2021.2.16 (Tue)

1からはじめるビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)(第4回)

BPOのメリットや活用事例、注意点について解説

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 BPOとは「Business Process Outsourcing」の略で、従来からあるアウトソーシングから一歩進んだものとなっています。BPOは上手に活用すれば企業に多大なメリットを与えるものですが、デメリットがまったくないわけではありません。BPOを上手に活用するためには、そのビジネスモデルを良く理解すること、デメリットと解消法を理解することが必要です。本ページではBPOのメリットをはじめ、ビジネスモデル、デメリットとその解消法について解説していきます。

BPOの概要

 ビジネスを進める上でBPOという言葉を見聞きすることがあると思いますが、従来からある外部への業務委託と何が違うのか、わかりにくいと感じている方もいるのではないでしょうか。まずはBPOという用語の意義について解説します。

BPOとは

 BPOとは「Business process Outsourcing」の略であり、その名の通り業務委託の一種です。ただし、従来のアウトソーシングとは異なる点があります。それは「上流工程から他社にアウトソーシングする」という点です。

 通常のアウトソーシングの場合は業務部分については他社に委託しますが、業務設計やトラブル対応、分析といったプロセスは自社で行います。一方でBPOの場合、業務に付随するこのようなプロセスまで一括してアウトソーシングします。いわば、自社部門をアウトソーシング先の企業に置くようなもので、従来のアウトソーシングとBPOでは、アウトソーシングの対応範囲が大きく異なります。

BPOのメリット

 BPOには次のようなメリットがあります。

・業務コストや時間の削減
・顧客満足度の向上
・収益の向上

 業務プロセスの中には、作業内容が固定されているものも多数あります。「定型化されているため誰でもできる業務」という言い方もできます。こういった業務を自社で全て対応しようとすると、その分時間がかかりますし、工数が多いほど負担も大きくなります。BPOを取り入れれば、こうした定型的で、かつ時間がとられる業務を委託できます。BPOによって、無駄なコストの削減と業務効率化が達成できるのです。

 また、自社の弱みであるプロセスや任せたい分野があれば、それらを得意とするBPO業者に委託することで、よりクオリティの高い成果物を得られる可能性があります。クオリティが上がれば、それだけ顧客満足度の向上も期待できるでしょう。すなわち、BPOは顧客満足度向上の効果もあります。

 さらに、BPOを進めて自社で行う業務工数が減ることで、最も収益性の高いコア業務に注力できるようになります。それにより、収益の向上が期待できます。

BPOのデメリット

 とても便利に見えるBPOですが、メリットだけではありません。デメリットについて紹介します。

 まず、情報漏えいのリスクが挙げられます。BPOを行う業務がコア業務に近いほど、企業が所持している機密情報との接点も増える傾向にあります。個人情報を取り扱う業務であれば、個人情報が漏えいするリスクもあります。

 BPOを任せる企業を選ぶ際は、その企業のセキュリティ対策を念入りに確認するべきです。付与する権限やアクセス範囲についても注意する必要があります。

 BPOが持つ問題点として、ノウハウの空洞化が挙げられます。業務プロセスを一括して委託すると、全ての対応をBPO企業がおこないます。そこで得たノウハウを自社に共有してもらわないと、自社内で同じ対応ができなくなる恐れがあります。ノウハウの空洞化を防ぐためには、BPO企業との連携を綿密に行うべきです。

BPOにはどんなビジネスモデルがある?

 一口にBPOといっても、ビジネスモデルはさまざまです。どのようなモデルがあるか解説します。

さまざまなモデル

 BPOのビジネスモデルは大きく分けて「委託開発型」「労働集約型」の2つに分類されます

 委託開発型とは、システムやソフトウエアの開発業務を外部に委託するモデルです。労働集約型とは、人手のかかる業務プロセスを外部に委託するモデルを言います。得意とするモデルや対応できるモデルは企業によって異なりますので、事前の確認が必要です。

アウトソーサーから見たBPOビジネス

 BPOを受託するアウトソーサーが利益源泉をどのように確保しているかを確認しましょう。利益源泉の確保手段として、「技術や経験の差」「安価な労働力」「規模の経済性獲得」があります。

 技術や経験の差を期待してアウトソーシングする場合、料金を支払う価値があるかどうかを吟味する必要があります。安価な労働力を求めるのであれば、人件費を抑えるノウハウを持っているかを確認しましょう。規模の経済性とは、規模が大きくなるにつれてコスト割合が減るという状態です。少量の業務をアウトソーシングするより、ある程度まとまった業務量をアウトソーシングしたほうが全体に対する費用を抑えることができる場合があります。

 委託する企業は上記点を意識してアウトソーシングすることになります。受託する側は自社の強みがどこにあるのかを明確にしておくとよいでしょう

実際のBPO活用事例とは?

