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2019.08.22 (Thu)

教育ICTの選び方(第2回)

働き方改革に必須。校務支援システムの選び方

posted by 高橋 秀典

 校務には、成績処理や、通知表作成、時間割の作成のほか、転出入など学籍関連事務、指導要録の作成・管理、出欠管理、各種報告書作成、各種お便り作成など、数多くの業務があります。各種の文書はそれぞれ最短1年から永年の保管義務期間が設定されていて、作成後も管理作業が続きます。

 さらに校務には、日々の点検作業や見回り業務なども含まれます。授業の準備なども相まって、日本では多くの教員が長時間勤務の渦中にいます。今まさに教育現場の働き方改革が喫緊の課題になっているのです。

年間116.9時間の業務軽減効果も

 2017年8月に中央教育審議会初等中等教育分科会の特別部会がまとめた「学校における働き方改革に係る緊急提言」では、「統合型校務支援システムの導入」による勤務時間の低減が提示されています。

 一方、2020年度から全面的に実施される新学習指導要領では、従来の指導内容を維持した上で、英語教育の強化やプログラミング学習などが新たに追加され、アクティブラーニングの視点に立った学習過程の改善などが盛り込まれています。教員に求められる校務はさらに増大しています。

 こうした相反する課題の解決に欠かせないのが教育のICT化です。文部科学省の「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」では、学習者用や指導者用のコンピュータ、教室設置用の大型提示装置といった学習指導目的の環境整備と並んで、統合型校務支援システム整備率100%が目標水準の1つとして挙げられています。

 統合型校務支援システムの導入効果はいくつかの事例からも明らかです。例えば「小・中学校における北海道公立学校校務支援システムについて」では、統合型校務支援システムの導入による業務軽減時間は、学級担任1人当たり平均で年間116.9時間の導入効果が得られたと報告されています。

 教員が資料を作成する際には、出席簿、調査書、指導要録、成績カルテなど、児童生徒に関するあらゆる情報を活用する必要があります。こうした個々人にひも付くすべての情報を、統合型校務支援システムによって一元化し連携すれば、校務を効率化し、教職員の働き方改革につながります。

システム環境の重要性

 統合型校務支援システムの特徴は大きく2つ挙げられます。「取り扱う情報の多くが児童生徒の機微情報を含む個人情報であること」「システムの利用が期末の繁忙期に集中すること」です。この2つにどう対応すればよいのでしょうか。

 文部科学省は、さまざまなガイドラインでセキュリティとバックアップ体制について、物理的なシステム整備の指針を示しています。これらのガイドラインを参考に考えていきましょう。

 統合型校務支援システムのシステム環境としては、「クラウドによるサービス利用型」「データセンター設置型」「庁舎設置型」「学校サーバー型」などがあります。お勧めしたいのはクラウドによるサービス利用型です。

 まず導入するに当たり、データセンター設置型と庁舎設置型、学校サーバー型のケースでは、統合型校務支援システム環境をすべて自治体側で準備をしなければいけません。サーバーを設置する環境が、セキュリティ対策に優れているのか、災害対策も十分なのかなど、検討しなければいけない項目が多くあります。また、万一の時の駆け付けや、事務連絡も自分たちで行わなければなりません。

<検討項目の例>
・システムを安全に利用するためのセキュリティ対策
・有事の際のデータバックアップ対策
・繁忙期のアクセス集中に耐え得る構成の検討
・保守運用の側面  など

 また、これらの環境をより良い環境で実現しようとすると相当のコストが発生することも、統合型校務支援システムの整備を進められない要因の1つに挙げられます。そして、構築後の保守作業においては、データセンター設置型では、保守業者の作業に合わせて入館手続きを行う必要があり、庁舎設置型・学校サーバー型では、保守業者の作業に合わせて現場に立ち合う必要があります。

 一方、クラウドによるサービス利用型は、導入に当たり、データセンターを中心としたファシリティ環境やシステムのセキュリティ対策、データバックアップ対策、繁忙期のアクセス集中対策、保守運用体制などが、1つのクラウドサービスの中で提供されます。自治体ごとのデータを個別に管理した上で、共有できる部分を共用利用することで、コストメリットを享受しつつ、より良い環境でシステム運用できる点がクラウドによるサービス利用型の最大のメリットです。また、保守作業をサービス提供事業者が基本サービスとして実施するので、入館手続きや現場への立ち合いなどの煩雑な対応は発生しません。

 クラウドによるサービス利用型については、インターネットを経由するケースでは、信頼性に不安が残るところです。しかし、インターネット経由で接続する場合もあることから、個人情報を扱う機能を有する場合は、VPN接続などネットワーク経由のセキュリティ向上が望ましいとされています。

 また、2016年に総務省から発行された「教育ICTの新しいスタイル クラウド導入ガイドブック2016」では、個人情報を取り扱うシステムの運用にクラウドシステムが推奨されています。さらに、2019年6月末に文部科学省から公表された「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」でも、クラウド活用の積極的な推進が挙げられています。

実績のあるシステムを強固なクラウド基盤で使う

 校務システムのクラウド型サービスには、NTT東日本の「Bizひかりクラウド おまかせ校務」(以下、おまかせ校務)があり、国内で豊富な実績を持つEDUCOM社の「EDUCOMマネージャーC4th」と、NTT東日本の強固なクラウド基盤とのコラボレーションで提供されているサービスです。

 まず情報セキュリティ面です。「おまかせ校務」のクラウド環境は有人監視で、VPN(仮想閉域網)による通信回線の不正アクセス防止、不正通信の遮断、サーバーの不正アクセス対策、不正監視・追跡といった基盤のセキュリティ対策も安心です。24時間365日の故障受け付けなどのサポート体制を整えることで、教育委員会・学校は安心して「おまかせ校務」を利用できます。

 また、ICTの導入を進めるに当たり、運用や費用面を考慮した段階的な導入を可能にする柔軟性も重要です。「おまかせ校務」では、連絡掲示板、書庫、施設備品、週案、個人カルテなど、利用したい機能がパッケージされたメニューが用意され、特に必要な機能は個別で選択可能です。機能の追加、廃止も柔軟に対応できます。

 そして、期末に利用が集中しがちな校務では、強固なネットワークも欠かせません。ネットワーク環境が弱いと、校務支援システムとの接続に遅延などの影響が生じますが、NTT東日本なら、それぞれの環境に合ったコンサルティング・提案から構築、運用・保守をワンストップでサポート可能です。

 よりよい教育環境づくりのために、セキュリティ、機能、ネットワークに優れた統合型校務支援システムを選びましょう。

高橋 秀典

高橋 秀典

早稲田大学第一文学部卒業と同時にリクルートに入社。広報室社外広報担当、日本初のソフトウェア情報誌「月刊パッケージソフト」編集長などを務めた後、独立。IT業界に特化した出版・イベント・広告会社を約10年間経営し、現在は経営とITをメインに、ライターとして活動している。

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