2021.9.14 (Tue)

ビジネスを成功に導く極意(第45回)

レトロブームにみる若手社会人の新しく古い価値観

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

 近年、1990年代半ば~2000年代半ばごろに生まれた世代(Z世代)を中心に巻き起こっている「レトロブーム」。平成初期に一世を風靡した「写ルンです」や「たまごっち」が復刻されるなど話題となっています。そして今、ビジネスの世界でも、「同じ企業で長く働き続けたい」などと訴える、やや昭和回帰的な価値観を抱く若者が増えてきているといいます。今回は、レトロブームを軸に、若手ビジネスパーソンの価値観の変化を探ります。

若者を虜にするアナログな商品・サービス

 「昭和レトロ」をテーマにリニューアルした西武園ゆうえんちが大きな反響を呼ぶなど、Z世代の間で「レトロブーム」が巻き起こっています。その特徴は、昭和30年代を懐かしむ「昭和ノスタルジー」から、平成初期に流行した比較的新しいものまでが「レトロ」として再注目されている点です。レンズ付きフィルムやチェキなど、平成になってから大流行したもののほか、昭和時代のレコードやカセットなど、アナログな商品が次々と復刻しています。

 実際、一般社団法人日本レコード協会によると、レコードの生産数量はここ10年で約5倍に増加。若者に人気の有名アーティストなどもレコードで新譜を発表しており、復権の兆しが見えています。

 また、老舗食器メーカーが復刻した、昭和40~50年代風のプリントが施されたガラス食器シリーズが発売から2年余りで26万個以上の大ヒットとなったほか、渋谷に新しく建てられた若者向け商業施設の中に、昭和時代の屋台、居酒屋などを再現した飲食店街「渋谷横丁」が誕生したことなども、レトロブームの勢いを物語っています。

レトロブームの背景にあるのは「若者の価値観の変化」

 Z世代の若者といえば、子どものときからインターネット環境が十分に整ったデジタルネイティブ世代です。スマートフォン一つあればなんでもできてしまうほど便利な時代を生きる若者らは、なぜ今、あえて不便なアナログ商品・サービスに注目しているのでしょうか。

 総合マーケティング会社が若者を対象に行った「若者の消費トレンドに関する調査」では、アナログな商品・サービスを利用したい理由について、「温かみがあるから」「人間味があるから」「手間をかけることによって味が出るから」といった回答が多く見られています。

 また、消費者庁発行の2017年度版「消費者白書」によると、80歳代までの世代のうち、「スポーツ観戦、映画、コンサート鑑賞にお金をかけている」と回答した人の割合は、Z世代が34.6%と最も多く、若者の消費行動が「モノ消費」から「コト消費」に変化していることが読み取れます。

 加えて、「今後、積極的にお金を使いたいと思うこと」に対するZ世代の回答では、「ライブイベントや旅行」など、思い出に残る感動的な体験が上位を占めているという調査結果も多く、いわゆる「エモい」体験を求めている心理もうかがえます。

Z世代が仕事や企業に求めることとは

 一部のZ世代は、すでに社会で働き始めています。昭和世代のビジネスパーソンが若者観をアップデートできずにいると、早期離職や世代間のトラブルにつながりかねません。Z世代の仕事に対する考え方について知っておくことは重要です。

 人材育成などを手掛ける企業が、2021年度の新入社員約2400名を対象に行った調査では、「仕事をする上で重視したいこと」の問いに対し、「人や社会の役に立つ」という回答が31.3%で最多になりました。社会に貢献したいという想いを抱く若者が、実は多いことがわかります。

 また、Z世代では「上下関係は大切」や「起業や転職をするよりも同じ企業で長く働きたい」と考えている人が、1980年代半ば~1990年代半ばごろに生まれたY世代の若者と比較して多いという調査結果もあり、やや保守的で、昭和を感じさせる仕事観をもっている傾向も見て取れます。

 実は社会に貢献したいという想いを抱き、人との触れ合いを求め、昭和世代と似たような堅実な感覚も持っているZ世代。いまや世界の人口の約3分の1を占めるZ世代に対するイメージをアップデートすることは、ビジネス成功のカギになるかもしれません。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Evernoteに保存
印刷

連載記事一覧

「ビジネスの最適解」をお届けします 無料ダウンロード資料


メルマガ登録


経営力向上セミナー


「人材不足」を働き方改革で乗り越える


教育機関向け特集


自治体向け特集


イベント・セミナー情報


ICTコンサルティングセンタ

ページトップへ

close