2021.2.16 (Tue)

1からはじめるビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)(第3回)

BPOビジネスにおける今後の業界動向について

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 近年は人手不足により、BPOを有効活用していく意識が高まっています。経営者はBPOを活用することにより、経営資源のコア業務への集中投資、コスト削減、業務の効率化、外部の専門スキルやノウハウの活用など生産性・付加価値の向上が期待できます。一方で、ノウハウが社内に蓄積されにくい、内製化するのが困難、情報漏えいなどのセキュリティリスクなど懸念点が存在するのも事実です。BPOビジネスの今後の業界動向や将来性などを、本記事では解説していきます。

BPOの将来性

 BPOの活用は年々注目度を高めています。BPOの成長傾向や将来性について解説します。

BPO市場規模は年々増加している

 矢野経済研究所が2020年に実施した調査によると、BPOの市場規模は年間平均で3.5%も上昇しており、売上高は2019年に4兆3,491億5,000万円に到達しています。

 成長背景には年々注目度を増している働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進のため、業務を専門性の高いBPO事業者に委託することによる、業務効率化や業務改革を図る狙いがあります。

IT系BPOと非IT系BPOの違い

 続いてBPOの将来性について、一段深掘りして解説します。BPOには大きく分けて「IT系」と「非IT系」のBPOに分類されます。「IT系BPO」は文字通りITに関わる業務を委託することで、社内システムの運用やヘルプデスクの委託などが該当します。対して「非IT系BPO」は、IT系以外の全ての業務を対象としており、経理、経理、人事などが該当します。

IT系BPOと非IT系BPOの今後の動向

 「IT系BPO」と「非IT系BPO」の需要や売上高はともに増加傾向にありますが、「IT系」と「非IT系」で増加率に差が出てくることが予想されています。今後は「IT系BPO」の方がより増加率が高くなるでしょう

 理由としては、システムが扱うデータ量の増加に伴い、サーバーの運用にかかるコストや難易度が増していることから、データセンターを保有しているような専門性の高いBPOに委託する企業が増えているためです。一方「非IT系BPO」はIT系と比較すると専門性が高くない業務が多いため、自社で内製化したり、単価が伸び悩んだりすると予想されています。

BPOを利用した際のメリットとデメリット

 実際にBPO事業者への委託を考える場合は、デメリットも把握した上で活用する必要があります。以下ではBPOを活用するメリットとデメリットを解説します。

BPOを利用するメリット

 BPOを活用するメリットは「経営資源のコア業務への集中投資」「コスト削減」「業務効率化」「外部の専門スキルやノウハウの活用」が挙げられます。BPO事業者に業務を委託することにより、競争分野に人員を割くことができ、さらに内製化するよりもコストを抑える可能性があります。

 さらに単なるアウトソーシングとは異なり、BPOは業務の全プロセスを専門家集団に一括で委託するため、内製化するよりも業務を効率化できることや、BPO事業者が保有するスキルやノウハウを活用して業務課題の解消や改善を図ることもできます。

BPOを利用した際のデメリット

 一方デメリットとしては「ノウハウが蓄積されにくい」「内製化するのが困難」「情報漏えいなどのリスク」が挙げられます。業務の全プロセスを委託することにより、対象業務のノウハウが自社に蓄積せず、ノウハウが蓄積しないことにより内製化することも困難となります。

 情報漏えいは、外部に業務を委託する際にはついて回るリスクであるため、制約事項を設けることや契約時にセキュリティに関わる誓約を取り交わすことで、できるだけリスクを避ける必要があります。

BPOにおけるAI活用とは

 近年AIが注目を浴びてきていますが、実はBPOの領域にもAIは活用できます。以下ではBPOに活用されているAIに関して紹介し、得られるメリットを解説します。

AI-OCRやRPAを利用する

 BPOに活用できるAIとして特徴的なものが「AI-OCR」と「RPA」です。「AI-OCR」とは「AI-Optical Character Reader」の略でAIを活用して「データのテキスト部分をAIで認識し、文字データに変換する光学文字認識機能」のことをいいます。AIを活用することで単に文字を読み取るだけではなく、読み取るたびに学習していくため、継続的な精度向上が期待できます。

 「RPA」は「Robotic Process Automation」の略で、日常業務で発生するさまざまな事務作業を自動化する技術です。例としては大量の手入力でのデータ入力を自動化したり、コールセンター業務をチャットボットで代替したりすることなどが挙げられます。

AIを活用するBPOのメリット

 BPOにAIを活用するメリットとしては、「処理精度の向上」「処理効率化」「人材リスクの低減」が挙げられます。前述した通り、AIは業務を行うたびに学習し続けるため、処理精度は人が行うよりも高精度となります。さらに人手を介さないことで情報漏えいのリスクを低減させることができます。

BPOを利用する際の課題

 日本国内でBPOの注目度は年々増加していますが、終身雇用が主流であることからアメリカなどの海外と比較すると、日本でのBPO導入にはまだ課題も多く存在しています。以下では日本におけるBPOの課題3点について解説します。

BPOの戦略的利用

 1点目は、日本企業のBPOに対する戦略的利用への意識の低さです。BPOは単なるアウトソーシングとは異なり、業務プロセスを一括して外部に委託するため、ノウハウのない領域に対しても柔軟に事業拡大することができ、その分コア事業に社内人材を投入することもできます。

 しかし日本企業はアメリカのような海外と比較するとBPOを戦略的に活用するという意識は低く、コスト削減や業務効率化を目的としたBPOの活用が多いです。

人材の処遇に関する困難

 課題の2点目は、BPOを活用する業務領域の人材処遇に困難が生じることです。日本企業の多くは終身雇用制度を採用していることや、法律上解雇が制限されていることからBPO導入によって処遇に困る従業員の発生を避けたく、結果としてBPOの活用に至らないことが多いというのが現状となっています。

BPO事業者に関する情報の不足

 課題の3点目は、日本におけるBPOの活用が海外と比べて発展途上であることから、BPO事業者の「サービスレベル」に関する客観的指標や「情報漏えい」などのリスクに対する評価を収集することが難しく、結果としてBPO活用に踏み出せない企業が多く存在します。

 しかしアメリカではBPO事業者に関する情報共有を行うコミュニティが存在することから、今後日本でもBPOが普及すればBPO事業者に関するコミュニティが発足し、情報を得やすい環境が整う可能性は高いです。

今後も成長を続けるBPO市場

 日本ではまだ多くの課題が存在するBPOですが、今後BPO市場は成長することが予想され、BPOの普及に伴って導入しやすい環境は整っていくでしょう

 さらに中小企業を対象として、クラウドを活用したBPO事業者も台頭してきていることから、各企業のニーズに沿ったBPO事業者を選定することでBPOを最大限活用することが可能となります

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