デジタル化が進んだ現代でも、書類や契約書、企画書などの文書は紙に印刷して保管するという企業は多いでしょう。しかし、紙の量が膨大になり、格納スペースの確保が難しくなったり、文書を探すことが大変になったりといった事態を招きがちです。
このような問題は、文書を電子化することで解決することができます。今回は電子化のメリットや、専門のサービスなどを見ていきましょう。
オフィススペースの有効活用とコスト削減
文書を電子化することで、まずは「オフィススペースの有効活用」というメリットが得られます。オフィススペースのかなりの部分を、文書の保管スペースに充てている企業も多いでしょう。文書を電子化し、不要な文書を破棄することにより、文書を保管していたスペースが空き、オフィススペースを有効活用できるようになります。
「業務時間の削減」もメリットの1つとして挙げられます。文書を電子化しデータとして保管することで、書類探しにかかっていた時間が大幅に削減できます。文書を電子化し、ファイル名や作成日付などを入力しておけば、パソコンから目当ての文書がすぐ探せるようになり、これまでかかっていた書類探しの時間をほかの業務に充てることができるでしょう。
細かい部分では、「複数人が同時に閲覧できる」という点も利点です。紙の文書の状態では、一度に1人しか見ることができません。もちろん、コピーして配布すればできますが、コピー代がかかってしまいます。しかし、文書を電子化することで、複数人で同時に閲覧でき、紙やトナーの使用量を減らすことができます。1枚あたりのコストは微々たるものですが、それが大量に集まれば大きなコスト削減につながります。
セキュリティの強化にもつながる
文書電子化のメリットのうち、企業においては「セキュリティの強化」が特に重要かもしれません。
重要機密書類を紙の文書で保管している場合、紛失してしまったり、不正にコピーされたとしても、すぐには気づきません。保管スペースの奥に重要機密書類をしまい込んでいる場合、無くなったことに長年気づかないこともあるでしょう。このほか、廃棄ミスや文書の取り違いが発生する恐れもあります。
しかし文書を電子化してデータとして保存しておけば、このような危険を回避することも可能です。たとえばもし万が一、データの不正コピーなどが起こっても、ファイルを暗号化しておけば、情報が漏えいする危険を防ぐことができます。
文書電子化・管理を一手にお任せできるサービスも
それでは、どのように紙の資料を電子化すべきなのでしょうか。自社だけで簡単に済ませようとするならば、スタッフが文書をスキャニングしていくことです。しかし、限られた人員を文書スキャニングだけの業務に回すことは、賢い判断ではありません。さらにいえば、文書スキャニングだけのために新たなアルバイトや派遣社員を雇うのは、コスト的にムダがあります。
また、文書の電子化は簡単なことではありません。たとえば紙の文書にはステープラーの針で留められているものや、両面印刷してあるもの、重要箇所に付箋が貼ってあるものなど、まちまちです。そのため、スキャニングの前に針を取り外したり、裏面にプリントがあるかどうか確認するなど、作業にはたいへんな手間を伴います。
そこで活用したいのが、文書の電子化・管理を専門に行っている業者です。
こうしたサービスでは、紙文書を電子化するだけでなく、検索効率が向上する文書管理システムや、ファイルを暗号化してセキュリティを確保する管理サービスも一手に提供しているケースが多く見られます。
外部に委託するということは、当然ながらそのぶんコストがかかります。しかし、正社員にスキャニング業務を兼任させたり、新たにスキャニング要員を雇ったりすることなく、しかも電子化した文書を管理してくれるというのであれば、十分に価値のあるサービスといえるでしょう。
文書の電子化、および管理を行うサービスの一例として、大塚商会の「文書管理・スキャニング」、シャープの「文書管理ソリューション」などがあります。
もし、「廃棄できない紙文書が溜まりすぎている」、「紙資料の整理が追いつかない」という場合には、このようなサービスを利用することが、ビジネスを円滑に進める助けになることでしょう。
※掲載している情報は、記事執筆時点(2016年10月4日)のものです。
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