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2021.02.26 (Fri)

1からはじめるビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)(第6回)

今話題のBPOについて初歩からの基本的な解説

 少子高齢化が進む社会となり、労働力の低下が懸念されるなかで、必要な労働力を無理なく確保すべく働き方改革が進められています。今話題となっている「BPO」も働き方改革と同じように、労働力の低下を補える新たなサービスとして注目を集めています。BPOとは何か、BPOを導入するにあたっての注意点、メリット・デメリット、期待される効果など、BPOに関する基本的な情報を解説します。

BPOサービスとは

 働き方改革の推進と相まって、多くの企業で増加しているのがBPOサービスの導入です。BPOサービスは業務効率化や経営資源の有効活用に役立つ一方、自社にノウハウが蓄積しにくいなどの課題も抱えています。まずは、BPOサービスの概要について解説しましょう。

BPOとは

 BPOは「Business Process Outsourcing(ビジネス プロセス アウトソーシング)」の略です。BPOとは簡単に言えば、自社の業務プロセスを丸ごと外部企業に委託する方法です。通常のアウトソーシングとは異なり、BPOは業務を「丸ごと」委託する点が特徴です。

アウトソーシングはこれまでにもあった

 アウトソーシングを語訳すると「外注」「外部委託」となります。アウトソーシングは業務効率化や経営資源の節約などのメリットがあり、過去にも多くの企業で導入されてきました

 アウトソーシングとBPOにおける最も大きな違いとして、アウトソーシングは、業務の委託先が人材派遣会社や業務代行会社である点が挙げられます。アウトソーシングとはいわば「臨時ヘルパー」であり、繁忙期や人手不足で手が回らないときに、労働力の補填として人材派遣会社や業務代行会社に依頼する傾向にあります。

アウトソーシングで補い切れなかったもの

 従来のアウトソーシングに依頼する業務は、ルーティン化されている一部の自社業務が中心です。たとえば人事業務における給与計算や勤怠管理、経理業務における会計処理や帳簿付けなどが該当します。

 人事業務や経理業務はある程度やり方が固定化されており、業務知識さえあれば委託先であっても遂行できます。なお、営業や技術職など自社ノウハウが生かされる部門では、アウトソーシングはあまり活用されていません。

 アウトソーシングは固定化された業務を外部に委託するため、業務全体のスピードアップや経営資源の節約、コア業務へのリソース集中などが期待できます。一方で、委託先が業務を遂行する上で諸々の制約を受けるというデメリットがありました。

 たとえば委託先は、依頼主から指定された方法で業務を進めることしかできないため、自社のノウハウを活かした業務遂行や、作業効率化などの課題に自主的に取り組むことは簡単ではありません。

BPOとこれまでのアウトソーシングの違い

 BPOが従来のアウトソーシングと大きく異なるのは、BPOは該当業務の全権を外部の委託先に委ねることです。

 委託先は、その企業の一員として業務に取り組むため、該当業務における人材採用や方針の決定に責任を持つことになります。効率化や業績向上などの課題解決に自主的に取り組むことができる点も、従来のアウトソーシングと大きく異なる点です。

進化するBPOとそのトレンド

 BPOが誕生した当初は、自社の非効率的な業務を外部に委託することで企業の経営資源節約を図る「コスト削減」に主眼が置かれていました。しかし、時代の変化とともに企業のあり方やニーズが変化し、BPOは単なる作業の遂行だけでなく、プロセス効率や顧客ロイヤルティの強化、優秀な人材の管理、売り上げ増大などの多岐にわたる業務が求められるようになりました。

 BPOはこれまでの取引で蓄積されたデータ・ノウハウをもとに、クライアントの多岐にわたるニーズに応えるため、進化を続けています。現在は業務を丸ごと委託できるという点を活かし、企業の弱点をBPO化して生産性向上を狙うなど、経営戦略の一環として利用されるケースが多くなっています。専門知識を生かしたマーケティング・営業代行や、開発プロジェクトのBPO化などが一例です。

BPO導入で期待できる効果・コスト削減

 BPOの導入で期待できる1つ目の効果は、コスト削減です。BPOで業務を委託する際は、委託費用というコストが発生します。自社で業務を完遂すれば、当然ながら委託費用は発生しません。そのため、BPO費用は無駄なコストととらえる人もいるでしょう

 アウトソーサーは、複数の顧客の業務を受注することが一般的です。そのためアウトソーサーは、多様なリソースから得た豊富なデータやノウハウを活用して、各種の業務にあたることができます。

