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2016.06.03 (Fri)

専門家の力で道を切り拓く(第2回)

もっと税理士を使いこなそう

posted by 納見 哲三

 税理士・会計事務所の役割は、税務ばかりではありません。専門家ならではの知見を生かした経営計画の作成、会計情報のICT化対応、社員の福利厚生の相談など、中小企業向けにさまざまなサービスを提供しています。

 最近では税務以外にもマーケティングといった、新しい業務に取り組む人たちも増えてきました。

税務だけを任せるのではもったいない!

 うそのような本当の話で、かつて税理士は、子どもの結婚相手の相談にまで応じることがあったそうです。会社の跡取りの話なので、経営とまったく無関係ではありませんが、それほどパーソナルな話題が出るくらい、経営者にとって税理士は信頼できるパートナーなのです。

 なぜ税理士はそこまで信頼が厚く、経営者のよき相談相手なのでしょうか? それは税理士が会計処理をとおして、会社の嘘偽りない裸の状態を把握しているからにほかなりません。会社の中核となる情報を共有しているので、例えば「銀行へ融資をお願いする際に同行して助けてもらう」「税務申告書に税理士お墨付きの書類を添付してもらう」といった込み入った業務は、信頼する税理士に力を借りるべきです。税理士の仕事の範疇は意外と広いものなので、お願いをすればきちんと引き受けてくれることでしょう。

 もしも税理士に、税務のみを丸投げにしているのなら、それは非常にもったいないことです。ここでは税務以外で、税理士が担ってくれる重要な役割を紹介します。

税理士に会社の経営を相談する

 経営計画を策定するには、できるだけ正確に事業実態を把握する必要があります。したがって、税理士が経営の相談を受けることは、昔からよくあることでした。特に最近は、より細かい分析をするために、「月次決算」の導入を税理士・会計事務所にすすめられる場合が多いようです。

 通常の場合、税理士・会計事務所は、日々経理代行を担い、年度末に決算書を作成します。一方で「月次決算」では、毎月決算書を作成するので、タイムリーに課題を見付けて、すぐさま対応策をフィードバックできる可能性が高まります。また、年度末の決算の負担が減る、継続的な節税策、銀行との資金交渉が有利になる効果も期待できます。

 ほかにも子会社の設立や会社の統廃合、経営陣の世代交代といった会社の節目でも、税理士は大きな力を発揮してくれます。会社設立時における消費税の優遇措置、相続や事業の譲渡で発生する税の知識を駆使したアドバイスをしてもらえるのです。

クラウド会計の導入支援

 クラウド会計とは、会計帳簿の作成を、従来のような会計ソフトでなく、インターネット上で行うしくみです。その最大のメリットは、銀行やクレジットカードの情報を自動で取り込んで、データ入力の手間を省くことにあります。加えて仕訳のときに、勘定科目を自動で提案してくれる機能が付いているので、簿記の初心者でも扱いやすくなっています。実用化されてから比較的日の浅い技術ですが、導入による大幅な業務の効率化が期待されています。

 とはいえ、まだまだ発展途上の技術で、改良の余地を残したシステムともいえます。セキュリティの不安、複数の部門管理の非対応、税務申告への対応が不完全、使い方を熟知している人が少ないといった弱点もあります。こうした弱点を補うかたちで、税理士にクラウド会計の導入とその支援をお願いすることもできます。特に複雑な会計処理や、税務申告では税理士の力が不可欠といえるでしょう。

さらに多様化する税理士のサービス

 いわゆる士業が開業すれば一生安泰だったのはひと昔前の話。税理士も例外ではありません。新しい顧客を開拓すべく、税理士みずからがウェブページを立ち上げ、SNSを導入し、マーケティングをして、営業活動を行っています。そうして蓄積したウェブ関連のノウハウをサービスとして提供するケースも増えているのです。自社のホームページを、SNSと連動させつつリニューアルしたければ、税理士に聞いてみるのもひとつの手です。

 また、税理士が力になれるのは、なにも経営者ばかりではありません。従業員に向けた福利厚生支援サービスを提供しているところもあります。例えば、月1回のペースで税理士が訪問し、資産運用の相談、相続対策、住宅ローンといったプライベートの相談にあたるプランがその代表でしょう。そのほかにも、年に数回ほど従業員向けのセミナーや随時メールで質問を受けるヘルプデスクを開設するプランなどがあり、税・会計の専門家の知恵と経験を家計にも役立ててくれるのです。

ちょっとした疑問について聞く

 ここまで税務以外の代表的な業務について紹介しましたが、税理士は経営者の最も身近な相談相手であることです。かしこまった経営相談の以前の段階でも、疑問点があればどんどん聞いて、税理士を活用するといいでしょう。一例として、外国人スタッフを多く雇用している会計事務所の税理士が、自社で外国人スタッフを雇うときの注意点を質問されたということがありました。

 普段から密なやりとりを重ねて、小さな質問を気軽にできる関係を築きたいものです。

納見 哲三

納見 哲三
【記事監修】

納見哲三税理士事務所所長。税理士事務所勤務を経て、政府系金融機関の関連会社で事業承継やタックスプランニングに従事。独立後は、オーナー企業を中心に、社長や社員にとって最適な事業永続の方法を見極め、経営改善計画や起業支援を中心に、実践的なコンサルティングを展開。難解な税務問題でも、平易にわかりやすく伝えるその指導法に人気が高い。

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