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こっそり聞きたいネットワークのキホン(第7回)

ネットワークループが起きる原因と調査方法

 正常なネットワーク環境を維持することは、業務効率を向上させるうえで重要なポイントです。近年、リモートワークが増えたことで社内だけでなく、自宅でもLAN環境を構成する必要が出てきました。そんな中、ネットワークのループにより接続障害が突然発生する可能性があります。本記事では、ネットワークループが起きる原因と調査、対策を紹介します。接続障害に悩まされている人は、ぜひご参照ください。

ネットワークループとは

 「ネットワークループ」はネットワーク障害の原因の一つで、通信ができない状態を引き起こします。ネットワークを利用したシステムやサービスが主流となっている現代において、ネットワーク障害は重大な影響を与える可能性があります。以下ではネットワークループの概要について解説します。

ネットワーク配線がループになっている状態

 ネットワークループはネットワーク機器の配線がループしていることにより、ループ内でデータが転送され続け、ループ外にデータを転送できない障害です。

 簡単な例を挙げると、2台のスイッチングハブが2本のLANケーブルで円状に接続されている状態です。スイッチングハブから転送されたデータがもう一つのスイッチングハブに到着した後、再度元のスイッチングハブに転送されてしまうことを繰り返してしまいます。

データの無限ループでネットワーク全体がダウンする

 ネットワークループが発生するとデータがループ内で転送され続け、使用可能な帯域を使い果たしてしまい、結果としてループしているネットワーク全体がダウンします。

 ループ状にネットワークが構築されていることが原因なので、発生したとしても「簡単に原因箇所を特定できるのではないか」とも考えられますが、大規模なネットワークとなった場合には原因特定が難しくなる場合があります。

 大規模ネットワークでは大量のネットワーク機器が接続されているため、ループの原因となる箇所の特定が難しくなります。

正常なネットワーク環境のためにもループは絶対に回避

 ネットワークループが発生すると、ネットワークが使用できなくなってしまい、業務が止まってしまう可能性があります。業務が止まったことにより、顧客にも影響が発生してしまった場合は信用問題に発展し、企業に大きなダメージを与える可能性があります。

 そのため、ネットワークエンジニアはネットワークループの発生を未然に防いだり、発生した場合には早期対応を行う必要があるため、原因や対策についてしっかり把握する必要があります。

原因となるネットワークループ構成

 ネットワークループについて把握するためには原因となるネットワーク構成を知る必要があります。以下ではネットワークループが発生するループ構成の一例を紹介いたします。

1台ループ

 「1台ループ」は、1本のLANケーブルの両端が1台のハブやスイッチングハブ内のポートにつながってループができている状態です。最も単純なネットワークループ構成であり、自宅などの小規模ネットワークを構築する際に発生する可能性があります。

 単純な構成なので、発生した場合でもネットワークループの存在を知っていれば原因を簡単に特定できるでしょう。

2台ループ

 「2台ループ」は2本のLANケーブルと2台のハブやスイッチングハブでループを構成している状態です。ハブを増やした際に発生する可能性が高いもので、注意が必要です。

3台ループ

 「3台ループ」は3本のLANケーブルと3台のハブやスイッチングハブでループを構成しており、パケットが三すくみ状態でループすることによりネットワークが停止します。

 一見、原因の特定は難しくないように思われますが、LANケーブルが長い状態で複雑な配線を構築していた場合、気付かずにネットワークループが発生してしまうことがあるようです。調査方法や対策方法を知らないと原因の特定に時間がかかってしまう可能性があるため、あらかじめ把握することが重要となります。

ネットワークループの調査・対策方法

 上記の通り、ネットワークループが発生してしまった場合、早急に原因の特定と対策が必要となります。その調査方法や対策方法を事前に調べておくことは、障害を未然に防いだり、障害が発生した場合のスムーズな解決につながります。以下ではネットワークループが発生した場合の調査方法と対策方法を解説します。

直前に接続したケーブルを抜く

 ネットワーク機器を追加した場合にネットワークループが発生した場合は、「直前に接続したケーブルを抜く」ことが簡単かつ有効な手段となります。ネットワーク構成を変更する際は、事前に写真を撮っておいたり配線図を作成するとよいでしょう。

空いているLANポートをロックする

 「空いているLANポートをロックする」ことでLANケーブルを差し込みできない状態にすることも、ネットワークループを未然に防ぐために有効な手段となります。ポートキャップというポートを塞ぐキャップが販売されており、それを使用すれば物理的にポートをロックできます。

 VLANであれば設定によってポートをロックすることも可能です。VLANとは仮想LANのことで、スイッチングハブ内でネットワークを分割できる技術で、企業でLANを構築する際に利用される技術です。

LANケーブルの取り外し権限を設定する

 ネットワークエンジニアやインフラエンジニア以外のユーザーがネットワークを構築してしまい、複雑かつループ状のネットワークを構築してしまうと、原因の特定に時間がかかってしまいます。

 LANケーブルの取り外し権限を管理者のみに限定すれば、ループが構築される可能性を低くできます。

pingコマンド

 「pingコマンド」は、指定した相手先のパソコンやサーバー間の通信経路がつながっているかを確認するコマンドです。ネットワークループが発生している場合は、pingコマンドを打っても返答がないため、有効な検知手段の一つとなります。

 pingコマンドはコマンドプロンプトやターミナルで「ping(IPアドレスorホストアドレス)」と打つだけでよいため、誰でも簡単に確認できます。コマンドプロンプトはWindows 10であればスタートメニューから「Windows システムツール」→「コマンドプロンプト」で起動できます。

STP(スパニングツリープロトコル)

 「STP」は、LAN内でループが構築されることを未然に防ぐためのプロトコルです。ネットワーク上に論理的なツリー構造を構築し、ツリー構造に不要なリンクをブロックするため、ループがあった場合でもループの部分をブロックして、機能するネットワークが構築されます。

未然に防ぐためには不用意な操作は禁物

 ネットワークループは人的ミスによって発生するネットワーク障害であるため、組織に所属するメンバーのレベルに応じて適切な対策を講じ、未然に障害を防ぐことが重要です。また、ネットワークループが発生した場合に早急に対応できるよう、対応策を把握しておくことも重要となります。

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