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他人には聞けないICTの“いま”(第5回)

どこが変わったの? いまどきの無線LAN事情(後編)

posted by 塚本 直樹

 「情報セキュリティは大丈夫?」「通信速度が落ちないかな?」「設定が難しそう」など、オフィス内のネットワーク環境を有線LANから無線LANに変えるときには、こうした不安を感じる人が少なくないでしょう。しかし、今では無線LANの詳しい知識がなくても、安全・高速・簡単に利用できるようになりました。

 そこで本記事では、無線LANを簡単にセットアップできる仕組みを紹介。そして、通信速度やセキュリティ技術、さらに無線LANをオフィスに導入するメリットについて紹介します。

(前編はこちら

ボタン1つで無線LANがセットアップできる簡易設定機能

 無線LANを経由してネットワークに接続する時には、接続するパソコンやスマートフォンでパスワードなどのさまざまな情報を入力する必要があります。無線LANの登場した当初は、それらを手動で入力するのが一般的でした。もちろん、今でもこの方式で無線LANをセットアップすることはできます。とはいえ、いずれの項目も文字数が多く、入力を間違えて接続に手間取るケースもありました。

 そこで登場したのが、無線LANの簡易設定機能です。これは無線LANのセットアップを簡単に行える仕組みで、ボタン1つで無線LANの設定を完了できます。この簡易設定機能は非常に便利なものの、登場初期はメーカーごとに独自規格が乱立していました。それにより無線LAN機器と接続する端末側のWi-Fi機能が同一規格でないと簡易設定機能が使えなかったので、消費者に混乱を引き起こすこともありました。

 それを解消するために無線LAN製品の業界団体であるWi-Fiアライアンスが策定したのが、メーカーを問わずに利用できる簡易設定機能「WPS」です。これによって接続の負担や混乱が軽減されました。

 現在では、機器の導入から設定、管理までをすべて任せられる「無線LANの構築サービス」も登場しています。設置にかかる手間を軽減するため、設定済みのWi-Fiアクセスポイント装置を届けてくれるものがありますので、利用することで簡単に利用できます。またトラブル時のサポートが付属するサービスもあるので、ネットワークの担当者がいない環境でも安心して導入・運用ができるでしょう。

 また、NTT東日本の「ギガらくWi-Fi」には、来訪者向け無線LAN環境が構築できる機能もパッケージされたサービスがあります。来訪者に社内ネットワークの一部を開放するには、正しくネットワークを設定することが必須です。このような場合でも、プロによるサポートがパッケージされているサービスなら安心して導入できます。

向上した無線LANの情報セキュリティ

 無線LANの簡易設定機能には、優れた情報セキュリティ対策も施されています。

 その暗号化方式自体も進化しています。無線LANの登場初期に利用されていた暗号化方式「WEP」は一般的なパソコンでも短時間で解析可能でした。そのため、無線LANをオフィスなどで商用利用するのは推奨できないものだったのです。

 しかし、現在広く利用されている暗号化方式「TKIP」「AES」は、暗号キーの生成方法や、暗号を複雑にすることで、セキュリティが高められたので、商用利用でも無線LANが普及しました。

有線LANにも負けない通信速度

 接続設定の自動化とセキュリティ機能の充実とともに、無線LAN製品は通信速度も大幅に向上しています。初期の無線LAN製品の通信速度は、最大11Mbpsでした。そのためオフィス内のメールのやり取りやウェブサイトの閲覧ならともかく、大容量ファイルのやり取りには不向きでした。

 しかし、時代が進むとともに無線LANの通信速度は高速化。まず最大54Mbpsで通信できる通信規格「IEEE 802.11a」や「IEEE 802.11g」が利用されるようになりました。また、後から登場した「IEEE 802.11n」では、複数のアンテナをまとめて利用する「MIMO」で最大600Mbpsの通信速度を実現したのです。

 その後「IEEE 802.11ac」が普及し、1Gbps以上の通信速度を実現。これだけ高速なら、有線LANから乗り換えても「通信速度が遅い」と感じることはまずないでしょう(※)。現在は、最大6.8Gbpsという「IEEE 802.11ad」という規格に対応した製品もありますが、さらに通信速度を向上させる新たな規格についても研究・開発が続けられています。

無線LANならスマートフォンやタブレット端末も利用可能

 このように、現代の無線LANは有線LANにも負けないくらい簡単に設定が行え、情報セキュリティや通信速度も向上しています。さらに、無線LANにはワイヤレスという大きなメリットがあることを忘れてはいけません。

 無線LANは電波の届く範囲であれば、パソコンなどの機器をオフィス内で自由に配置できます。また、最近はタブレット端末やスマートフォンを業務に利用することが増えています。これらの端末も、無線LAN環境がオフィスにあれば、社内ネットワークに接続させることも可能になるのです。

 近年は無線LANの導入から設定、その後のサポートまでをまとめてお任せできる業務用のパッケージプランも登場しています。安全で便利になった無線LANをスピーディに導入するには、このようなプランを検討するのが良いでしょう。

※インターネットご利用時の通信速度は、ご利用環境(インターネット接続用回線や端末機器の仕様など)や回線混雑状況などにより大幅に低下することがあります。

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塚本 直樹

塚本 直樹

株式会社ネクストアド所属のライター。ITやウェアラブル、スマートフォン、宇宙やドローン技術まで幅広く手掛けるフリーランスジャーナリスト。現在ベルリン在住。
Twitter:@tsukamoto_naoki

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