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2021.06.15 (Tue)

ビジネスを成功に導く極意(第40回)

かっぱ寿司やパルコも導入「サービスロボット」とは

 2021年2月16日、ソフトバンクロボティクス株式会社が配膳・運搬ロボット「Servi」の販売を開始しました。他にもおもてなしロボットやVRで操作する作業ロボットなど、小売の現場向けにさまざまなロボットが開発されています。いま小売店で活躍しているロボットや活用状況を紹介します。 

手頃な価格、高い精度、社会情勢、ロボット活用の条件が揃う!

 まずはロボットの歴史を簡単に振り返りましょう。日本で最初に広がったのが「産業用ロボット」です。おもに工場をはじめとする製造の現場で採り入れられ、アーム型、昇降型などの無機質な見た目のものが大半を占めていました。1990年代後半になると、人型やペット型のロボットが登場し、サービスを提供する「サービスロボット」が浸透し始めます。その後、2010年頃になって急速に目立ち始めたのが、AIやセンサーの精度向上です。これによってロボットの自動運転技術や、サービスロボットをはじめとする幅広いロボットの実証実験が進みました。2014年に入ると労働力人口の不足が顕在化するようになり、サービスロボットを飲食店などの現場に導入する動きが活発化。現在に至っています。

 こうした歴史のなかで、技術の進歩や企業努力が積み重ねられ、かつては高額だったサービスロボットも導入しやすい価格になってきています。また、多くのサービスロボットにおいてリースやレンタルといった契約形態が提供されるようになり、小売店や個人経営の飲食店でも手が届くようになりました。

 社会環境、価格、AIやセンサーの精度など、あらゆる条件がバランスよく揃ってきたといえるのが2020年代です。まさにいま、多くのサービスロボットが、本格的に現場で活用され始めています。

配膳ロボットや案内ロボットなど、小売店で活躍するロボットあれこれ

 小売店で活用されているサービスロボットは、人型の接客ロボットや、商品の運搬に特化した配膳ロボット、産業用ロボットに似た機能を有する品出しロボットなど、実に多彩です。具体的にどのようなロボットがどのような店舗で活躍しているのが、事例を見ていきましょう。

 ソフトバンクロボティクスは、2021年2月16日に配膳ロボット「Servi」の販売を開始しました。円筒型のワゴンのような見た目で、上・中・下段と3段のトレイが設置されています。3Dカメラ(障害物検知・段差検知)やLiDAR(障害物検知)といった高性能センサーを備えており、60cm程度の狭い通路を通り抜けることも可能。また、SLAM技術(自己位置推定とマッピングを同時に実行する技術)を用いているため天井やテーブルに位置特定のためのマーカーをつける必要がなく、約3時間で設置できる点も特徴です。すでに「サイゼリヤ」、「かっぱ寿司」、「焼肉きんぐ」などの大手外食チェーン店で導入されているほか、小規模飲食店でも活用されています。

 株式会社アイウィズが提供する、AI搭載人型接客サポートロボットが「CORON」です。全長約30cmの小型サイズながら、日本語だけでなく、英語、中国語での接客対応ができ、足元にセットされたスマートフォンタイプのタッチ式ディスプレイを使った商品の注文にも対応します。ちょっとしたダンスをしたり、ゲームを提供することも可能。飲食店や宿泊施設のフロントなどで活用されており、可愛らしい見た目もあって主に家族連れや学生グループから喜ばれているといいます。製造元によれば「人件費の削減だけでなく、外国人客の注文単価アップが期待できる」ところもポイントだそうです。

 池袋PARCOでは、日本ユニシス株式会社と08ワークスなどが開発を手掛けた純国産自走式案内ロボット「Siriusbot」が活躍しています。タッチパネルと音声(日本語・英語に対応)で客とコミュニケーションし、テナント情報やイベント情報などを伝えたり、客が探している店舗まで館内を自立走行して案内するという機能を備えています。ほかに、商品に付けられたRFIDタグを読み取り、在庫管理を支援することも可能です。日中は客の案内、閉店後は従業員の補助業務と、1日を通して活躍しています。

VRを活用した未来的な取り組みも、小売のテクノロジー化はまだまだ進化

 最後にもうひとつ、先進的な事例を紹介しましょう。

 2020年、株式会社ファミリーマートは、Telexistence株式会社と提携し、遠隔操作ロボットを用いて品出しや検品を行う実証実験を開始しました。使用するロボットは、身長約80cmの人型ロボットです。店舗にいるこの人型ロボットを、都内本社にいる従業員が、ヘッドマウントディスプレイを装着しVR空間で遠隔操作することで動かします。この技術を活用すれば、本社にいるひとりの従業員が、店舗A、店舗B、店舗Cと複数の店舗の品出しや検品を行うことが可能です。人手不足を解消する手段として注目を集めており、ファミリーマートは実用化に向けての取り組みを進めています。

 接客系からバックヤード系、管理系まで、さまざまなロボットが出揃ってきた感のある昨今。近い将来、人とロボットが当たり前のように協働し、店舗サービスを行う時代がやってくることでしょう。そうなったときに慌てることがないように、いまのうちから、スモールスタートで、自社に合ったロボットやテクノロジーの採用を検討してはいかがでしょうか。来るべき小売店の一大DXシフトに、しっかりと備えておきましょう。

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