 つまりクライアント側の企業にとっては、自社プロセスでは達成できないレベルでの業務遂行が期待できます。委託費用以上の成果を得られるため、決して無駄なコストではないのです

BPO導入で期待できる効果・競争力の向上

 2つ目の効果は、コア領域での競争力の向上です。近年、BPOは「自社のノンコア領域の効率化」という経営戦略の一環として利用される傾向があります。自社のノンコア領域やウィークポイントを切り離して委託することで、自社のリソースをコア領域に集中させることができます。

 自社のリソースや従業員の労働力をコア領域に集約させることで、売上向上といった企業全体の生産性や競争力の向上を図ることができます。さらにノウハウが乏しい業務は専門知識を有したアウトソーサーに委ねることで、弱点を強みに転じることができ、自社の競争力向上が期待できるようになります。

BPO導入で期待できる効果・業務改善

 BPO導入で期待できる3つ目の効果は、業務の効率・品質向上です。BPOでは業務をプロセスごとアウトソーサーに委託します。委託した企業は、業務を客観的に俯瞰することが可能になります。

 業務を可視化することで、自社で対応していたときには気づけなかった課題や、無駄なプロセスの把握が容易になります。課題の発見は、業務品質や効率の改善につながります。

 あるいは、個々の従業員によって対応に差が出ていた業務も、BPOを活用することで、質の底上げが期待できます。専門知識を有したアウトソーサーはプロセス構築やマニュアル化を行うことで、高い水準での業務完遂をめざします。結果、個々によって対応に差が出ていた業務の質が高い水準で均一化され、全体的な業務の品質・効率の改善につながります。

BPO導入の意味するもの

 BPO市場の規模が年々拡大している背景には、業務効率化や競争力の向上といったポジティブな理由だけでなく、深刻な人手不足の広がりという面もあります。日本では少子高齢化による労働人口の減少が問題視されています。

 2019年4月より順次施行となった働き方改革関連法案により、労働時間の短縮化が全企業に義務付けられたことも要因の一つとして挙げられます。働き方改革は労働環境を充実させることで労働力を確保することを狙いとしていますが、短期間で急激な上昇は見込めません。

 人手不足をカバーしつつ、労働生産性を高めるために、今後、各企業におけるBPO導入はますます増加する可能性が見込まれています。

BPO導入が推進される背景

 従来のアウトソーシングは、経理や人事などにおける定型化業務を委託することで、業務の作業効率向上などを見込むことが目的でした。対してBPOは、業務の可視化によるプロセス改善やコア領域へのリソース集中に主眼が置かれています。

 BPOが変化した背景には、前述のように労働力不足の深刻化があります。多くの企業で人手不足による企業の競争力が低下したため、非効率的な業務を外部委託することでコア領域への集中力を高め、競争力を向上させることが求められました。

 そのため、従来のアウトソーシングのように定型化した業務を委託するのではなく、プロセスごと委託できるBPO市場が拡大を見せました。BPOによって企業は業務プロセスを丸ごと外注できるようになり、よりコア領域への集中力を高めることが可能になったのです。

 現在はBPOに求める企業のニーズも多様化しており、それらに応えるため、BPOが手がけるサービスも拡大傾向にあります。今後も多様化するニーズに応え、BPO市場はさらに進化・拡大していくことが予想されます。

BPOとは「業務改善・コスト削減」などに役立つツールの一種

 従来のアウトソーシングが臨時ヘルパーのような位置づけであるのに対し、BPOはプロセスや課題解決などを丸ごと外部に委託することが可能なサービスです。つまり単純な作業代行だけでなく、コンサルティングも依頼できるのがBPOといえるでしょう。

 BPOにより企業の課題やプロセスが改善されることで、業務全体の品質や効率の向上を見込むことができます。企業はBPOをコンサルティング付きアウトソーシングと捉え、将来の企業運営に役立つビジネスツールの1つとして有効活用していくとよいでしょう。

BPO導入に向いている業界は何か

 BPOはどのような業務分野に向いているのでしょうか。BPO導入に向いている業界や領域について解説します。

BPOは業界を問わず導入が可能

 BPOの業務領域は多岐にわたるため、どのような業界でも導入が可能です。代表的な業務領域の例を挙げてみても、総務・経理・人材・営業・SI・コンサルティング・コールセンターなど多種多様であり、BPOの業務領域がきわめて広いことがわかります。

BPO導入を行うべき領域

 BPO導入が推奨されるのは、企業のノンコア領域です。ノンコア領域とは、企業の中心業務をサポートする業務であり、直接的に利益を生まず、定型化されており高度な判断が不要な業務が該当します。これに対し、企業の中心業務として利益に直接結びつく業務をコア業務と呼びます。

