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2021.09.14 (Tue)

自治体ならではのICT活用(第4回)

福島県磐梯町、神奈川県がDX化で設置したCDOとは?

 組織のDX化を推進する役職として、民間企業を中心に設置されてきたCDO(チーフ・デジタル・オフィサー/最高デジタル責任者)。2019年に福島県磐梯町で日本初の自治体CDOが任命されたのをきっかけに、自治体CDOの認知度、関心が高まってきました。なぜ自治体にCDOが設置されるようになったのか。CDO設置の背景やメリット、実際に自治体CDOがどのような働きをしているかなどをまとめます。

「住民のためのDX」を推進するため、自治体CDOが必要とされている

 日本中でDXが進む昨今、注目を集めているのが、自治体CDOという役職です。CDOとは、組織のDX化を推進する統括責任者のこと。これまではおもに民間企業で、DXに関する方針を決定し浸透を図ったり、指揮命令を出すなどして、組織の変革を牽引する役割を担ってきました。

 自治体CDOも民間企業と同じように、「組織のDX化を推進する統括責任者」という職責を背負っています。ただし、民間企業とは異なり、例えば、少子高齢化や人口減少、医療資源の不足、介護人材の確保、デジタル人材の育成など、多岐に渡る地域課題と向き合わなければなりません。加えて、市民生活の向上や組織運営の高度化なども進めなければならず、いわゆるGovTech(ガブテック/行政のデジタル化のこと)を意識した、包括的視点が必要不可欠であると言われています。

 自治体のDXは、ペーパーレス化やRPAの導入など、業務効率化やコスト削減を目的にした施策が中心となっていました。ところが、コロナ禍によって一気に世の中のデジタルシフトが進み、ICT化に関する対応の遅れなど自治体が抱えていた課題が表面化するようになり、「このままではいけない」「住民のための、本質的かつ包括的なDXに踏み込む必要があるのではないか」という機運が高まりました。こうした背景もあって、前述のようなGovTech的視点を有する自治体CDOの設置が、各自治体で意識されているのです。

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福島県磐梯町と神奈川県が自治体CDOを設置

 では、どのような自治体が、どんな目的で自治体CDOを設置しているのでしょうか。実際に自治体CDOを設置しDXに関する取り組みを進めている自治体の事例を見ていきましょう。

 福島県磐梯町は、2019年、日本で初めて自治体CDOを設置し、DX化を推し進める取り組みを始めました。CDOに任命されたのは、行政や福祉などに関する専門的知見とテクノロジーを掛け合わせ「行政のデジタル化」と「社会のスマート化」に関するソーシャルアクションを行う一般社団法人の代表理事。磐梯町の佐藤淳一町長は自治体CDOの設置について、プレスリリースで「住民本位のデジタル変革を推進し、日本政府が提唱するSociety5.0といったデジタル変革のビジョンを実践するため」のものだと語っています。磐梯町の自治体CDOが2021年5月までに実施した施策は、「新たに設置されたデジタル変革戦略室を、磐梯町の職員と民間企業の人材で構成されたハイブリッド型の体制に刷新」「総合計画を再策定する過程で、『共生社会とデジタル変革』という項目を付加」「理想の街の在り方を実現するための枠組みや技術の検討」「オンライン審議会の実現」「審議会のYouTube配信」など、枚挙にいとまがありません。デジタルマーケティングを導入し、ふるさと納税の金額を従来の約20倍に押し上げたという実績も残し、現在もCDOとして、同町のDX化を伸展させています。

 同じく2019年に、神奈川県も、県副知事を自治体CDOに任命しています。2020年8月には、無料メッセンジャーアプリを提供する大手テクノロジー系企業の執行役員をCIO兼CDOに任命。神奈川県ではこれまでにも、無料メッセンジャーアプリを活用して「自動車税の納税」「児童虐待相談」「新型コロナ対策パーソナルサポート」「コロナお知らせシステム」などさまざまなサービスを展開しており、「くらしと行政のデジタル化」をスピードアップさせる狙いで、外部の専門家を招き入れたと言います。現在、同CDOは「神奈川版デジタル庁」と言われるデジタル戦略本部室の指揮を担当。県下の各市に出向いてヒアリングを行ったり、ICT人材の教育プログラムに出席したりと積極的に県民と関わりながら、データ利活用の推進やオープンデータの拡充、情報銀行アプリの開発などを行っています。

 いずれの事例も、自治体の事情をよく知る外部の専門家に業務を委嘱しているところがポイントです。自治体ならではの視点と民間ならではの知見、これらを掛け合わせてDX化に導く人材を招き入れることが、今後、自治体CDOの設置やDXを成功させるための鍵になると言えるでしょう。

自治体DXに特化した情報サイトも

 2021年7月に、自治体DXに特化したウェブサイト「自治体DX白書」がオープンしました。自治体DXに必要な知識やノウハウ、トレンドなどの情報が掲載されているほか、自分が所属する自治体のDX度合いがわかる「自治体DX診断」や、各都道府県のDXに関する進捗状況を評価してレーダーチャート化した「都道府県別レーダーチャート」などのコンテンツも公開されています。

 専門サイトが開設されたことからも垣間見えるように、自治体DXは、今後ますます関心が高まると見込まれる領域です。自治体CDOには、盛り上がりを見せる自治体DXを大きく加速させる起爆剤としての役割も期待されています。

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自治体DXの推進には、先行している自治体の事例が参考になります。ここでご紹介するのは、自治体のDX事例資料をおまとめしたセットです。何を導入し、業務がどの程度効率化できたのか、ぜひご自分の目で確かめてみてください。

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