(2018.12.20更新)
業務における通信/通話などの業務に、従業員の私用物である携帯電話・パソコン・データ記憶装置などのICT機器を使っている状態を、BYOD(Bring Your Own Device)という略語で表現します。スマートフォンに関するBYODは、MMD研究所が2016年に、20~49歳のスマートフォンを所有するビジネスパーソンに「スマートフォンの業務利用動向調査」という複数回答による調査を行ったところ、私物スマートフォンを業務利用している割合は56.4%でした。そして毎日利用しているアプリ・サービスの上位は、LINE、メール/SMS、電話となっており、業務効率を向上させるコミュニケーションツールとしてビジネスシーンに広まっていることが伺えます。
しかしBYODは適切な運用ができなければ、従業員の負担が増してしまいます。業務効率向上に役立つはずが、逆にモチベーションを下げてしまうかもしれません。本記事では、業務効率向上につながるスマートフォンのBYOD運用について考えてみます。
業務に私用の携帯電話を使う
ビジネスパーソンにとって携帯電話は、社内外との通信手段として利用頻度の高いコミュニケーションツールでした。特に外勤や、社内でも会議などで自席から離れることの多い人などは利用頻度が高いと考えられます。
そのような場合、従来は従業員へ業務用の携帯電話端末を支給していましたが、前述の調査にあるようなスマートフォンによるテキストチャット、SNSやメール/SMSといった通話以外でも効率的なコミュニケーションが図れるという利便性が知られると、業務用が準備されるよりも前に私物スマートフォンを利用するケースが見られるようになったのです。
「業務用携帯の支給」と「BYOD」の損得
BYOD導入を検討する前に、「業務用の端末を会社が従業員に支給するケース」と「BYODをするケース」にはどのような違いがあるのでしょうか。
会社が支給する場合には、業務の用途に応じた端末が従業員に与えられ、その管理が容易であることが主なメリットです。会社が定めるルールに基づいて、端末の各機能を従業員に使わせることができます。
また、端末の支給や運用・通信料などのコストは会社が負担することになります。従業員にとっては携帯電話にまつわる管理・運用の手間やコストを負わずに、気兼ねなく通信/通話できることがメリットです。
BYODのメリットは、会社側が主に端末の支給・管理コストを軽減できることです。一方、従業員にとっても「私用と業務用の携帯電話を2台持つ必要性がない」「情報管理を一元化できる」「使い慣れた携帯電話を持つことができる」など利便性のメリットがあります。
通信料金の負担が従業員のモチベーションを下げることも
このようなBYODのメリットがある一方で、デメリットが発生してしまうケースも考えられます。例えば、従業員がBYODで感じる負担として、主なものは通信料金です。本来、業務の通信コストは会社が負担するべきですが、私用の通信と業務の通信それぞれに発生するコストを把握するのは困難なため、その通信コストを会社と従業員とでいかに応分するかは、BYODに付いて回る問題の1つでしょう。
通信料金に関して会社内で明確な精算制度・システムがないなどのケースでは、従業員の支出負担が重くなる可能性があります。これでは逆にBYODが、従業員のモチベーションを低下させる原因となるかもしれません。
「公私分計」はBYODを成功させる大きな鍵の1つになりますが、公私分計の実現には情報システム側でのBYODへ対応が必要です。公私分計を前提とした通信料金精算の仕組みが構築されることにより、適切な応分負担となり、従業員に通信料金の負担感を与えないでしょう。
ユニファイド・コミュニケーションで一歩進んだBYOD
情報システム側のBYOD対応のポイントは、ビジネスフォンとクラウドとの連携です。これにより前述したBYODにありがちなデメリットを以下のように解消し、業務情報や個人情報の流出リスクを大きく抑えることが可能になります。
・連絡先などの業務情報はクラウドで管理し、個々の携帯電話端末には情報を残さない
・スマートフォンの専用アプリ上から、クラウドにある各種電話帳や発着信履歴上などの電話番号への電話発信をビジネスフォン経由で行う「V字発信」の仕組みを利用すれば、発信した私用スマートフォンの番号ではなく、事業所の電話番号が通知される
・従業員同士のテキストチャットやプレゼンス(利用者の状況表示の共有)などの機能(ユニファイド・コミュニケーション=通信手段の統合)を備えている
・これらの機能により社内コミュニケーションの活性化が期待できる
こういった機能を備えたサービスの1つが、NTT東日本のビジネスフォン「αA1」とユニファイド・コミュニケーションを体現したクラウドサービス「αUC」です。
公私分計の実現とともに、情報流出のリスクの低減や社内コミュニケーションの活性化が期待できる、一歩進んだBYODの実現を検討してみてはいかがでしょうか。
※αUCのご利用には、フレッツ光(フレッツ 光ネクスト、フレッツ 光ライト、フレッツ 光ライトプラスのいずれか)、ひかり電話の契約、プロバイダとの契約、対応するビジネスフォンが必要です。
※αAIのご利用には、「フレッツ 光ネクスト」「フレッツ 光ライト」および「ひかり電話(ひかり電話/ひかり電話オフィスタイプ/ひかり電話オフィスA)」の契約に加え、プロバイダとの契約が別途必要です。
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