スマートシティ技術の“いま”(第3回)

暮らしがまるごと進化する「スーパーシティ」今夏誕生

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 2020年9月、ICTなどの技術を活用した未来都市「スーパーシティ」構想を実現するための「改正国家戦略特区法」が施行されました。自動運転やキャッシュレス決済、遠隔医療などを取り入れた街づくりは、現在日本が抱えている少子高齢化や人手不足といった課題解決につながると期待されています。ここでは、スーパーシティの概要や構想の背景、計画されている取り組みなどを紹介します。

2030年を先取りする「まるごと未来都市」

 AIやビッグデータなどの技術を活用した、社会課題を解決するための都市設計の動きが国際的にも盛んになっており、街づくりへの投資や開発競争が世界各地で起こっています。日本でもこれまで、ICT技術によって都市や地域の課題解決をめざす「スマートシティ」構築の取り組みが推進されてきました。この延長線上にあるのが「スーパーシティ」の取り組みです。では、スマートシティとスーパーシティには、どのような違いがあるのでしょうか。

 2019年2月に発表された「『スーパーシティ』構想の実現に向けた有識者懇談会の最終報告書 」によると、これまでのスマートシティに関する取り組みは、「エネルギー・交通などの個別分野での取組、個別の最先端技術の実証などにとどまっていた」と記述されています。

 対してスーパーシティは、スマートシティをさらに進化させた「まるごと未来都市」をめざした取り組みです。具体的には、「移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防災、防犯・安全など生活全般を幅広くカバーする」「最先端技術の実証を一時的なもので終わらせず、2030年頃の未来社会を先行して実現させる」「技術開発側・供給側の目線でなく、住民目線で取り組む」の3要素を合わせ持ったものと定義されています。

 スーパーシティが実現すれば、例えば医療分野では過疎化が進む地域でも遠隔医療が受けられるようになったり、IoTやデータ分析によって、農業やものづくり産業などを持続的に発展させることができたりと、さまざまなトランスフォーメンションが想定されます。ほかにも人手不足解消や地方活性化、ひいては少子高齢化社会や環境問題への柔軟な対応につながるものとして、スーパーシティは期待されているのです。

全国から31件の「スーパーシティ」に関する提案が集まる

 国を挙げて推進されているスーパーシティ構想は現在、迅速かつ柔軟にプロジェクトを進めていくための土台づくりが行われています。そのひとつが2020年5月に可決された「改正国家戦略特区法」、通称「スーパーシティ法案」と呼ばれるものです。

 内閣府によると、スーパーシティ法案には大きく2つの役割があり、ひとつは複数分野の規制改革を一括して進めるための手続きを設定すること、もうひとつはデータ連携基盤を整備する事業者が、国や自治体が保有するデータの提供を要求できるようにすること、とされています。

 法案の可決に伴い、内閣府では2020年末から翌年4月にかけて「スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募」を実施しました。全国の自治体から集まった31件の提案からピックアップした2つを紹介します。

 会津若松市は、2011年から「スマートシティ会津若松」を推進し、地域活性化を図りながらよりよい暮らしができる街づくりを行ってきました。今回の公募で提案したのは、これまでの取り組みをさらに発展・深化させたスーパーシティ構想です。例えば2019年4月に開所した、地域の雇用創出を目的とするICTオフィス「スマートシティAiCT」では、2021年4月時点で首都圏や地域のICT関連企業が31社入居しており、企業間のイノベーションが期待されています。今後、AiCTに入居している企業と連携してスーパーシティを推進していく予定です。スマートシティでの成果を強みに、デジタル×地域活性化を実現させ、他の地域にも展開可能な地域DXモデルの構築をめざします。

 和歌山県とすさみ町は共同で、「南紀熊野スーパーシティ構想」を提案しました。すさみ町は、人口約3800人の町で毎年人口が約100人減少している、高齢化率47パーセントを超える「消滅可能性都市」です。その一方で、吉野熊野国立公園、南紀熊野ジオパーク、世界遺産熊野古道などの豊富な観光資源を持つ町でもあります。スーパーシティのコンセプトは「テクノロジー×人×自然×文化『未来観光の町』」。具体的には、宿泊所や食事所など町の情報を一目で確認できるサービスの提供、自動運転の観光バスや超小型モビリティといったシームレスで自由な交通網の確立などをめざしています。さらに、ワーケーションや長期滞在など、新しい働き方を推進するための環境整備も行われる予定です。

 今後日本政府は、2021年の夏を目途に実施する自治体を選定する予定となっています。日本が抱える課題の解決、地方の活性化につながる「未来都市」は、私たちの暮らしをどのように変えていくのでしょうか。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

「ビジネスの最適解」をお届けします 無料ダウンロード資料


メルマガ登録


「人材不足」を働き方改革で乗り越える


教育機関向け特集


自治体向け特集


イベント・セミナー情報


ICTコンサルティングセンタ

ページトップへ

close