2016.11.4 (Fri)

デキる上司になるための「仕事の流儀」(第1回)

世界基準の会社に成長するためポイントは「上司」

posted by 峯 英一郎/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

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 日本政府観光局(JNTO)の調べによると、2015年に日本を訪れた外国人は1974万人で、前年から47.1%増加した。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定も大筋合意に至るなど、グローバル化は、一層加速している。海外に進出する企業は元より、国内で事業する企業にとっても、グローバル化への対応は、避けて通ることができない。

 しかし、日本に「世界基準」に即したビジネス土壌が育っているかというと、むしろ後進国的状況である、と指摘する本がある。世界的コンサル会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で働き、世界とビジネスで渡り合った経験を持つ赤羽雄二氏の著書『世界基準の上司』(中経出版刊)である。

 本書では、日本から世界基準に達する企業が出てこない理由に、「上司」の存在があると主張している。その理由は何なのか? どうすれば「世界基準の上司」になれるのだろうか?

日本はなぜGDPが高いのに世界基準の企業が少ないのか

 日本はGDPで見れば世界第3位(2015年)の経済大国であるものの、本書では日本には「世界基準」の土壌が育っていないと指摘する。その要因のひとつに、もともと日本の大手企業の多くがグローバルに活躍していない、という根本的な背景がある。

 日経新聞が発表する日本の企業の時価総額ランキングTOP10では、国内NTTドコモ、NTT、JT、日本郵政、ゆうちょ銀行など、元国営企業が半分を占めている。これに加えて、通信会社であるKDDI、ソフトバンク、メガバンクである三菱UFJフィナンシャル・グループという、主に国内の社会基盤関連を支える企業も多い(2016年10月11日時点)。

 日本には、こうした一定規模の国内市場があるため、世界的に見た場合、GDPの規模に対して、他国の企業よりも企業規模が小さい。真にグローバル社会に君臨するためには、“ガラパゴス”と揶揄される閉鎖的なビジネススタイルから脱却し、「世界基準」に変わっていく必要がある。

上司の考え方を変えることが世界基準につながる

 日本企業が世界基準になるためには、仕事の実権を握るビジネスリーダー、つまり「上司」の考え方が世界基準にならなければならない。これが、本書における日本企業が世界基準化するための一番のポイントである。

 それでは、ビジネスリーダーの考え方をどう変えれば良いのか。本書では「真剣に部下のことを考え、最高の仕事をやってもらって、チームの成果を最大化し、他のどの部署にいるよりも部下が早く育つ環境を提供すること」と明確に定義している。

 一見すると、日本であっても極めて当たり前のことで、特別なものは何もないようにも思える。ただし本書では、そのことが日本において実践されていないことが大きな問題としている。

 アメリカをはじめ多くのビジネスパーソンを見てきた著者は、世界の欧米や日本以外のアジア諸国の企業について、その歴史的背景や文化的土壌から多国籍企業が浸透しているため、社員の権利意識が極めて高いという。そのため、たとえ上司の指示があっても、社員の権利を奪うような指示には従わないという。

 一方で日本は、社員の仕事への契約概念が弱いという。そのため上司は「部下の生活も人生も何もかもコントロールできる。上司は、部下の体力の続く限り、酷使することが当然」と勘違いしてしまい、過酷な命令を下すことが多く、部下もそれに従ってしまうという。

 しかし、こうした「真剣に部下のことを考えていない指示」では、部下が最高の仕事を行うことは難しい。部下は育つどころか潰れてしまうだろう。

「どうしてくれるんだ!」「そんな話は聞いてない」はNGワード

 日本において「世界基準の上司」になるにはどうすれば良いのだろうか? その問いにシンプルに答えれば、「世界基準ではない行動をやめるべき」である。

 本書が指摘する「世界基準ではない」上司が侵す最大の問題は、部下の失敗を過剰に責め、精神的に追い込む、パワハラ紛いの行為である。

 そもそも、失敗しようとして失敗する部下はいない。上司に対して申し訳ないと思っていることがほとんどである。それに対して、感情的に「馬鹿野郎!」「どうしてくれるんだ!」と怒鳴りつけるのは、百害あっても一利なしである。むしろ伝えるべきは、「大変だったな、次回はこうすればうまく行くよ」といった、ねぎらいと助言だ。大事なのは怒ることでも叱ることでもない。こうしたちょっとした配慮が、部下を育てるのだ。

 また、ビジネスで何かトラブルが起きた際に、「部下から報告を受けていなかったから対処できなかった」「突然の出来事でびっくりしている」と、まるで何も知らなかったような態度を取る上司もいるが、これも誤りだという。

 本書によれば、どんなに仕事ができる部下であっても、仕事に対し何かしらの悩みを抱えているが、部下が上司に悩みをすべて打ち明けることはないという。従って上司は、部下からの相談を受けたとしても、常に「全体の1~2割しか話してもらっていない」くらいの前提で話を聞く方が良いという。

 そして、部下が全部を話してくれてはいないと理解した上で、より真剣に聞いて、全体像を把握しようと努力し、そのうえで慎重に判断すべしとていしている。間違っても、「私は聞いていない」で済ますべきではない。真剣に部下のことを考えて話を聞く必要があるのだ。

 「世界基準の上司」となるためには、日本企業の古いスタイルである部下への支配的な意識を払拭し、部下の権利を尊重するという、根本的なところからはじめることが重要になる。上司が部下を育て、その部下がより大きな成果を生むことで、企業の力は徐々に高まっていく。その繰り返しが、やがては世界を動かしていくことも十分に有り得るだろう。

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