ビジネスを続けていると、「あの会社はやたら運が良いな」「あの人はとことんツイていないな」と思ったことがあるかもしれません。
しかし、ビジネスにおける「運」は、決して偶然ではありません。さすがに100%とはいえませんが、ある程度はコントロールできるものなのです。
挑戦しなければ大当たりを掴む確率は0%
思いがけず商品がヒットしたり、条件の良い立地の物件が回ってくるなど、ビジネスシーンでは周囲から「運が良い」「ツイている」と羨ましがられることが度々起こります。しかしそれを、単に「運」の一言で片付けるのは、少々乱暴かもしれません。
たとえば「くじ引き」を例に考えてみましょう。箱の中から当たりくじを選ぶのは、運任せであることは確かです。ですが、100枚に1枚が大当たりのくじと、1000枚に1枚が大当たりのくじに挑戦するのでは、確率が大きく異なります。「運が良い」と言われる人は、この確率の高い/低いを見極めているのです。
また、くじを買うことすらしなければ、大当たりのチャンスは0%です。「運が良い人」とは、基本的に「挑戦している人」であると言えそうです。
有名な話に、日本のある電機会社が、画期的な小型録音再生機を開発した際、社長以外の幹部は製品化に否定的だったというものがあります。幹部は否定したものの、社長が製品化に踏み切ったことで、成功のチャンスが与えられたのです。その社長だけは、商品がヒットするという確信を持ち、挑戦することを選んだのです。
商品を世に送り出さなければ、ヒットの機会は与えられませんし、物件を探していなければ、誘致の話が回ってくることもありません。
つまり「運が良い人」とは、「比較的確率が高めのものに挑戦する人」と言い換えることができるでしょう。
他人への配慮が運を呼び込む
脳科学者の調査によると、ビジネスあるいは日常生活で良い話を持ちかけられやすい人には傾向があるといいます。たとえば脳科学者の中野信子氏は、「運が良い人には、脳科学的に説明がつく脳の使い方をしている」と発言しています。
具体的には、「謙虚であること」「他人に配慮できること」「他人を愛し自分を愛していること」「利己主義ではなく利他主義であること」「多くの人との付き合いのネットワークがあること」などのポイントが挙げられています。
ここで挙げられたポイントをよくみると、いかに自分だけではなく、他人のことを考えられるか、という点が重要であることがわかります。
ビジネスの世界では、確実に成功しそうな事業のアイデアをつかんでも、1人では時間、費用、労力などが不足して、パートナーが必要になるときが多々あります。「運が良い人」は、常に他人と良い関係が築けているので、そのような状況でもパートナーとして選ばれやすい、というわけです。
一方で「運が悪い人」は、他人と良い関係が築けていないので、このような機会にパートナーとして選ばれることはないでしょう。
ネガティブ思考の人はそもそもリスクに挑戦できない
しかし、たとえパートナーとして選ばれても、与えられたチャンスでミスをしては、せっかく巡ってきた運をフイにするだけです。脳をフル回転させ、冷静に正しく判断することで、運をモノにする必要があります。
前述の中野氏を始め多くの脳科学者は、良い判断をするためには、「ポジティブな発想をすること」「緊張を解き、脳をリラックスさせること」を挙げています。たしかに、ネガティブな発想しかできない人は、少しでもリスクのあるような挑戦はできないでしょう。また、緊張すると余裕がなくなって、物事を広い視野で考えられず、重大な見逃しをしてしまう可能性が高くなります。
まとめると「運が良い人」というのは、「確率を考えて挑戦する人」、「他人を常に気遣い、オファーが申し込まれやすい人」、「冷静な判断ができる人」、「ポジティブな人」の4点を満たしている人といえるでしょう。こうしてみると、運が良い人というのは、単にツイている人というより、「常に運を迎え入れる準備ができている人」と言い換えられるかもしれません。
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