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ビジネスマガジン(第7回)

伸びるために補助金を使える会社は、日頃から準備ができている~~ 経営を一歩でも前進させるための補助金対策 ~

posted by 猿山 康継

事業を継続・強化するために、補助金を活用することが有効だとわかっていても、なかなか活用できていない企業も多いのではないでしょうか? 今回は、補助金を上手に活用するための準備や、申請の際のポイントについて、ご紹介します。 

昨今は、いろいろな補助金施策が目白押しです

ものづくりの補助金、基盤となる技術に対する補助金、販路開拓、展示会出展、社員教育や評価制度・給与制度の整備などについての補助金など、さまざまな補助金(助成金)が施策として打ち出されています。
「補助金なんて面倒なだけだ」などとおっしゃらないでください。
経営基盤をより強くしようとするなら、「補助金をうまく使える会社」になっていただくのが早道です。
どのような補助金や融資制度があるのか、簡単に調べる方法として、独立法人中小企業基盤整備機構が運営している中小企業のためのポータルサイトがあります。
「J-Net21」の名前で検索をしてみてください。

中小企業ビジネス支援サイト J-Net21
URL: http://j-net21.smrj.go.jp/index.html

いろいろなメニューが画面に出ますので、「目的別に探す」の中の「補助金・助成金を探す」の部分をクリックし、簡単な案内が出ますので、「資金調達ナビ」の部分をクリックしてください。検索の画面が出ますので、調べたい項目を選択して検索をしてください。

補助金をうまく使うには

補助金をうまく使うには、平素からの準備が必要です。準備さえあれば、急に募集されることの多い補助金への対応もすぐにできます。
なによりも、ふだんから実施していれば、会社そのものの経営(業績向上)にも役立ち、本来の「強くなる」ベース作りになります。
ぜひ意識的に、次の各項目の準備と実施をしてみてください。

1.経営計画を作る

「目指す方向」を示すことが会社(事業)をよくするための最初にすべきことです。
(1) 経営計画を3年分程度作成
(2) 経営者が社員に「このような会社にしたい」「このような目標で進みたい」と示す
(3) その計画の実施のための方策を社員と共に考える習慣をつける
簡単な経営計画の例・・・以下の項目を3年程度、損益計算書のようにして並べてみます。
1.売上 (得意先別など分けて数字を列記します)
(新規の開拓すべきものも行を変えて数字を入れます)
2.仕入れ、材料費、などの原価
3.差し引き粗利(売上総利益)(1.売上-2.原価)
4.人件費(給与・賞与、法定福利費、福利厚生費)
(それぞれ行を分けて記載した方が、社員にインパクトがでます)
5.通信費、交通費、事務用品費、などの経費
家賃、リース料、保険料、修繕費、などの経費
(これらの経費は、ある程度くくって結構です)
6.その他の経費(役員報酬などは場合により、その他と混ぜておく)
7.経費の合計(4.5.6.の合計)
8.通常の利益(経常利益)(3.売上総利益-7.経費の合計)

次に重要なのは、数値の計画を「どのようにして実現させるか」を検討することです。
数値を実現させるための「行動計画」が無いと、経営計画は完成しません。
「行動計画」は、社員のキーマンを集めて「知恵を出す」ミーティングをもち、「行動すべき事柄をできるだけ具体的に出し合い」「日程計画」にします。
自分たちで作り上げるプロセスから、皆がやる気を出せる計画づくりができて来ます。

2.自社の「強み」を明確にする

「強み」を把握して、それを強化することを考えましょう。経営者にお尋ねすると、意外なことに、自社の強みを明確に把握していない場合が多いものです。事業全体を見渡してしまうからでしょうか・・・。
「強み」には、商品や技術、デザイン、固定顧客、営業、人脈、設備、立地条件、社員の結束、資金、などいろいろとありますが、基本は「お客さまから見た場合の強み」を考えることがポイントです。お客さまの「困った」とか「そんなものが欲しい」とか「安全・健康・安心」「かわいい・美しい・夢がある」などの観点を、社員と共に考えてみると、強化すべき強みが絞れます。

