9月1日は、閣議で「防災の日」と制定されており、1日を含む週は「防災週間」です。この期間に防災訓練を実施する企業も多いのではないでしょうか。台風シーズンでもあるこの9月に今一度、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)に関して考えてみましょう。
BCP策定の重要性
2011年には政府が「地震防災戦略及び新成長戦略実行計画(工程表)」(平成22年6月閣議決定)において、企業のBCP策定率を2020年までに大企業はほぼ全て,中堅企業は50%との具体的な目標を掲げております。「そこまでの規模の事業ではないので必要ない」と考えている企業もあるかもしれませんが、経営に直結することから、早期の復旧や立て直しが必要となってきます。
東日本大震災では、多くの企業が倒産や事業縮小に追い込まれました。事務所や工場が直接損壊を受ける「直接型」倒産よりも、取引先・仕入先の被災による販路縮小などが影響した「間接型」倒産が約9割※を占めています。そのような経験から、BCP策定を取引先選定の基準とする企業も出てきているようです。
BCP対策を考える意義は、単なる自然災害からの早期復旧を図るといったことだけではなく、取引先から信頼されるために企業価値を高めるといった効果も得られるのです。
※東京商工リサーチ調べ:東日本大震災関連倒産 震災後月次推移 2011.3~2019.2(https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190308_03.html)
BCP策定チェックポイント
BCPを策定するにあたって、中小企業庁の中小企業BCP策定運用指針が参考になります。
<BCP取組状況チェックリスト>
【人的資源】
・緊急事態発生時に、支援が到着するまでの従業員の安全や健康を確保するための災害対応計画を作成しているか?
・災害が勤務時間中に起こった場合、勤務時間外に起こった場合、従業員と連絡を取り合うことができるか?
【物的資源(モノ・金・情報)】
・工場の操業や仕入品がストップした場合、代替で生産や調達する手段は準備できているか?
・1ヶ月分程度の事業運転資金に相当する額のキャッシュフローを確保しているか?
・操業に不可欠なIT機器システムが故障等で使用できない場合の代替方法を確保しているか?
【体制等】
・緊急時に優先して継続・復旧すべき中心となる事業を特定し、早期復旧に向けた対策をとっているか?
・管理者が出張していたり負傷したりした場合、代わりに指揮をとる体制が整っているか?
(中小企業庁BCP策定運用指針 広報冊子「中小企業BCPの策定促進に向けて~中小企業が緊急事態を生き抜くために~平成24年11月」をもとに記載)
上記のチェックリストにおいて、「いいえ」という回答になる部分がある場合は、今一度、緊急時の事業継続のための方法、手段を見直してみてみましょう。
ICTを活用したBCP対策
最後に人・情報・業務体制の3つの観点で、情報通信を用いたBCP対策方法をご紹介します。
【人】
会社を運営するうえで「人」という資産はなくてはならないものです。安否確認を実施するうえで、個人のお客様向けには、各通信会社が災害用伝言版サービス(例:NTT東日本災害用伝言ダイヤル「171」)を提供しています。一方で、法人のお客様向けには、自動で安否確認連絡が配信され、集計されるサービスが展開されています。
【情報】
「人」の安全が確保された次に大事なのは、「情報」です。顧客情報、取引先情報、開発情報など、情報化社会において、情報消失は経営に大打撃を与えてしまいます。震災や津波といった大規模な災害では、社内だけでの情報バックアップでは十分とは言えないでしょう。データレス機能を搭載したレンタルパソコンやクラウドサービスのほか、データセンターといった社外でのサーバー保管も検討しましょう。
【業務体制】
「人」と「情報」が守られたあとは、いち早く本来の業務体制に戻ることが求められます。しかし、大規模な災害により地域全体が被災してしまったときには、事務所で作業ができなかったり、交通網の麻痺により事務所まで出社できないといったケースが考えられます。そのような場合に備えて、遠隔からでも社内のネットワークにアクセス可能なリモートアクセスや、事務所の電話を別拠点や携帯電話に一括で転送するサービスを整備することも事業継続のうえで重要です。システム担当者が出社できないといった場合には、早期復旧に向けて、保守の問い合わせ先体制を一元化しておくことも有益でしょう。
BCPは万が一のためではなく、日々の経営の一貫!
BCP策定は、大企業だけが行う特別なものではありません。BCP策定・運用は、日々の経営の中で取り組む経営管理・改善の見える化で、経営の一貫です。緊急時の対応力向上に加え、自社の経営実態の把握や経営管理の再確認に繋がるものになっています。一例として、今回ICTを活用したBCP対策として取り上げた「情報バックアップ対策」は、自然故障や社員の誤操作による情報消失対策といった、トラブル対策にもなっているのです。
防災月間でもある9月に今一度、自社のBCP対策を見つめ直し、企業価値の向上を試みませんか?
BCP対策は、NTT東日本へおまかせください!
【問い合わせ先】
NTT東日本ICTコンサルティングセンタ
TEL:0120-765-000(9時~17時まで受付 ※12/29~1/3を除く)
K20-01043【2008-2012】
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パブリッククラウド導入により、BCP(事業継続計画)対策や働き方改革の推進
コスト最適化や運用負荷軽減などを目的とした「パブリッククラウド」の利活用に注目が集まっています。近年ではBCP対策が求められる基幹システムへの採用に加え、テレワークの推進にも、パブリッククラウドが注目されています。
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