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2016.02.01 (Mon)

キーマンズボイス(第7回)

株式会社フォトクリエイト 代表取締役社長 白砂 晃 氏

プロのカメラマンが撮影したアマチュアのスポーツ大会や各種イベントの写真を、インターネット上に掲載し販売するという日本初の事業を展開するフォトクリエイト。そのサービスのひとつである『スナップスナップ』は既に全国1,400の小学校や幼稚園で利用されている。

今やインターネット写真販売実績NO,1の地位を確立し、先日東証マザーズ市場への上場を果たした同社を一から築き上げた白砂晃氏にお話しをうかがった。

株式会社フォトクリエイト  代表取締役社長
白砂 晃 (しらまさ・あきら)


経歴
1974年、広島県出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、NTT入社。そこでインターネットの世界を知り、興味を深める。その後、サイバーエージェントに転職。子会社CAモバイルの立ち上げに参画するなど、同社の主軸として業績向上に貢献。2002年、仲間たちと3名でフォトクリエイトを創業。

白砂社長を起業へと駆り立てたもの

――まずは起業のきっかけについてお聞かせ下さい。

きっかけは創業メンバーの一人でもある高校時代の同級生のひとことです。彼が4ヶ月間赴任していたシリコンバレーから帰国して、「新しいビジネスモデルを見つけた」と僕に教えてくれたのが今の当社のビジネスモデル(プロが撮影したイベント等での写真を、参加者にネット上で販売する)だったんです。「これは面白い!」と思いすぐに起業を決意しましたね。

――迷いや不安はなかったんですか?

迷いは無かったです。僕は元々新卒で入社した会社での経験から“インターネットというインフラはこれから絶対に伸びる”という事を確信していました。それに加えて当時“自分たちで撮った写真をネットを通じてプリントする”というコンシューマモデルのサービスはすでに存在していましたが、“プロのカメラマンが撮る”というスタイルに特化したサービスは(日本で)まだ存在していなかったんです。だったら今自分達が起業すれば絶対に成功する、やらない手はないと思いましたね。

――御社のサービスの特徴やこだわり、魅力についてもう少し詳しくお聞かせ下さい。

まずは写真というものをネット上で販売するというサービスが、その他の一般的な商品をECサイト等で販売するのとは大きく事情が違うという点を理解して頂きたいんです。例えば一般的な商品のように単にその個数を選んで終わりという訳ではなく、写真の場合サイズであったり納品方法(データなのかプリントなのか)であったりと選択しなければいけない事が沢山あります。当社のサービスはそういった部分を出来るだけユーザーにわかりやすいものにすると共に、それ以外の付加サービスも数多く提供しており、例えば撮影した写真にご自分で文字入れやデコレーションをして頂いたり、最近ではフェイスブック等のSNSに連携する方法であったりと“IT技術を駆使した写真の楽しみ方”も同時に提供しているのが大きな特徴だと思います。

写真を通じてフォトクリエイト社が目指すこと

――御社の理念にもある『フォトライフ構想』についてお聞かせ下さい。

“ゆりかごから墓場まで”ではありませんが、結婚があって出産、そして七五三に入園式・卒園式。更にその間には音楽発表会や運動会があったりと、家族にとっての節目節目に素晴らしい写真を残していこう、写真を通じてその人の人生に寄り添っていこうというのが『フォトライフ構想』です。
ただ我々の企業体は今年12年目を迎えたところですしその人の人生にしっかり寄り添えているのかと聞かれると、まだまだそのひとつひとつを“面”として展示しているに過ぎないと感じております。ですからこれからの10年をかけてその“面”を一本の“線”にしていけるよう、日々努力していきたいと考えています。

――今後フォトクリエイト社が目指す事業展開や、将来の展望についてお聞かせ下さい。

今お話しした『フォトライフ構想』も勿論そのひとつですが、サービスの点で言いますと今後特に力を入れていきたいのはフォトクラウド事業です。実は震災などで被災された方々が「一番戻ってきて欲しい」と思っている物って、家族との思い出の品や思い出の写真だったりするんですよ。例えば押入れから古いアルバムを引っ張りだしてきてそれを家族みんなで時が経つのも忘れて眺める…これってとてもかけがえのない光景だと思うんです。我々はそういった家族の本質的な財産を形成する写真というアイテムをクラウド上に恒久的に保存出来、手軽に利用できる“絆プラットフォーム”というサービスが今後世の中で絶対に必要とされていくと考えています。

