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2017.05.08 (Mon)

どんな効果があるのか?ユニークな新人研修(第2回)

新人は不測の事態をどう切り抜く?ヒッチハイク研修

posted by 風間 梢

 財布とスマートフォンを持たずに50~100km先の目的地にたどり着く――。臨機応変な対応力とコミュニケーション能力が高まりそうな研修を行っている会社が、イカイです。

 静岡県沼津市に本社を置くイカイは、日本一の請負会社を標榜する企業で、製造請負および製造派遣などで事業を展開しています。さまざまな業種に即戦力となる人材を派遣しており、常に多種多様な依頼があるそうです。当然、社員には臨機応変な対応力が求められます。

 今回は、同社が新入社員向けに行っている、不測の事態への対応力を培う「ミッション型」の研修を紹介します。

不測の事態をどう切り抜ける?試される「即応力」

 イカイの社員が派遣される業種は多種多様です。主にものづくりの現場ですが、生産の実務から管理まで、さまざまな業務を担当します。そのため、初めて行く現場や初めて出会う人々ともスムーズになじまなければならず、対応力とコミュニケーション能力が必須となります。

 そんな対応力とコミュニケーション能力を身に付けるために、同社が行っているのが「ヒッチハイク研修」です。

 新入社員は、財布とスマートフォンを研修担当者に預け、2人1組で50~100kmもの距離を移動します。必然的にヒッチハイクすることになります(場所や距離は年度によってさまざま)。お金も連絡手段もない状態で、見知らぬ人に何とか頼みこんで車に乗せてもらい、本社や研修会場といった目的地をめざすのです。

 入社早々に極限状態に追い込まれて、助けもなく、自力で全てを解決しなくてはならないというのは、くじけてしまいそうな厳しい試練です。しかし、初見の現場でもすぐに適応力が求められるイカイの業務に慣れるために、こうした研修が開発されました。成功体験を得てもらうのが最大の目的だといいます。参加者からは「少々のことではへこたれない自信が付いた」といった感想が寄せられているそうです。

“スパルタ研修”には相応の見返りを

 苛烈な研修を課すイカイは、その見返りに、やる気を見せて成果を上げた人材には、ふさわしい地位や権限を与えています。20代で営業所長に登用された例や、30代前半で専務取締役に抜てきされた例もあり、そういった結果を目の当たりにすれば、いきなり厳しい研修に送り込まれた新入社員も、意義を見いだせることでしょう。単に厳しいだけでは、新入社員は企業に対し不信感を持つかもしれません。

 このように外部の協力を得て行う研修では、多方面への配慮も必須となります。同社のヒッチハイク研修が2012年にNHKの番組で取り上げられた際には、「参加者の安全をどう確保するのか」「事故の防止策はどうするのか」「車に乗せてくれた協力者にどう報いるのか」といった疑問の声も上がりました。企業のコンプライアンスがより重視されるようになっている昨今、社外の人も巻き込んだ研修を実施する場合には、十分な対策を練る必要があります。

 支社を構えている企業の場合は、無理に社外の人を巻き込むことなく、社内だけでミッション型の研修を行うこともできそうです。

 例えば「時間制限のある中で、東京本社から山梨支社に行き、支社長に書類を届けさせる」という研修であれば、新入社員が営業や外回りの訓練を積むことができ、受付から支社のトップに面会するまでの手順を踏むことで、社会人としての礼儀や事務手続きを学ぶことができるでしょう。

 さらに、応対した社員が様子を報告することで、新入社員の素の人間性や、今後の育成方針のチェックもできそうです。

「ミッション型研修」で苦境を切り抜ける力を育む

 企業はさまざまなタイミング、手段を用いて、新入社員に自社への愛着と仕事への意欲を育む働きかけを行います。その結果、長く会社を支える存在へと育っていきます。

 近年は、少子化や企業間の採用競争によって、優れた人材を確保することがより困難となっています。採用した貴重な人材の意欲を高めながら、どう戦力として育てていくのか。今回紹介したヒッチハイク研修のように、自らのアイデアで苦境を切り抜けていく「ミッション型」の研修が、その助けになるかもしれません。

風間 梢

風間 梢

フリーライター。企画、人事、ECサイト運営等を担当したのちに独立。現在は就職、流通、IT、観光関連のコラムやニュース等を執筆している。

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