ICTで業務を効率化(第28回)

20%の応募者UPも!いま旬のオンライン会社説明会

 もうすぐ新卒採用のハイシーズンがやってきます。新型コロナウイルスが拡大し始めるなか手探りでスタートした2021年度の新卒採用とは異なり、2022年度は、「完全なコロナ禍仕様の新卒採用」へ。積み上げた知見や経験を活かし、各社が魅力あふれるオンライン会社説明会を行おうとしています。優秀な人材を確保するカギとなるオンライン会社説明会、その活用法や事例を紹介します。

リアル説明会以上の人気、就活生にとってのオンライン会社説明会とは

 就活クチコミサイトを運営するワンキャリアの調査によると、2022年卒の学生が「今後、オンライン実施を希望する就職イベント」の第1位は「企業説明会」(89%)でした。また、ワンキャリアが実施するウェブ就職ガイダンスに参加した学生のうち、97%が「就職ガイダンスがオンラインでよかった」と回答しています。

 新型コロナウイルスが広まり始めた当初は、学生たちのなかに「いたしかたなくオンライン会社説明会に参加する」という諦めと戸惑いの空気がありました。しかし、この1年、授業や飲み会などさまざまなオンラインイベントを体験してきた2021年卒の学生にとって、オンラインはもはや当たり前のもの。「移動のための時間が削減できる」「交通費がかからない」などさまざまなメリットを実感しているため、場合によっては、むしろ「対面より便利なもの」「歓迎すべきもの」だと捉えられているのです。

 これに呼応するように、企業もオンライン会社説明会に力を入れるようになってきました。ただ説明会の様子を配信するだけでなく、例えば、海外で活躍するスタッフを登場させたり、Zoomのブレイクアウトルーム機能を使って座談会の時間を設けたり。各社、工夫を凝らしてオンラインならではのコンテンツを盛り込むようになってきています。

 ウェビナー、テレワーク、オンライン商談など、この1年で培ったあらゆるリモートワークのノウハウを結集させ、いま、多くの企業が、本気で「完全コロナ仕様の質の高いオンライン会社説明会」を世に送り出そうとしているのです。

オンライン会社説明会を成功させるためのポイント

 こうした波に乗り遅れないため、押さえておきたいのが、「オンライン会社説明会を成功させるための基本的なポイント」です。

・視聴者の集中力を途切れさせないよう、話すスピードはやや速めを意識する
・有益な情報をテンポよくコンパクトに盛り込む
・説明会自体の時間も短めに。内容によって15分~1時間で調整する
・チャット機能を使って質問を募るなど、スムーズに進行するよう工夫する
・ブレイクアウトルーム機能やホワイトボード機能などを活用する
・応募フォームへの誘導設計を事前にきちんと行っておく

 まずは上記のポイントをしっかりと意識して、プログラムづくりやファシリテーターのアサインを進めましょう。

 もうひとつ、オンライン会社説明会の成功に欠かせないのが、「ライブ配信型」と「録画型」のコンテンツを使い分けること。ライブ配信型の説明会は、同じ時間を共有しているという一体感が生まれやすく、また、その場で座談会や質問などインタラクティブなやり取りができるところがメリットです。録画型の場合は、時間を選ばず、自由に、見たいコンテンツだけを見られるところが優れています。

 双方の特徴を活かして、例えば、1時間程度のライブ配信型オンライン会社説明会と10分程度の会社説明動画配信を数多く実施する企業もあります。ほかに、業界基礎知識などのお役立ち動画を積極的に配信して母集団を形成し、オンライン会社説明会では応募への誘導を意識的に行うなど戦略的な導線設計を行っている企業も少なくありません。

 基礎をきちんと押さえた上で、ライブ配信型と録画型、双方のコンテンツをうまくミックスすることで、オンラインでの採用を成功へと近づけることができるのです。

有名企業も続々と、工夫を凝らしたオンラインコンテンツを配信

 積極的に新卒採用を行う企業は、どのようなオンライン会社説明会を行っているのでしょうか? 最後に、ユニークなオンライン会社説明会を行う国内企業の事例を紹介しましょう。

 採用支援事業を行うディップは、YouTubeに採用専用のチャンネルを設け、関連する動画をアーカイブしています。「会社紹介動画」「Vision動画」「社員インタビュー動画」などさまざまなタイプのコンテンツがアップされており、いずれも1分~10分と短くまとめられているところがポイントです。あわせて、1時間のライブ配信型会社説明会を実施し、多角的に企業理解が深められるようなコンテンツを提供しました。

 文具や雑貨などを販売するロフトは、社員同士の座談会形式での会社説明動画を配信しています。一般的な企業の会社説明会の場合、社長、人事担当者、スター社員などが講演形式で説明を行うことが多く、現場の社員が前面に出てトークをすることはあまりありません。そこに着目し、一般スタッフに光を当てているのです。座談会動画だけでなく、社長、部長、現場スタッフが、肩書に関係なく続々と登場し「仕事のやりがい」や「会社の魅力」などを語る動画もあり、フラットな職場であることや現場スタッフを大切にする企業姿勢などをアピールしています。

 ほかに、年に約60回行っていた会社説明会をオンラインに切り替えたことで、1,000万円のコスト削減と、20%の応募率アップを実現した企業もあります。求職者だけでなく企業にもメリットが多いオンライン会社説明会、トレンドや事例を参考にしつつ独自の工夫を凝らしながら採り入れて、優秀な新卒学生の採用につなげたいところです。

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