仕事で失敗したり、面倒なことに巻き込まれると、気分が落ち込んだり、やる気が失せてしまいがちです。ですが、たとえ嫌なことがあったとしても、ポジティブシンキングで前向きに捉えることで、気分が楽になり、やる気も削がれずに済みます。
とはいえ、ひとくちにポジティブシンキングといっても、ただ単に明るく振る舞ったり、楽観的に物事を捉えれば良いというものではありません。
理想的なポジティブシンキングとは、一体どのようなものなのでしょうか。今回はその一例として、自らが院長を務める歯科医院で、スタッフ全員がポジティブシンキングを実践しているという歯科医の田畑勝彦氏の著書「今いる場所で、一流になれ」(サンマーク出版)を参考に、ポジティブシンキングの正しい方法を考えてみましょう。
ネガティブはダメだけど、ポジティブ過ぎてもダメ!
ポジティブシンキングは、一歩間違えると、ネガティブな要素を顧みない、単なる快楽主義に陥ってしまう恐れもあります。あるいは、「きっとうまくいく」という根拠のない楽観的な視座のもとに大きなチャレンジをし、その結果失敗して、大きなリスクを被ってしまうこともあります。
田端氏は本書にて、失敗しないポジティブシンキングの定義として、以下の5つを挙げています。
1つ目が、日頃から「どうしたら良くなるのか?」という改善の発想を持つことです。チャレンジすることに対し、失敗やリスクを恐れないことが大事といいます。
2つ目が、「ネガティブな口癖を止める」ということです。「どうせ」とか「自分なんか」などのネガティブな口癖があるなら“すぐにやめるべき”とのことです。
3つ目が「人に頼ることを恐れない」です。“自分ひとりでやってやる”と意気込む人もいるかもしれませんが、友人や同僚の力を借りることで、自分だけではできないことが成し遂げられます。
4つ目が「人の意見を聞く」です。いくらポジティブといっても、すべてが自分の思い通りに進むはずはありません。ポジティブシンキングを実践するには、友人や同僚の力を借りて、リスクを意識することも大切です。
最後の5つ目が、「人と比較しないこと」です。比較すると、「あの人に比べて、なんて自分はダメなんだ……」と、ネガティブな感情に陥りるだけでなく、「自分はあの人よりも上回っている」という過剰なポジティブ思考にもつながりかねません。他人は他人、自分は自分です。
まとめると、ネガティブにならず、かといってポジティブになり過ぎず、周囲と連携しながら、次の一歩を着実に踏み出す姿勢が、ひとつのポジティブシンキングといえるでしょう。
仕事のミスは「自分が成長する良い機会」
田畑氏によると、ポジティブシンキングが身につくと、仕事もプライベートも、良い方向へ変わっていくといいます。ポジティブシンキングで期待できる効果には、以下の5つがあるとのことです。
1つ目が、「失敗を成長に変えていくこと」です。失敗したときに後ろ向きに悩まず、前向きに改善方法などを考えることで、人間として成長できるとのことです。
2つ目には、「逆境を楽しむ」ことです。たとえ辛い状況でも、楽しむことをやめないことで、精神がタフになるといいます。
3つ目は、「何事にも前向きに取り組むことができる」ということです。あらゆることを前向きに考えることで、ストレスを感じにくくなり、楽しく仕事に取り組めるといいます。
4つ目の効果は、「人間関係がうまくいく」というものです。物事を前向きに捉える人は、先に挙げた通り、周囲の人に助けや意見を求めるため、自然と良好な人間関係が築ける傾向にあります。
5つ目は、「悩む時間がなくなって時間を有効に使える」ということです。限りある時間を有効に使うことで、さらに新しいチャレンジができるでしょう。
こうしたポジティブシンキングを、ビジネスのよくある場面に置き換えてみましょう。たとえば、仕事でミスをしたときは「成長する良い機会になる」、上司に怒られたら「自分は期待されているから怒られている」、休日出勤になってしまったときは「新しい週が始まる前に片付けられる」、顧客のクレームは「商品の欠点が分かる良い機会」、面倒な仕事を任された場合は「やり遂げれば1段も2段も成長できる」と捉える、といった感じです。
つまり、ネガティブな感情を持ってしまいがちな時こそ、自分が成長できるチャンスとして捉え、成長のために努力するというのが、正しいポジティブシンキングなのです。本書によれば、正しい方法でポジティブシンキングができるようになれば、ネガティブシンキングだった頃よりも、人生が大きく拓けるとしています。
つい落ち込んでしまいがちなときこそ、ネガティブな感情を抑え、努めてポジティブシンキングしてみましょう。たとえ同じ仕事をしたとしても、取り組み方が変わることで、パフォーマンスはきっと向上するはずです。
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