 ノンコア領域は業務遂行の難易度が低い一方で、処理するのに時間や人手を多く取られたり、繁忙期にはコア業務を圧迫するほど業務量が増えたりするといった特徴があります。しかし直接利益には結びつかないため、コストがかさむ非生産的な業務といえます。

 ノンコア領域のBPOを進めることで、ノンコア業務に割かれていた労働力をコア業務に回すことが可能になるため、自社サービスの品質向上や売り上げの増加につなげることができます。

BPOを導入に向いている事業・業務

 BPOしやすいノンコア領域としては、ルーティンワークの多い経理・総務・人事といった間接業務が代表的ですが、直接業務の中に存在するノンコア業務にも向いています。直接業務の代表である営業部門の業務の中には、自社商品に関連する消耗品の販売が含まれている場合があります。たとえばコピー機を自社商品とするなら、コピー用紙やインクなどが消耗品にあたります。

 消耗品の販売は利益を生む業務ではありますが、高度な判断はさほど必要ないため、ノンコア領域に分類することができます。消耗品の販売をBPOすることで、担当営業の業務負担は大きく軽減され、コア業務に集中しやすくなります。

BPOには特別な資格は不要

 BPOは発注側・受注側ともに、特別な資格は必要ありません。ただし、アウトソーサーは、依頼を受けた業務領域が強いに越したことはありません。得意な分野であればより高い成果を上げることができ、対外的な信用も高まるためです。そのため、なにかの分野に特化していたり、有利な資格を保有していたりすると、その分野におけるBPO依頼を受けやすくなります。

 発注側も、BPO導入の際には、その分野に強いアウトソーサーを選定することが大切です。もし不得意な分野を依頼してしまうと、想定していた通りの成果を得られず、コストの無駄が発生しかねません。

導入ケース事例

 実際に人事や経理といった間接業務でBPO導入に成功した事例を紹介します。

ミサワホーム

 ミサワホームは、間接費の費用削減をめざし、財務管理業務などの間接業務全般のBPOを早くから進めていました。2014年からは経理業務を段階的に移管し、日常業務だけでなく、月次決算や本決算などの専門的な分野でもBPOを採用しています。

大手通信企業B社

 多くの従業員を抱えるB社では、従業員からの問い合わせの数自体が多いことに加え、効率的な業務プロセスが確立していないために、的確な対応がなされていませんでした。給与計算においては、海外給与の計算が含まれるため業務難易度が高くなっており、ノンコア業務全般のコストがかさんでいることが課題となっていました。

 同社ではリソースの確保とコストの最適化に向け、問い合わせ窓口の強化と人事給与業務においてBPOが導入されました。まず問い合わせ窓口の強化については、属人化した業務の整理マニュアル化が行われ、マニュアルを中心とした従業員教育が徹底化されました。

 人事給与業務については、従業員の問い合わせの対応や海外給与計算など、業務全般をBPOしました。的確な運用体制が構築されたことにより、運用コストの大幅な削減に成功したとのことです。

卸売り企業D社

 D社では「業務運用の複雑さ」「店舗数が多いこと」「入退社者数が膨大」「会計処理が複雑」等の課題により、人事給与業務にBPOを導入しました。BPO導入にあたり、まず業務プロセスや帳票類の現状調査が行われ、業務遂行の支障となっている要因が洗い出されました。

 次に調査結果に基づいて業務範囲と業務プロセスの再定義が行われ、最適な運用体制の構築がなされました。さらにデータチェックのシステム化による業務ミスの削減や、従業員からの問い合わせ対応のBPO化が行われ、業務担当者の運用コストが大幅に削減されたといいます。

BPO導入における課題とは

 BPO導入においては、メリットとデメリットの双方を把握し、比較する必要があります。BPO導入におけるメリットとデメリットをそれぞれ解説します。

BPOにもメリットデメリットはある

 BPOは万能ではありません。メリットがある一方でデメリットも少なからず存在します。大切なのは、BPOにおけるメリットとデメリットを把握し、それを踏まえた上で導入に意義を見出せるかということです。BPOを最大限に活用するためにも、メリットとデメリットのそれぞれについて理解しておくことが重要です。

BPOのメリット

 BPO導入による1つ目のメリットは「コスト削減」です。BPOでは業務を丸ごと外部委託するため、その業務に必要な人材の確保や教育、評価といった手間を省くことができ、時間・費用の大幅な削減が期待できます。自社に固定人材を抱えないため、繁忙期に合わせて人員配置を柔軟に行える点も、コスト削減につながります。