3.自社の市場(顧客層など)の動きを意識する

ある市で、中小企業の景気動向調査をしたところ、業績の下がっている事業者の多くは、お客さまや市場の変化に「ついていけてない」と回答しておりました。市場の変化を見るには、お客さまに聞いてみるのが良いのですが、そばから見ているだけでも分かることが多いものです。第三者の意見も必要です。
顧客の動きをじっと見ていて、みごとに対応したケースがあります。ある酒造メーカーさんが、販売店主に「その酒では売れない」と言われたので、その酒店で1日中、来店するお客さまの様子を見ていました。その後、数ヶ月、いろいろと工夫して「これならどうでしょう」と新しいお酒をその販売店に持ってきました。販売店主は味見をして、これなら大丈夫かもしれないと考え、店に置きました。店主がご贔屓に勧めたところ、とても良い反応で、みごとにお客さまに受け入れられました。
この販売店のお得意さんに対する、オーダーメイドのような結果になったものと思います。地域や購買層により趣向は異なるものです。不特定の複数でも「その人たちに合わせたもの」を作れるのが中小企業の得意技のはずです。
それでも良い商品アイディアが出ない場合は、「他の層」へのチャレンジも検討が必要です。

4.常に新しいことに挑戦する

新しいことを「常に考える」ことが、中小企業の社長の最大の役目です。お客様がひいきにしてくれる定番のメニューも大事ですが、変化も大事です。事業は以前のままを維持していては、顧客は減少すると言われています。増加させる努力をしていて、現状を維持できるとも言えます。一方で、社員の動機付けにも、「新規なものに挑戦をする」「いろいろと考える」ことは、刺激になり役立ちます。日頃から訓練をしておくことで、補助金の多くが求める「革新性」「新規性」「独自性」(一番の難問であることが多い)への対応が可能になります。

5.社員や社内の仕組みをレベルアップする

補助金の申請の審査項目に、その事業なり製品開発を実施できるのか、会社に能力や体力があるのか、という審査ポイントがあります。
社員が技術力や顧客対応力などを向上させるための「研修制度」や「指導者等の存在」、また就業規則をはじめ、計画を実施し、報告し、改善する社内の仕組みなど、より社内体制を強くする工夫をしていることにより、この審査項目への対応ができます。
個々人の成長に任せるのではなく、ルールや手順の作成、ITの活用等々の「仕組み作り」の工夫により会社の体力・創造力を高めて行きましょう。

補助金の審査のポイントを意識する

補助金の申請には「審査」がつきものです。「審査のポイント」は補助金により多少異なりますが、基本は以下の5項目です。

1.前進している会社かどうか(経営計画などがしっかりしている)
2.「新規性」はあるか
3.その事業を実現できる力があるか(技術・人材・設備など)
4.資金は大丈夫か(補助金は後払いです)
5.それは売れるか(市場性)

場合により、国等の政策に沿ったものかを問う場合があります。
例えば、今年は、内閣総理大臣の意向もあり「昇給を実現しているか、昇給する予定があるか」「雇用を増加させられるか」なども審査のポイントになっている補助金がありました。

補助金を活用することは、資金面のみならず、自社の強みや市場動向の把握、社内の仕組みの整備や社員の意識向上といった、経営基盤の強化・業績向上のための取組みにもつながりますので、是非検討してみてください。

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猿山 康継

猿山 康継

中小企業診断士。コンピューター会社の人事・総務を約30年担当し、 1998年に有限会社仁企画を設立(代表取締役)、経営・人事コンサルタントとして、多数の中堅企業の賃金制度の改善、人事制度、組織改善、業績向上などに貢献。中小企業基盤整備機構のアドバイザー、町田商工会議所・監事(3期目【2014年5月現在】)でもある。

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