紹介する策定手順や運用方法を決定する上でも重要です。そのため多くの書籍の序盤で、これらの内容がしっかり解説されています。

策定手順を学べる

 BCPの基本的な考え方を理解したら、具体的な策定手順を知る必要があります。どのようなBCPを策定するかは企業ごとにさまざまです。BCP関連本・書籍の中には「継続・優先する事業の選択」「重要な業務と目標設定」といったステップごとの策定手順が述べられているため、自社に最適なBCPを明確化することができます。

運用方法を学べる

 BCPは策定して安心というわけではありません。実際の災害、障害時にBCP通りの迅速な対応を実施できるような環境を整えておく必要があります。

 例えば、策定したBCPを従業員に意識共有させるための教育・演習を学んでおくことで、いざというときに遠隔用ツールの使用法やバックアップデータの移行といった作業を円滑に行うことができます。このような策定後の運用方法もBCP関連本・書籍に記されています。

事例を学べる

 他社や各省庁の事例を紹介したBCP関連本・書籍もあります。事例を知ることでBCPの必要性や機能を学ぶことができます。

 例えば日経BPムックが出版する「ITで実現する 震災・省電力BCP完全ガイド 」では、東日本大震災による電力不足の教訓を活かしたBCPが紹介されており、情報システム部門の人にとっては有益な内容です。このように特定のインシデントとそれに対する事例を学ぶことで、自社にとって必要なBCPも理解できるのです。

BCP関連おすすめの本・書籍

 BCP関連の本・書籍の大まかな構成がわかったところで、ここからおすすめのBCP関連本・書籍をいくつか紹介します。しかし求めるBCPの知識は企業によってさまざまです。

 本記事では「入門者」「初心者」「中・上級者」向けに分けて紹介しますので、基本的な概要を知りたい方から、既にBCPを策定・運用中の方まで、ぜひ自分に合ったものを見つけてください。

BCP入門者におすすめの本・書籍

 まずは、BCP入門者におすすめの本・書籍をいくつか紹介します。これからBCPを導入しようとする入門者にとっては、BCPや関連するリスクマネジメントに関する基本的な考え方を理解しておくことが大切です。

「本当に使えるBCPはシンプルだった。」:税務経理協会

 本書は、会社の危機管理のあり方という広い視点から、BCPのあるべき姿を解説しており、基礎知識を身につける上で非常に有用です。東日本大震災の具体的な事例から、企業の危機的状況にどのように準備・対応すべきか学ぶことができます。

 図解も交えながら解説されているほか、ページ数も少なくシンプルにまとめられているため専門知識のない方にもおすすめです。

「BCP<事業継続計画>入門」:日本経済新聞出版

 本書は、東日本大震災の教訓から、なぜBCPが必要なのかを学ぶことができます。さらに後半ではBCP策定に向けた準備や、運用とメンテナンスのポイントといった実践的な知識が記載されています。東日本大震災だけでなく、タイの大洪水や中越地震の事例も紹介されています。

 当時の災害をリアルタイムで認知していなかった方もBCPを策定しておくことでどのようなメリットがあるのか、戦略をしっかり立てていなかった企業がどうなってしまったか、といったことを知る機会になります。

 当時新しいタイプであった被害への対策、専門部署に絞らない企業全体での取り組みを主にしているため、従業員単位でBCPの意識と災害に対する危機感を定着させたい企業におすすめです。

BCP運用中の初心者におすすめの本・書籍

 実際にBCPを策定中、あるいは運用中の初心者にとっては、運用や定着のポインといった実践的で具体的な知識を学ぶことが重要です。この項目でBCP運用中の初心者におすすめの本・書籍をいくつか紹介します。

「実践!BCP運用マニュアル」:日刊工業新聞

 本書では、リスクマネジメントの概念的な部分だけでなく、解析手法や具体的な対策事例について学ぶことができます。災害メカニズムや過去の災害時の実務分析といった内容も紹介されています。 

 南海トラフや富士山噴火といった近い将来起こるといわれている大災害に恐れを抱いている企業も多いはずです。「地震」「津波」「堤防決壊」といった大規模な災害に着目しているため、これらに対する知識、予防策を学びたい方に適した一冊です。

「事業継続マネジメントの構築と運用の実践」:日科技連出版社

 本書では、BCPのテスト・訓練などの具体的な運用方法について学ぶことができます。さらにBCPだけでなく、BCPに密接に関連するBCMに関しても詳しく述べられています。

 BCMはBCPで定めたことを実行・改善していく運用の仕組みのことです。これまでの著書でも触れられていないわけではありませんが、本書では特にBCMに着目して述べられています。「テスト」「訓練」「モニタリング」「見直し」といった、BCMおよびBCPを正しく進めていく上での手順やその重要性を理解することができます。

より最適化されたBCPを目指す中・上級者におすすめの本・書籍

 BCPは変化の激しい社会情勢や急速に変わりつつある働き方など、近年のさまざまな変化に対して、更新していく必要があります。ここでは、より上級者向けの本・書籍を紹介します。計画を改善したい方や基礎的な知識だけでは物足りない方は、ぜひ参考にしてください。

「実践BCP策定マニュアル」:オーム社

 本書では、BCPにおける事業継続マネジメントへの応用に関する知識を学ぶことができます。シリーズの上級編のため、基礎用語から丁寧にというわけではありませんが、基本的な知識が身についていれば、より応用的な知識を知ることが可能です。

 「帰宅困難者対策」や「スタッフの確保」「通信手段の確保」といった細分化した対策法が述べられています。国際規格に即したBCP策定を本格的にまとめられているため、企業規模問わず有益な情報ですが、特に中小企業に適した一冊です。

「経営戦略としての事業継続マネジメント」:東洋経済新報社

 経営戦略の一部としての事業継続マネジメントやBCPの考え方を学ぶことができます。「企業のグローバル化」や「全社的リスクマネジメント」「人事・財務」といった経営戦略と事業継続マネジメントは互いに直結した関係であると、本書では述べられています。

 事業の意思決定を行う経営者や上級管理職に向けた内容が記載されているため、従業員を統括する立場の方に、ぜひ呼んでもらいたい一冊です。

BCP導入のためにまずは本・書籍で情報収集を

 BCPを策定・運用することで緊急事態でも自社の資産を守ることができます。そのためにも本・書籍で情報収集を行っておくことが重要です。本記事では入門から上級者まで幅広く紹介しましたので、ぜひ自社に合った一冊を見つけてください。

 BCPの策定は、事業内容とそれに関連するリスクを網羅的に整理し、本質的な対策を打つ必要がある難しい作業です。「導入・運用が行き届いていない企業」や「目まぐるしく変わる社会情勢に対してBCPをアップデートできていない企業」はまず、基礎知識を身につけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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