 BPOの意義や内容について紹介しました。続いては、実際の活用事例を解説します。

プロジェクトでBPOを活用する場合

 ここでは、大手企業の営業プロジェクトにおけるBPO活用事例として、エーザイの例を紹介します。

 大手製薬メーカーのエーザイは、臨床データ管理業務のグローバル標準化プロジェクトにあたり、アクセンチュアをパートナーとしてBPOを活用しました。最初は臨床データ管理業務のみの委託でしたが、その後電子的臨床情報収集システム業務もBPO対象となりました。

 アクセンチュアは当該分野において実績があったため、そのノウハウを生かした業務を遂行しました。このBPOにより、世界各地域に分散していた業務が集約され、データ収集およびデータ報告の効率化と迅速化が達成されたのです。

プロジェクトでBPOを活用する際の注意点

 プロジェクトでBPOを活用する際の注意点として、先述したノウハウの空洞化があります。実際にプロジェクトを進行させるのは外部であるため、自社プロジェクトであるにも関わらず自社にそのノウハウがないという状態が発生する可能性があるのです。

 ですが、綿密な連携によりノウハウを共有すれば暗黙知の解消ができます。アウトソーシングしたい業務に関わっている自社社員をBPO企業に一時的に転籍させる「転籍型BPO」を活用すれば、自社社員にもノウハウが伝わります。ノウハウの空洞化には注意する必要がありますが、解消方法はゼロではありません。

人事部門でBPOを活用する場合

 人事部門のBPO活用事例は、現在のところあまり多くありません。理由として、給与計算や勤怠管理といった業務は自社で行うほうがコストが低いということや、人事に関するシステムの移行コストが大きいことが挙げられます。

 ですが、人事部門においてBPOを活用したいという企業は少なくありません。実現はしていないけれど需要そのものは高いという状態です。労働集約型BPOは人件費がかかるため難しいかもしれませんが、システムとしてのBPOであればコストの問題さえ解決できれば実現不可能ではありません。

 まだまだ課題はあるものの、これからどんどん活用事例が増えてくると思われる分野です。

人事部門でBPOを活用する際の注意点

 人事部門におけるBPO活用のデメリットとして、情報漏えいリスクがあります。個人情報を多く扱うため、セキュリティ面はかなり重要です。

 ただし、こちらもシステム管理さえできていれば解消可能です。アクセス権限の限定や高度なセキュリティシステムの設置などをおこない情報を守ることで、漏えいリスクは低くなります。

 情報漏えいを防ぐための注意が必要ではありますが、不可能な分野ではありません。

経理部門でBPOを活用する場合

 経理部門はBPOが特に普及している分野です。伝票の入力や請求の支払いなど、ノンコア業務でありながら必要不可欠であり、なおかつ企業ごとの差が少ない業務であることが理由として挙げられます。

 経理代行を行う専門企業や会計事務所などはすでに確立しており、事例も多くあります。これらを活用することで、コア業務へ集中や余計なコストの削減が期待できます。

経理部門でBPOを活用する際の注意点

 経理部門におけるBPO活用のデメリットとして、情報漏えいのリスクがあります。お金の動きはノンコア業務ですが企業の根幹に関わる部分であるため、機密度の高い情報が多くなっています。

 情報漏えいは意図的なものではなく、大半は管理ミスや資料の置き忘れといった人的ミスです。ほかにもシステムのセキュリティが甘いと、情報漏えいにつながります。パソコンごとの管理や操作履歴のチェック、万全なセキュリティ対策などを行うことで、ミスを犯す確率は下がります

 経理部門においてBPOを進める際には注意が必要ではありますが、リスクを下げる方法はゼロではありません。

デメリットに注意しつつ、BPOを上手に活用

 BPOには情報漏えいリスクなどのデメリットはありますが、対策さえ取れていればデメリットの解消は可能です。デメリットがあるからといってBPOの活用をまったく検討しないのはもったいないと言えます。

 業務コストが削減できるのは大きなメリットです。コア業務から遠いが対応しなければならない業務を外部に委託することで、収益につながりにくい業務から解放されます。それにより、コア業務に集中できるようになるため、業務効率化が達成できるのです。

 さらに不得意分野を専門家の属する外部に委託することで、全体的な業務のレベルが上がります。結果として、顧客満足度の向上や収益の向上も期待できるのです。

 自社をより成長させるためにも、ノンコア業務についてBPOの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

メルマガ登録


「人材不足」を働き方改革で乗り越える


教育機関向け特集


自治体向け特集


イベント・セミナー情報


ICTコンサルティングセンタ

ページトップへ

close