こっそり聞きたいネットワークのキホン(第26回)

ネットワーク自動化のメリットと進まない現状

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 各企業でネットワーク自動化の傾向が高まっていることをご存じでしょうか。ネットワーク内の構成から運用までの動作はビジネス効率に直結します。テレワークが増えている中でネットワークをすべて管理するためにも、自動化は避けては通れない道かもしれません。本記事ではネットワーク自動化の詳細やメリット、代表的なツールなど紹介します。自動化に対する疑問もきっと解決するかと思いますので、日々の非効率な作業に負担を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

ネットワーク自動化とは

 近頃、「ネットワーク自動化」が企業の間で推奨されています。なんとなく言葉からイメージはできるが、詳細まではわからないという方も多いのではないでしょうか。まず、「ネットワーク自動化」の概要やメリットを解説します。

ネットワーク機器の一連の動作を自動化する

 ネットワーク自動化とは、ネットワーク死活管理やIPアドレス管理など「ネットワークにつながったハードウェアおよびソフトウェアの構成、管理、運用を自動化するプロセス」のことです。

 簡単に言えば、それまで手動で行ってきた日常的なタスクの自動化です。企業のデジタル化、クラウドへの移行に伴い、自動化が推進されています。

自動化のメリット

 各企業のデータセンターやサービスプロバイダで導入、推進されているネットワーク自動化ですが、その背景には、予算や効率といったさまざまなケースでのメリットがあります。

 ここではネットワーク自動化のメリットについて解説します。メリットを理解した上で今一度、自身が所属する企業で適切なシステム構成がなされているか考えてみてください。

時間効率の向上

 ネットワーク自動化のメリットのひとつが時間効率の向上です。現在、ネットワーク変更の最大95%が手動で行われています。

 しかし、ネットワークの構成から運用、保守まで手動で行っている場合、そもそも時間がかかる上に、ネットワーク構成のエラーやタイプミスによるタイムロスが生じてしまいます。

 ワークフローが確立された自動化はこれらの問題を防ぐとともに、ネットワーク部門、企業全体の時間効率アップにつながります。

大規模ネットワークの障害耐性

 大規模ネットワークの障害耐性もメリットのひとつです。数十万、数百万といったユーザー向けのサービスや、支社や関連会社で共有するネットワーク基盤では、ひとつの障害が多くの人の稼働をストップしてしまうことになりかねません。

 このような大規模なネットワークは構成が複雑で、手動では問題が発生するリスクが高いですが、自動化なら高度なサービスの提供と、障害に対して迅速に一貫性のある対応が可能です。地域や拠点をまたいで展開している企業には重要なポイントとなります。

運用コストの削減

 設計から管理まで、ネットワーク運用には多大なコストが必要とされていました。自動化をすることで、機材の稼動費や人件費といった運用コストを削減できるため、大きなメリットとなります。

ネットワーク自動化が進まない理由

 社会全体をみると、ネットワーク自動化が推進されている一方で導入されていない企業が多く存在します。大きなメリットがあるにもかかわらず、なぜこのような現状となっているのでしょうか。この項目でネットワーク自動化が進まない理由を解説します。

技術者の不足

 ネットワーク自動化を導入するには、その手の分野に精通した技術者の力が必要不可欠です。しかし現状、自動化を導入できる技術者が不足していることが、企業における自動化を妨げています。

 ネットワーク自動化のようなエンジニア知識は情報収集や習得が難しくて理解できないという問題もあります。適切な学習方法がわからない以上、企業側も教育に予算を振り切れないのです。

部門ごとで使用ツールが異なる

 企業とは、複数の部門、チームで形成されています。しかし部門ごとで使用ツールが異なる点が企業全体のネットワーク自動化を妨げている場合があります。

 例えば、1つの部門で自動化を導入したとしても、使用ツールの違いのために別の部門への展開ができないことがあります。その場合、業務や部門ごとにバラバラに自動ツールが導入される、自動化と手動が入り交じるといった状況になります。

 このようなケースから、むしろ負担が増える事態になり、組織的として効率的な自動化がなされていない現状を生み出しているのです。

自動化における主なツール・言語・サービス

 ネットワーク自動化を導入するにはプログラミング言語を用いてシステム設計から始めるか、企業が提供しているパッケージツールを利用することが多いです。

 しかし前述でも触れた通り、技術者の不足からこれらの詳細を知らない方も多いでしょう。ここで、自動化によく使用されるツールや言語、サービスを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

Ansible

 Ansibleは世界的なオープンソースプロバイダであるRed Hatが提供する代表的な構成管理ツールです。従来、サーバー管理を主体として、想定した状態に自動でアプリケーションのインストールや設定を行うツールでした。しかし、現在はネットワーク機器全般を一括で運用管理することが可能になっています。

 Ansibleを導入することで人為的ミスの削減、繰り返し作業の効率化を実現できます。ディレクトリの設定ファイルも「Inventoryファイル」と「Playbookファイル」のみです。シンプルな記述のため、初心者にも比較的理解しやすいということで需要が高まっています。

Python

 ネットワーク自動化はAnsibleなどのパッケージツールだけで完結する場合もありますが、複雑な条件分岐やAPIを使った密接なシステム連携には、言語を用いたプログラムも必要となります。プログラミング言語が扱えるなら、設定から始めてしまった方が柔軟なシステムを構築できるのです。

 そのようなケースで用いられる代表的なプログラミング言語がPythonです。OSのバージョンアップや機器のコマンドのような、たいていのネットワーク機器の運用に対応しています。

 Pythonはコードの記述量が少ないほか、自動化に適したライブラリとフレームワークも多数実装されているため、プログラミング初心者でも扱いやすい点も魅力です。

 プログラミングのできるネットワークエンジニアは企業にとっても貴重な人材ですので、仕事の幅と質を伸ばしたい方は、ぜひPythonを学んでください。

Cisco

 Ciscoネットワーク機器開発の企業の名前です。BtoBでネットワーク自動化をサポートしているため、自動化を実現するための製品、ソリューションを展開しています。

 Ciscoが提供する自動化に関連したサービスは、主に「Cisco Software-Defined Access(SD-Access)」「Cisco SD WAN」の2つです。

 SD-Accesは、アクセスネットワーク全体を単一のファブリックとして自動化することで、ネットワークにつながったすべてのユーザーとデバイスがすべてのアプリケーションにアクセス可能になります。セグメント化されたネットワーク経路はセキュリティも確保されているため、安心して運用できます。

 一方のCisco SD WANは、WANとブランチを一元管理することで自動的にネットワーク速度、セキュリティ、効率を迅速に改善するクラウドアーキテクチャです。

 どちらもネットワーク運用の簡素化と効率化を実現するツールですが、Cisco SD-Accessはユーザーとアプリケーション、Cisco SD WANはクラウド内のアプリケーションに関与します。そのため、この2つは連携して利用することで、ネットワーク全体を自動かつ一元的に管理できます。

未来のネットワークを想定した対策が重要

 ネットワーク自動化は業務効率、コスト面で大きなメリットを得ることができます。自動化は今後、少子化やデジタル化の煽りを受けて、ICT業界を中心にますます進んでいくでしょう。

 時代に取り残されないためには、従業員、企業ともにスキルの獲得と人材の育成が重要です。ぜひ本記事で取り上げた言語やツールから対策を検討してはいかがでしょうか。

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