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2017.03.28 (Tue)

他人には聞けないICTの“いま”(第26回)

会話するロボットを自社スタッフとして活用する方法

posted by 大竹 利実

 政府は日本の労働市場について、少子高齢化と人口減少により、人手不足感が強まっていると指摘しています(内閣府「平成28年度 年次経済財政報告」より)。その解決策の1つとして「ロボット」が注目されています。

 特に最近では、会話などコミュニケーションに特化したロボットが、生活の中で人間と接する機会が増えてきました。これらのロボットは、AI(人工知能)により、人間と相互にコミュニケーションが図れる点が大きな特徴となっています。

 今回はサービスが徐々に誕生してきている、新たなロボットの形「コミュニケーションロボット」の例を紹介します。

会話できるロボットが日常生活でも増え始めている

 これまで日本で活躍しているロボットは、製造現場や建築現場などで活躍している、特定の作業に特化した「産業用ロボット」がメインでした。

 しかし最近は、コミュニケーションロボットと呼ばれる、人とのコミュニケーションを目的に開発されたロボットをサービスとして提供する企業も出てきています。このようなロボットは、AI技術の進歩により、紋切り型の案内アナウンスを流すだけではなく、人間と双方向でコミュニケーションが取れる点が特徴です。

 具体的な例を見てみましょう。近年、コミュニケーションロボットで話題となったものの1つが、長崎県のリゾート施設「ハウステンボス」内に2015年7月に開業した「変なホテル」です。このホテルでは、ロボットが接客業務を行うという、世界初の“ロボットホテル”となっています。

 たとえばフロントには、宿泊客と会話を楽しみつつ、チェックインやチェックアウトの手続きをしてくれる「フロントロボット」があります。さらに客室内にも、話しかけることで照明やアラームが設定できる「ちゅーりーロボ」が備えられています。同ホテルではこのほか、宿泊客の荷物をピックアップしてホテル内に収容する「クロークロボット」や、手荷物を部屋まで運んでくれる「ポーターロボ」といったロボットも備えられています。

 オフィスや商用施設の受付で活躍しているコミュニケーションロボットとしては、2014年6月に発表された、ソフトバンクロボティクスの「Pepper(ペッパー)」も、大きな話題となりました。

 このPepperは、AI技術を活用することにより、ロボットでありながら人間のような感情を擬似的に持っているのが特徴です。人間一人ひとりの顔と名前を記憶し、触れあうことで会話のバリエーションも増えていくといった特徴を持っています。オフィスだけでなく、全国の小中学校に設置されるケースも見られます。

 このほか、介護施設にコミュニケーションロボットを導入し、入所者の会話の相手として活用するという例もあります。

コミュニケーションロボットはどうすれば導入できるのか?

 このように普及しつつあるコミュニケーションロボットですが、実際にオフィスや施設で導入するには、どのようにすればよいのでしょうか? NTT東日本が2016年9月より開始しているサービス「ロボコネクト」を例に取り上げてみましょう。

 ロボコネクトは、ロボット型の通信端末を用いた、クラウド型のロボットプラットフォームサービスです(第1弾対応ロボット:「Sota(ソータ)」)。SotaにはWi-Fi機能が搭載されており、無線LANルーターと接続することで、クラウド上にあるロボコネクトの機能(コミュニケーション機能やカメラ撮影機能、遠隔対話機能のアプリケーションサービス)を利用できます。会話機能の対話シナリオは随時更新をしているため、Sotaが話せる会話は今後も増え、人間の子どものように成長を感じることができます。会話のパターンは、2017年2月現在で約5,800種類も用意されています。

 このほかにも、Sotaがダンスをしてくれたり、現在の時刻を知らせてくれる機能、顔認識機能を活用した笑顔判定ゲームや年齢当てゲームといった機能も備えています。また、利用者がオリジナルのシナリオを設定できる機能も備えています。

 Sotaにはカメラも搭載されており、「写真を撮って」と声を掛けることで、写真撮影ができます。さらに、インターネット接続環境があれば、離れた場所にいても、遠隔対話専用アプリケーションをインストールしたパソコンを使って、Sotaを通じて利用者の顔を見ながら対話ができます。専用アプリケーションからSotaに動きを付けることも可能です。

 介護レクリエーションに活用可能なオプションサービス「Sota レク」も、2016年9月よりスタートされています。

※「Sotaレク」は、キューアンドエー株式会社が提供するサービスです。

ロボットは「つながり」が求められる場面で活躍する

 ロボットはこれまで、単純作業や力仕事を中心に、人間の役に立ってきましたが、AI技術の進歩により、会話などコミュニケーションの面での仕事を担うことができるロボットが続々と誕生してきています。

 コミュニケーションロボットは、今回紹介したようなオフィスや商業施設、介護施設だけではなく、「人と人とのつながり」が求められるさまざまな場面で活躍します。自社の“スタッフ”の一人として、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※掲載している情報は、記事執筆時点(2017年2月13日)のものです。
※記載の社名や製品名・サービス名は各社の商標または登録商標です。

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大竹 利実

大竹 利実

20年以上のライター経験を持つITライター。某外資系大手IT企業で専属ライターの経験もあり。横丁、大衆酒場といった場所には目がない。

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