2016.2.1 (Mon)

お悩み解決コラム(第2回)

社員を辞めさせない会社をつくるには

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終身雇用が崩壊し、雇用の流動化がより一層激しくなってきている昨今、各企業の経営者や人事担当者は優秀な人材の確保はもちろんのこと、一旦採用した社員をいかに定着させるかに頭を悩ませています。
優秀な社員を辞めさせない方法、それはほんのちょっとした経営者や上司の部下への関わり方や育成の捉え方にヒントがあるのです。そのヒントをいくつかご紹介しましょう。

社員が辞めない会社ってどんな会社でしょう?

社員が辞めてしまうのはなぜでしょうか?
その原因は「今の会社や職場では自らの成長を実感できない」と考える社員が多いからだと思います。
人は誰しも「成長したい」と願うものです。目標を掲げ、それに向かって日々前進して行くこと、またそれを実感できることこそが、やりがいや生きがいに繫がっているのではないでしょうか?
社員を辞めさせない会社、それは、そのような個々の「成長」を実感させるサポートが出来る会社、言い換えると、上司が部下に対して適正な「育成」が施せているような会社と言えます。

上司と部下の認識ギャップが存在する

研修講師をしていると、企業の経営者や中間管理職の方と話をする機会が多いのですが、彼らの中には、自身の部下に対して、「最近の若い奴らは・・・」と世代間の仕事観、人生観の違いであると一言で片づけてしまう人もいます。

一方で、同じく研修現場で会う若手社員においても、自身の上司に対して「うちの上司は自分のことを理解してくれていない」等の不満を持ち、その不満が解消されないまま、悶々と仕事をしているケースが散見されます。

このように、どこの職場においても、上司と部下というのは認識のギャップが存在するのかもしれません。
しかし、やがてこのギャップがどんどん拡大すると、果ては「部下の離職」という最悪の状況を作りだしてしまいかねません。
ではどうすれば、このようなギャップを解消することが出来るのでしょうか?

一言で言うと、「上司・部下の相互理解を深める」ことに過ぎません。
ただ、どうやって、相互理解を促進して行けば良いのでしょうか?
これは「上司が適切に部下の状態を見極めること」つまり、育成上の課題を把握することであると考えます。

◎育成上のポイントをチェックする

上司は部下の育成上の課題について、一見把握しているように見えて、先入観や、少ない情報の中で「こうに違いない」と決めつけてしまっていて、結果、適正な「育成」が出来ずにいることがあります。
ありがちな傾向として「専門知識が足りない」「やる気がない」と育たない原因を、一方的に「部下のせい」と決めつける上司が多く、自身のマネジメントの問題とは捉えていません。
私は上司が部下を適正に「育成」するためには、多角的、客観的に部下の伸ばしどころ、つまり育成ポイントを見極める力が必要であると思います。「部下のせい」ではなく、上司の「部下を見る眼」を鍛えないといけないのです。

◎5つのチェックポイント

具体的に上司が部下に対して、適正な「育成」をするために捉えておきたい5つのポイントをご紹介します。

(1)環境や条件は整っているか?
まずは、環境づくりです。上司は部下が伸び伸びと育つ場を提供することが前提条件となります。「なぜこうなる前に相談しなかったんだ」と嘆く前に、部下が気軽に相談できるような状況を作りだしていたか?常に眉間にしわを寄せて、自席にふんぞり返っている上司の元には相談はおろか、話しかけることも出来ないからです。
日頃から部下が働きやすい環境や条件を上司が主体的に創造する。まずは、部下の目線に立って、『この条件下で最大限のパフォーマンスが発揮できるかどうか?』あなた自身が、自問自答することが求められます。

【具体的には下記のことを意識しましょう】

  • 朝は積極的にこちらから挨拶をする
  • 週に1回は部下と昼食を取る
  • 部下と接する時には、笑顔で
  • 自身の失敗談を部下にたくさん開示する

(2)取り組み姿勢は適正か?
部下のスキルや知識は人並み以上でも、仕事に対する取り組み姿勢、スタンスはどうか?上司はチェックする必要があります。「お客様は神様だ」と常に考えている部下と「お客様は金ヅルだ」と考えている部下とでは、将来どちらが育って行くかは明白だと思います。

ただこのようなスタンスは一朝一夕では醸成できません。じっくりと時間をかけて組織の中で育んで行くことが求められるのです。上司が根気良く、部下を育てて行こうとする意識が求められます。

【具体的には下記のことを意識しましょう】

  • お客様と電話で話した直後の反応はどうか?(態度に裏表が見えないか?)
  • お客様のことを「客」と呼んでいないか?
  • 社内で他のメンバーの陰口を言っていないか?
  • 後輩の面倒見は良いか?
  • 仕事を楽しそうにしているか?