“肩書きにとらわれない”白砂流・人材育成術とは

――白砂さんは一貫してIT業界に身を置かれていますが、白砂さんが考えるIT業界の可能性やこれからについてお聞かせ下さい。

日本の企業体というのはまだまだ既得権益で成り立っていて旧態然とした会社が非常に多い。ただITというメディアについて、我々の世代はそれをリアルタイムで学び、体験し、物理的にインターネットというものを理解している。僕の中の概念上インターネットって、仮想空間にどんどんと街が作られていっているという感覚なんですよ。現実の世界でも人が集まってくるとそこに衣食住が生まれ、そしてさまざまなサービスが生まれる。そういった意味でインターネットはまだまだ色々な可能性を持ったメディアだと思いますね。

――白砂流・人材育成術とはなんでしょう?

まず僕自身“ただの人と人として付き合う”ということを常に大事にしています。例えば僕の知り合いのお父さんがある一部上場企業の社長さんなんですが、そういった肩書きを気にせずに接しているといわゆるただのオジさんなんですよ(笑)。でもきっと人によっては“一部上場企業の社長”という肩書きを聞いた途端、急に背筋がピンとなっちゃう。それを“その人が持っているオーラのせい”とか言う人がいますけど、実はそれって(オーラを)こっち側が勝手に作り上げているだけなんですよね。だから僕はそんなものとっぱらって先輩とか後輩とか上司とか部下とか、地位や立場にとらわれずにその人と接するという事を常に心がけていますし、部下にもそういう感覚で接しているつもりです。そういう意味では昔から“人を使う”という概念もないし、それぞれがそれぞれの生きているフィールドで(好きなように)自分自身の人生を作っていけば良いという考え方ですね。勉強したい人間はすれば良いししたくない人はしなけりゃ良い。結局は自分から手を挙げないと何も始まらないものですから。ただ、勉強したいと思う人間を後押ししてあげられる仕組みだけはきちんと作ってあげたいですね。結局経営ってそういった事を含めた色んな仕組みづくりだと思っているので。

あとは“起きた事を全部ありがたい”って思うことかな。例えば社員が会社を辞めたいという。でもそれによって自分が色々考えるきっかけになってくれますし、穴を埋めようと若手が育つ。結果としては良い方向へ向かいますよね?痛みが伴えば人はそれをきちんと治そうとするし、それを乗り越える事で人って成長出来ると思うんですよ。

心の訓練でポジティブシンキングになる!?

――白砂さんにとっての人生のモットーや譲りたくない考えなどはありますか?

“有言実行”かな。あとは「やるかやらないか迷ったらやる!」ということですね。

――迷ったら前に進めと?

いや、前に進んでいるかどうかはわからないです(笑)。もしかしたら結果的にはマイナス(後退)になっちゃうかもしれない。でもやらずに答えを出すことはイコールただのゼロだと思うし、それって人生にとって一番寂しい事だと思うんです。やってみた結果がプラスになるのかマイナスなるのかは分からないですけど、マイナスだったらマイナスでその失敗を経験として次に活かせば良いだけで、この回転速度を上げていくことが人を成長させていくと考えています。僕にとって失敗と成功って反対語じゃなくて、失敗を繰り返してそれを改善していく事で絶対に成功にたどり着くはずだと思いますし、それを続けていく信念の方が(マイナスになることを気にするより)大切だと思いますね。

――息詰まった時の気分転換についてお聞かせ下さい。

実は僕、息詰まるってことがないんですよ。だからこれは僕にとって一番難しい質問ですね(笑)

――かなりポジティブな発想というか、なかなか出来る事ではないと思うのですが何かコツのようなものはあるんですか?

大事なのは“心の訓練”だと思います。常に自分自身を過酷な状況において心の訓練をしっかりしておけば、何か起こったとしても息詰まる事が無いと思っています。僕の場合何かトラブルが起きたりすると、逆に燃えてきちゃいますね。まぁ元々そういう性格なのかもしれませんが(笑)。

――最後に白砂さんが考える“経営者に必要なこと”とはなんでしょう?

「心技体」かな。今言ったように心を鍛える事も大事だし、ある部分では鈍感力も必要だと思います。あとは“人がやらないこと”をあえてやる事。たとえば景気が良い時に投資するんじゃなくて逆に景気が悪くなった時に投資をするとか、そんなある意味天邪鬼な考え方も時には経営者にとっては大事な事だと思っていますね。

――ありがとうございました。

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