 2つ目のメリットは「業務プロセスの改善」です。専門知識に長けたアウトソーサーに業務を一任することで、より効率の高い業務プロセスが構築されます。外部に委託することで、その業務の可視化が可能となり、今まで気づかなかった無駄なプロセスや課題の洗い出しが容易になります

 3つ目のメリットは「経営資源の削減」です。ルーティン化されている間接業務を外注することで、社内のリソースを節約することができます。浮いたリソースをコア業務に集中させることで、自社サービスの向上や売上の増大につながります。

BPOのデメリット

 BPO導入による1つ目のデメリットは、「情報漏えいのリスク」です。委託業務がコア領域に近いほど、情報漏えいのリスクが高くなります。さらに顧客情報や個人情報の流出ともなれば、利益減少だけでなく信用問題にもかかわります。

 2つ目のデメリットは「業務の不可視化」です。BPOではプロセスごと業務を委託するため、クライアントは、アウトソーサーがどのような業務内容をどのような方法でこなしているのか把握しにくくなるというデメリットがあります。

 この点は「ノウハウの蓄積ができない」という3つ目のデメリットにもつながります。業務を丸ごと委託するため、クライアント側には業務ノウハウの蓄積が難しくなります。そのため、アウトソーサーとの解約時や緊急時に、自社のリソースで対応できなくなる可能性が高くなります。

BPO導入前に必要な事前準備

 BPOにはさまざまなメリットがある反面、デメリットも存在します。BPO導入にあたり、クライアントが事前準備をしっかり済ませておくことで、デメリットのリスクを下げることができます。

BPO導入前に検討するべきこと

 デメリットを回避するためにも、BPOを導入する前にはさまざまな事前準備が必要です。BPO導入にあたってクライアントがやるべき準備を順番に並べると「現状分析」「コア領域とノンコア領域の分割」「導入すべき業務」「導入の目的の意思統一」「最適なアウトソーサーの選別」です。それぞれの詳細について解説します。

まずは現状を分析する

 BPO導入にあたり、どの分野に導入すれば最もメリットが得られるのかを把握する必要があります。そのために、まずは自社の現在の業務状況を分析することから始めます。コア領域とノンコア領域の把握や、ルーティン化されている業務の分析のほか、ルーティン化されている業務の中でも可視化が必要な業務を分析し、現状を正しく把握しましょう。

 さらに、経営を圧迫している間接業務についての分析も重要です。現在の業務状況を正しく分析することで、どの分野におけるBPO化を進めるべきか、目標を見定めやすくなります

導入する領域を決める

 BPOはノンコア領域に導入してリソースを節約し、浮いたリソースをコア領域に集中させる目的で導入されることが一般的です。そのため、自社のノンコア領域とコア領域の見定めを明確にしておく必要があります。

 なお、BPOの対象となる代表的なノンコア領域には、「管部門理系」「システム部門系」のほか、「印刷・デザイン系」「物流系」などがあります。コア領域に含まれる「営業・マーケティング部門系」であっても、内在するノンコア領域にBPOが導入されるケースも多くあります。

導入する業務を決める

 BPOの導入に向いているのは、ノンコア領域の中でもルーティン化されている業務です。その理由は、ルーティンワークは高度な判断が不要なため、外部に委託しても問題が起こりにくいからです。

 たとえば管理系部門のうち、人事系のBPO対象業務には、勤怠管理、給与計算のほか、採用業務や、社会保険・労働保険手続きなどがあります。経理系ならば入出金の精算業務や記帳、月次試算表の作成など、知識があれば誰でも行える業務がBPO導入の対象になります。

導入する目的を決める

 BPOを導入する際には、目的やゴールを明確にすることが大切です。たとえば「該当業務のコスト〇〇%をカットする」など、具体的な数値や到達地点を決めておきます。目標やゴールを明確にしておくことで、アウトソーサーとの契約内容もより具体的になります。

 たとえば成果を評価する際に、「〇〇という条件を達成していない」「〇〇業務にまでBPOが及んでいない」など、クライアント側がアウトソーサーの業務内容を主体的に判断することが容易になります。

 目標を設定したら、関係各所で意識を一元化しておくことも大切です。とくに複数業務にまたがる業務プロセスを外部委託する場合は、関係各所で意思統一をしておくことで、アウトソーサーとの認識のすり合わせでのバラつきをなくすことができます。