(3)スキルや知識は備わっているか?
上司が部下に身に付けてもらいたいスキルや知識を具体的に把握していないケースが散見されます。漠然とスキルのレベルが低い、知識が不足しているといった評価ではなく、この部下にはこのスキルを習得させたい、このような知識を吸収させたいと部下毎にその習得ポイントを明確に示してあげる必要があります。
例えば、プレゼンテーションでついつい話し過ぎて、失敗することが多い部下には、話の内容を構造的に組み立てる思考(ロジカルシンキング)を習得させるとか、対人対応を不得意とする部下には誰とでも円滑にコミュニケーションがとれるスキルを身に付けさせるといった具合です。

【具体的には下記のことを意識しましょう】

  • お客様と電話で話した直後の反応はどうか?(態度に裏表が見えないか?)
  • 知識面でのチェック(業務知識はあるか?)
  • 知識面でのチェック(業界の専門知識はあるか? 自社業界、取引先業界)
  • 知識面でのチェック(世間一般的な知識はあるか? 政治・経済・国際情勢)
  • スキル面でのチェック(計画力はあるか?)
  • スキル面でのチェック(業務遂行能力はあるか?)
  • スキル面でのチェック(対人対応力はあるか?)

(4)意欲を持っているか?
部下の意欲、いわゆるモチベーションを高めるのも上司の大きな役割と言えます。モチベーションを高めるには一般的に昇給や昇格などのニンジンをぶら下げるやり方(外発的な刺激)と、働きがいややりがいに代表されるように、心の底から湧き出てくるようなもの(内発的な刺激)と双方向からアプローチをすることが必要です。特に多様な価値観を抱える現代の若者にとっては昇給や昇格という外発的な刺激だけで意欲を高めるのは難しい時代になってきました。
上司はいかに部下に対して内発的刺激を与えて行くかが育成における重要なポイントとなるでしょう。そのためには、どのような内発的刺激を与えればモチベーションが上がるのか?定期的な育成面談に加え、日頃の何気ないコミュニケーションを通じて、部下それぞれの刺激ポイントを把握することが求められます。

【具体的には下記のことを意識しましょう】

  • メンバーの入社動機を改めて把握する
  • 入社までに学業以外で取り組んできたこと(部活やバイトなど)を把握する
  • 日頃のコミュニケーションから嬉しそうな表情をする時はどんな時か見ておく
  • やってみたい職種やポジションについて面談などを通じて把握しておく
  • メンバーの強みや持ち味を本人以上に把握する努力をする

(5)要望を伝えているか?またその要望が受け入れられているか?
「1を言ったら10のことをやれ!」という上司がいますが、確かに真意や本音を察知して行動に移すことは必要な場面もあります。ただ、さまざまな考え、価値観を持った人が存在するビジネスシーンにおいて、このようなやり方は合理的ではありません。要望を把握するのに時間がかかったり、また間違った対応をすることで余計なストレスをお互いに感じることは「もったいない」ことのように感じます。
上司は部下に対し「あなたにこれを要望します。なぜならばこうなってもらいたいからです。」と明確に相手に対する要望を伝え、その要望が部下に正しく受け取って貰えたか?を確認することが必要です。
「こんなこと言わなくてもわかるだろう」等と勝手に解釈するのだけは止めましょう。

【具体的には下記のことを意識しましょう】

  • 仕事の指示をする時には必ず、目的や要望を伝える
  • メールなどの一方通行の通達ではなく、フェースツーフェースの双方向のやり取りを増やす
  • 指示した仕事の結果だけでなく、途中の進捗を観察する(プロセス重視)
  • 期待通りに遂行した場合には大いにその成果を承認してあげる
  • この仕事が、将来的にどのように本人にとってプラスに作用するのかを具体的に説明する

◎継続的な業績向上には社員の育成が欠かせない

以上5つのポイントで、周囲の部下がどこで壁に当たっているのか?その壁をブレークスルーするポイントは何なのか?を上司が適正に把握し育成して行くことがとても重要なことなのです。

そのためにも、上司部下が活発なコミュニケーションをとり、日頃、相互理解が促進されるような場を意図的に作りだすことが求められます。

相互理解の促進のために定期的な育成面談をする、成功事例の共有など創造的なミーティングの定期開催をする、時にはアフター5で気兼ねなく話し合える場も必要かもしれません。

3年で3割の離職となりつつある現代社会。組織の継続的な業績向上には、社員の持続的な成長が絶対に欠かせません。
部下の心の叫びを聴き取って、貴重な戦力の離脱を防ぎましょう!

部下を効果的に褒める3つのポイント

  • 良い行動の直後に褒める(記憶が新しいうちに良かった点を振り返る)
  • なるべく具体的に、何が良かったのか根拠を示しながら褒める(再現性を高めるためにはリアルに振り返る)
  • 出来の悪い部下ほどよく褒める(出来の良い部下には多少厳しくてもOK)

部下とのコミュニケーション向上3つの秘訣

  • 上司と部下の話す比率は2:8を心がける(上司の話し過ぎはNG)
  • 言語だけでなく非言語(特に笑顔)を意識して接する
  • 『なぜ出来ないんだ?』と過去を振り返るのではなく、『どうすれば上手く行く?』と未来志向で話し合う 
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