テレワークの機会が増えたことで、チャットを使ってコミュニケーションを取る機会が多くなりました。チャットでは、基本的に短文でのやり取りが行われるので、とにかく文章をそぎ落とすこと、短い文章のなかで要点を伝えることが求められています。そこでここでは、より良い短文を書くためのコツ、テキストチャットを活用したコミュニケーションのポイントなどをご紹介します。
良い文章の本質は「読みやすくわかりやすい文章」
まずは「よい文章とはなにか」について確認しておきましょう。チャットであっても、メールであっても、もっと言えば報告書であっても企画書であっても、よい文章の本質は変わりません。よい文章とは「必要な情報が過不足なく盛り込まれた、読みやすくわかりやすい文章」なのです。
ビジネス文書作成時にありがちなのが、情報を盛り込みすぎてしまうこと。「誤解やリスクを避け、ていねいに説明したい」「関係者全員が理解できるよう漏れなく情報を記載しなければ」、そんな“過剰な不安と思いやり”が、情報を盛り込みすぎた長文の作成へと繋がっているのでしょう。また、専門用語や横文字を多用して難解な文章を書く人も存在します。よい文章を作成したいのであれば、シンプルかつ無駄のない文章で、誰にでもわかるように伝えるべきです。
「させていただきます」などのムダ敬語をカットする
では、「読みやすくわかりやすい文章」は、どのように書いたらよいのでしょうか。文章の書き方をまとめた書籍には、「一文を80文字以内に収める」と書かれていることが多いです(70文字以内、60文字以内とする書籍もあります)。他にも、「一文一意(ひとつの文にひとつの情報を入れること)を心掛ける」「あれ、これ、それといった指示代名詞はなるべく使用しない」「接続詞、修飾語、カタカナ語は多用しない」などを心掛けるとよいでしょう。
もうひとつ、気を付けたいのが「ムダな敬語」です。株式会社電通でコピーライターとして活躍する橋口幸生氏は、著書『言葉ダイエット』のなかで、世の中のビジネスメールに「させていただきます」「ご相談させてください」が濫用されていること、こうした「ムダな敬語」が文章を曖昧かつわかりにくくしていると指摘しています。
気遣いの言葉は大切ですが、気遣いだけを示す敬語が繰り返された文章は、うっとうしく感じられるものです。例えば、「企画書をお戻しさせていただきます。一部ご相談させていただきたいところがありますので、修正についてお話させていただきたく、お電話させていただいてもよろしいでしょうか」と伝えるなら、「企画書をお戻しします。修正をお願いしたいためお電話します」とすればよいのです。
チャットの場合は、特にテンポが重要になります。回りくどい表現で文章を引き延ばすのではなく、読みやすくわかりやすい文章を意識して、読み手の理解をキャッチしましょう。
どうしても長文が必要な場合は、電話やウェブ会議システムを
チャットを使う場合は、「Yes・Noで答えられる質問をする」というのもポイントとなります。例えば、メールに添付されているファイルの内容を聞きたい場合を想定しましょう。「添付されているファイルはなんでしょうか」と質問すると、相手がファイルの内容に言及しなければならなくなり、返答が遅くなりがちです。そこで、「添付されているファイルは〇〇という理解でよろしいですか」と質問すれば、「はい」、「いいえ」で答えられるため相手の負担が軽くなり、返信が早く届く可能性は高まります。
「簡単な会話ばかりでは済まない」、「どうしても長文を送らなければならない」という場合は、電話やウェブ会議システムを活用するとよいでしょう。簡単な確認や情報共有はチャット、込み入った相談は音声と使い分けることで、より効率よく仕事が進められます。
ビジネスの連絡手段は、今後チャットやインターネットを使った通話が多用されると考えられます。すべてのビジネス文章で使える「読みやすくわかりやすい文章」を意識して、コミュニケーションを図っていきましょう。
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