アウトソーサーを決める

 BPO導入の領域と目的が決まったら、実際にBPOを依頼するアウトソーサーを選定します。BPOの業務範囲は多岐にわたり、BPO企業によってどの分野に特化しているか、どのような点を強みにしているかが異なります。自社の依頼したい内容に的確に応えられるアウトソーサーを選ぶことが大切です。

 自社に最適なアウトソーサーを選ぶ際に考えるべきポイントは、「コスト」「品質」「実績」「セキュリティ」「スピード」の5点があります。なにを重要視するのかは、企業によって異なります。たとえばなるべく早く結果を出したいなら、スピード重視のアウトソーサーがよいでしょう。

 信頼できるアウトソーサーを選定したい場合は、実績豊富な企業やセキュリティ対策が万全な企業が望ましいです。最適なアウトソーサーを選ぶためにも、クライアントはBPO導入の目的を具体的にしておくことが大切です。

アウトソーサーを決める際に注意する点

 コストは安いに越したことはりません。しかし低コストに執着するあまり、本来の目的を達成できなかったり、情報漏えいのリスクが高まったりするようなアウトソーサーを選ぶと本末転倒になります。アウトソーサーを選定するときには、「品質」についても検討する必要があります。

 低コストで高品質なアウトソーサーを選ぶポイントは、依頼分野に特化しているかどうかという点です。依頼内容が受託側の得意分野であれば、利用料金は自然と安く抑えられます。なお、コストと品質を比較する際には、セキュリティ対策の精度についてもしっかり検討しなければなりません。

最後にもう一度、導入後の期待効果を確認

 BPOを導入するからには、自社で業務をまわす以上の成果を出さなければ意味がありません。BPO導入によって到達したいゴールはどこなのかを具体化することで、どのアウトソーサーに何を依頼すべきなのかが明確になります。導入前に、BPO導入することで得られるメリットについて、契約前にいま一度検討してください。

BPOにおいて留意すべき事項

ノウハウの空洞化に対する対策

 BPO導入に伴うノウハウの空洞化は、アウトソーサーとの連携を緊密にすることで回避することが可能です。たとえばマニュアルや定期的な業務報告書の提出を求めることで、クライアントは業務の可視化が可能になります。

 もう1つ有効な手段として、転籍型BPOがあります。転籍型BPOとは、その業務に携わる組織や人員ごとアウトソーサーに委託する方法です。自社の従業員ごとアウトソーサーに委託することで、スキルやノウハウを実践的に自社に蓄積することが可能になります。

情報漏えいに対する対策

 情報漏えいのリスクに備えるには、「システム」と「人」の双方にアプローチしていくことが大切です。大前提として、自社が要求するセキュリティ対策を供えたアウトソーサーを選ばなければなりません。たとえば入退室の管理やメール制限、電話システムにおける通話記録など、どの程度のセキュリティを求めるのかを事前に明確化しておきましょう。

 見落としがちなのが、「人」に対するアプローチです。情報漏えいの要因には「管理ミス」「誤操作」「紛失・置忘れ」などの人為的なミスも含まれています。人為的な情報漏えいを防止するには、USBメモリなどの記録媒体の利用に制限を設けたり、各ユーザーの使用履歴を簡単に把握できるシステムを導入することが重要です。

 情報漏えいのリスクはクライアントにとって最も大きなデメリットの1つです。しかし、「システム」と「人」の双方からアプローチすることで、リスクを下げることが可能です。

メリットデメリットを理解してBPOを導入しよう

 労働人口の減少が進む現代において、BPO導入は労働力の確保と生産性の向上を図る有効な手段です。BPOサービスは多様化しており、今後も市場規模の拡大が予想されています。

BPOには「諸刃の剣」の側面もある

 BPO導入はノンコア領域の節約とコア領域の強化に大きなメリットがあります。一方で、ノウハウの空洞化や情報漏えいのリスクといったデメリットも存在する諸刃の剣です。しかし、デメリットは事前の準備を入念に行うことで回避が可能です。デメリットのためにBPOを敬遠するのではなく、リスクを下げる方法を検討することが求められます。

しっかり使えばBPOは有効なビジネスツールになる

 近年、BPO市場規模は爆発的に拡大しています。この背景には「需要がある」、つまり新しいビジネスモデルとして求められているということにほかありません。BPOを最大限に活用するには、導入の目的とゴールを明確化し、事前にリスク対策をしっかり行うことが大切です。

 あわせて、目標における達成度と図るために、定期的なKPIの見直しも必要です。BPOに対する自社の最適解を模索することを怠らなければ、BPOは、人手不足に悩む企業にとって有効なビジネスツールとなり得ます。

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